若者の血液が老化を食い止める!?老人への輸血が“若返り”のカギか:マウス研究

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数年前からたびたび話題になっている老いた個体への輸血効果。それは若いマウスの血液を老いたマウスへと輸血した際に、脳、筋肉、心臓などに著しい若返り効果が見られるというものだ。今回の実験では、若い個体の血液中に含まれる化学物質“GDF-11”が若返りに関係していることが明らかになった。

若返りを試す実験

米カリフォルニア大学のサウル・ヴィエダ博士は、若いマウス(生後3ヶ月)と老いたマウス(生後18ヶ月)の2匹を結合双生児のように接合し、互いの血液を共有できるようにした。そして脳に起こった変化を観察したところ、老いたマウスの海馬(脳の記憶を作る場所)の脳神経細胞の接続が強化されていることを確認。さらに若いマウスの血液中のプラズマ(血漿)だけを老いたマウスに注入してみると、老いた個体はまるで若い個体のように水中の迷路をくぐり抜けることができた。また、身の危険に関しても老いたマウスは若い個体のように素早く反応することができるようになったという。

鍵となるのはGDF-11?

「若い血液の中の何かがCREBを活性化させている」と、ヴィエダは話す。CREBとは、学習と記憶の基礎をなしているニューロン間の新しい接続の形成と関係している脳の遺伝子活性のマスター調節装置のこと。人間の老化とアルツハイマー病でCREBの活性力が減少することは、これまでの研究で明らかになっている事実だ。

ヴィエダの研究の再実験を試みた別の研究チームは、GDF-11と呼ばれる物質が脳や心臓の若返りに一役買っていることを突き止めた。しかし新たな疑問も生じる。

「GDF-11の他にも若返り因子というものが存在するのだろうか?」

輸血の若返り効果は人間でも期待できる

 ヴィエダは、マウスでの実験結果は人間にも応用できるだろうと推測する。だが、そうするには更なる知識が必要だ。

「これについての適切な療法や投薬量が未だにわからない。重要なのは若い血液が筋肉、肝臓、心臓や脳を改善するかたわら、長期的に有害な影響があるかどうかだ」

この研究は『Nature Medicine』で発表されている。

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