海洋生態系に重要な「クジラ・ポンプ」とは―4カ国国際合同調査

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Flickr_Scott Ableman

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海洋生物学者はこれまで、クジラの存在を少し軽く見ていたようだ。クジラは、図体は大きいが、海洋生態系の中でほとんど何の役割も果たしていないと考えられてきた。

ところが、それが大きな間違いであることが、最近の4カ国合同調査でわかった。

4カ国の研究者が合同調査

米国、カナダ、オーストラリア、ドイツの大学や研究機関に所属する、10名の海洋学者が合同で行なった今回の調査で、クジラが海洋生態系の中で重要な役割を果たしていることがわかった。海洋学者たちは、その役割を「クジラ・ポンプ(whale pump)」と名づけている。

「クジラ・ポンプ」とは

マッコウクジラやヒゲクジラなどの巨大なクジラは、深海に潜って、驚くほど大量のプランクトンやイカ、小魚などを食べる。そして、海表面に浮かび上がって糞をする。その糞は、海表面近くにいるプランクトンの栄養源になり、それで育ったプランクトンは魚のエサになる。

こうして見ると、クジラが、深海にある栄養物を海表面に運ぶ役割を果たしていることがわかるだろう。クジラは、ちょうどポンプのように、海洋の栄養物を循環させるのを助けている。これを海洋学者たちは「クジラ・ポンプ」と呼んでいる。

数の減少が生態系を狂わせる

マッコウクジラやヒゲクジラの数は、数の多かった一時期と比べて66%~90%近く減少しているという。クジラがいなければ「クジラ・ポンプ」は働かず、海の生態系は狂ってしまうだろう。少しでも早い数の回復を願いたい。

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