健康な腸内細菌を持つ人はストレスが少ない可能性:マウス研究

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flickr_Bhernandez

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これまで腸内細菌は免疫や心臓病に大きな関わりがあると研究で示唆されてきた。今回の研究では、健康な腸内細菌を持つ個体は、不安や心配などのストレスが少ないと発表された。どうやら腸内細菌は、われわれの思考にまで大きな影響を及ぼすらしいのだ。

近年、腸は脳からのインプットがなくとも機能することが出来る事実から、「第二の神経系」とも巷で呼ばれていた。われわれの腸内は何兆ものバクテリアの棲み家といわれ、体内に必要な栄養を補ったり、消化できない食物を分解したり、病原性微生物から防御したりと、様々な働きをしている。そればかりか、「不安」や「心配」に関係する精神疾患をも引き起こすことが知られていた。

研究者のRochellys Diaz Heijtz氏とThomas Neufeld氏は、腸内細菌を一掃したマウスの「不安のレベル」に大きな低下が見られたことを確認。通常の腸内細菌を持つ普通のマウスと比べ、おどおどと不安を表す行動が減ったのだ。これは特定の腸内細菌の有無が、不安障害を引き起こす遺伝子の発現に影響している可能性を示唆しているのだという。

腸内細菌のいないマウスは、ニューロンの生存やシグナルに関わる遺伝子の発現が変化し、ストレスや幸福に影響するセラトニンを含む脳内伝達物質の受容体に変化を及ぼしていた。それが脳の運動をコントロールする部位に影響し、行動となって現れるのだそう。

さらに研究者らは、腸内細菌を一掃した幼いマウスに通常レベルの細菌を戻し、それがニューロンの成長にどのような影響を与えるかを調査。これによりニューロンの成熟に関わる遺伝子の発現量も増加したことから、健康な腸内細菌は、動物の脳の成長過程においても必要不可欠なものである可能性も示唆されている。

腸内細菌はニューロンの成長に大きく関わっているようだ。これらは誕生時から細菌はコロニーを築き、脳の形成をサポートする。研究では“Lactobacillus rhamnosus”と呼ばれる細菌が不安や心配を低下させることがわかっており、糞便微生物移植などでポジティブな働きをする細菌を移植することが、新たな精神疾患の治療になるのではないかとの期待が高まっている。

また、この研究に対する詳細は『米国科学アカデミー紀要』に掲載されている。

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