妊婦のストレスの影響は数世代に渡って遺伝する:マウス研究

Text by

  • 4
123RF

123RF

妊婦さんの中には、自分のストレスがどう子供に影響するか知りたい方もいるだろう。今回カナダのレスブリッジ大学の研究者は、妊娠中のストレスがその後数世代にどう影響するかについて調査(論文:英語)した。

妊婦のストレスは妊娠期間を縮める

研究者らは、まず複数のマウス(F0)の妊娠後期にストレスを加えた。そうして産まれた第一世代(F1)と第二世代(F2)のマウスをそれぞれ2つのグループに分け、一方にはゼロ世代のマウスと同じようにストレスを加え、もう一方にはストレスを加えずに、それらが子供に与える影響を調べた。

驚くことに、ストレスを受けた第一世代の親(F1)から産まれた娘(F2)は、ストレスを受けなかったマウス(F1)の娘(F2)よりも妊娠期間が短かった。しかし、第三世代のマウス(F3)までなると、F1とF2での妊娠中のストレスの有無に関わらず、妊娠期間が短くなった。これは最初にストレスを受けたマウス(F0)の経験が、第三世代のマウス(F3)にまで影響したためだとみられている。

ストレスを受けると遺伝子の発現が変わる?

妊娠期間の短縮に加え、ストレスを受けたマウスはコントロールに加えてグルコースレベルが高かったという。また、ストレスを受けたマウスの娘の体重は軽くなる傾向があった。

研究者らはストレスによる影響を、遺伝子の発現を調整するエピジェネティックスによるものだと考えている。ただし今回のエピゲノムはDNAのメチル化により遺伝する従来のモデルに対し、経験がmiRNAに変化を及ぼし数世代に影響を与えたとみられており、研究者らも「病気のバイオマーカーとなるmiRNAに、このような働きがあるとは知らなかった」と、話す。

今回、妊娠中のマウスのストレスは、妊娠期間に加え、子孫の体重やグルコースレベルにも影響し、数世代に渡って遺伝することが確認された。もしかすると、われわれの病気の原因を辿ると、先祖の妊娠中の経験にまで遡る可能性がある。

遺伝子発現の調整をするエピジェネティクスが、世代を超えて遺伝する仕組みは未だに謎が多い。研究者らは、これからエピジェネティクスによる病気のリスクを調査し、将来これらの予防に役立てたいとしている。

《関連記事》

Posted: |Updated:

Text by

注目の記事

前の記事を見る

次の記事を見る

Ranking