いじめたい気持ちを生む脳の部位を特定、マウス実験で

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The Lin Lab

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米国ニューヨーク大学の研究者たちによるマウスを使った実験で、いじめたい気持ちを生む脳の部位が特定された。

哺乳類の脳の構造が似通っていることを考えると、この発見が人間にも当てはまる可能性は高い。

なお、ニューヨーク大学の実験結果は学術誌「Nature Neuroscience」の電子版に掲載されている。

視床下部の一部分

研究者たちが特定したのは、脳の中の視床下部腹内側部(VMHvl)と呼ばれる部位だ。

その場所を示したのが下の図。線画は、マウスを正面から見た時の脳の断面図(実験のための電極が上から刺さっている)で、豆粒のようなものの中に示された緑色の部分が「いじめたい気持ち」を生む場所。近隣には睡眠や食欲、体温をコントロールする部位がある。

NYU Langone Medical Center

NYU Langone Medical Center

いじめっ子マウスで検証

ニューヨーク大学の研究者が行なった実験は次のようなものだ。

まず、体の大きい雄マウスが入った箱にひ弱なマウスを入れていじめさせ、いじめ癖をつけさせる。

(マウスはいじめが好きな動物で、いじめる目的のためにひ弱な仲間を自分の巣に連れて帰ることさえあるそうだ)

次に、箱の一部に小穴を開け、そこにいじめっ子となったマウスが鼻先を突っ込むと、自動的に箱の中にひ弱なマウスが入ってくるという仕組みを作る。

この時いじめっ子マウスは、鼻を突っ込んでからいじめの対象が現れるまでの数秒間(おそらく期待しながら)待つわけだが、その間に脳内で何が起るかを調べたところ、上の図の緑の部分が異常に興奮していたとのこと。(拡大写真では緑に光っているのがわかる)

いじめの対象が現れる前からその部分が興奮するということは、「よし、これからいじめてやるぞ」という気持ちが起こっていると考えられる。

いじめをなくす薬の可能性

研究者たちは、脳のこの部位に起こる興奮を抑制する薬を開発できないかと考えている。つまり、いじめたい気持ちを起こさせない薬だ。

だが、技術的な問題や倫理的な問題があり、実現はまだ先になりそうだ。

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