糞便微生物移植の新技術!?便から作られた“ピル”が腸内バランスを整える

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以前、ドナーからヘルシーな便をもらい移植する究極のプロバイオティック、“糞便微生物移植”のことをご紹介したが、「便の移植だなんて気持ち悪い」を軽減させるため、カナダの研究者らが画期的な薬(?)を開発した。もうすでに臨床テストは終わっており、強力な抗生物質でも症状の改善がみられなく、再発を4度以上経験した27人の患者全員が、このピルにより治癒を果たしたのだという。

毎年、50万人のアメリカ人がクロストリジウム・ディフィシル腸炎を患い、約1万4000人が死に至る。この細菌はひどい吐き気、けいれん、下痢を引き起こし、日常生活を機能的に困難にする。非常に高価で強力な抗生物質はあるが、それはいい細菌までも殺してしまい、その後も感染症を引き起こしやすくするのだという。

 そこで近年、抗生物質に代わる糞便微生物移植が、腸内細菌のバランスを整えるのに最適だと注目が集まっていた。しかし喉からチューブを入れて移植、大腸内視鏡を使用して移植など、そのプロセスには侵略的で高価なものが多い。手軽に“DIY浣腸”で移植を済ませる方法もあるが、必ずしも効果的とはいえなかった。

そこで伝染病の専門家であるトマス・ルイー博士は、各患者のためにカスタマイズされたピルを生成。ドナーの便(通常は家族のもの)を研究室でプロセスし、いい腸内細菌を抽出して、3層のジェルコーティングを施されたカプセルに詰め込んだ。これにより経口薬が腸に到達するまで、“薬”を溶かさずに運ぶことができるのだ。

「このプロセスで、“便”は残っていないよ。だから、患者は便を食べるわけではない」と、ルイー博士。「胃を通過しまってから細菌がリリースされるので、臭いげっぷをすることもないんだ」

今のところ、人間ひとりの腸内に必要なバクテリアを届けるには、約24〜34のピルが必要だとか。まず患者は、抗生物質で体内で問題のある細菌を殺す。そして便のピル24〜34個を一回の“治療”として飲み込むことで、様々な腸内細菌を植え付けることができる。

なお、今の技術ではジェルが常温で溶けてしまうため、各患者にフレッシュなピルを作る必要がある。そこで研究者らは、細菌を殺さない「便のピルを冷凍する技術」を開発中とのこと。これが確立すれば、血液型がO型Rh−のように、遠く離れた便のユニバーサルドナーが、健康的な便を提供してくれる時代になるかもしれないと、研究者らは語っている。

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