不安のストレスが脳の配線を変える?今まで気にならなかった匂いが不快なものに変わったら、それは不安から来る症状かもしれない

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flickr_GoodNCrazy

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進化の過程において、嗅覚というのは感覚の中でも古くからあるもの。動物界で嗅覚は最も脳に影響を与えるものの一つであり、人間も常に無意識のうちに匂いの情報をプロセスしている。例えば運動後数日経った靴下、家中に充満するパンの焼ける甘い匂いーーこれらの匂いは「気持ち悪い」「幸せ」など、特定の感情を想起させることがこれまでの研究でわかっている。そして不安や鬱病を抱える人達は、この嗅覚・感情の関係に、大きく影響されるらしい。今回の研究によると、人は不安を抱えたり鬱病になると、今まで気にならなかった匂いさえ悪臭を放つように感じられるのだという。

米ウィスコンシン大学マディソン・ウエイズマンセンターの心理学者ウェン・リー教授が『The Journal of Neuroscience』で発表した論文によると、人間は不愉快になる写真や、“自動車事故”や“戦争”などの言葉を見るだけで、嗅覚が刺激される。それによりニュートラルな匂いが不快な物へと変化し、負の感情の一つである「不安」が想起されるのだという。また、その逆も起こりえるのだそうだ。

「人の不安が大きくなると、いい匂いでさえも“快さ”が低下する。一度不安が想起されると、ニュートラルな匂いが不快な方向へと変化するのです」と、リー博士は述べる。

実験は12人ほどの被験者の不安を煽り、脳内での匂いと感情の関連性を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)によって調査するというものだ。この実験過程で研究チームは、本来別々であるはずの嗅覚と感情の配線が、不安というコンディションの下では強く結びつき合うことを突き止めた。

「ただの嗅覚テストだけだと、その場所しか活性化しません。しかし、被験者が不安になると、嗅覚処理に感情の流れが組み込まれるようになります」と、リー博士。「人は不安を抱えたり鬱病になったりすると、世界がネガティブに見えるようになる。さらに、通常の場合ニュートラルだった匂いが、不快なものへと変化します。それがさらに不安を募らせる悪循環となっているのでしょう」

もしもあなたに妊娠などの体の変化がなく、今まで気にならなかった匂いが不快なものへと変わったとしたら……あなたの深層心理には何か不安に感じるものがあるのかもしれない。

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