防衛本能のため 人は友達より憎き敵の痛みに深く共感すると判明:米大学研究

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flickr_BurgTender

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私たちは心許した友人よりも、敵対する人間の痛みの方に深く共感する生き物だという。最大の理由は敵の攻撃に備え、相手の動きをつぶさに観察するよう脳がプログラムされているため。自己防衛の観点から、特に相手の感じる痛みには敏感だというから皮肉なものだ。

米南カリフォルニア大学Brain and Creativity InstituteのLisa Aziz-Zadeh氏の調べでは、アクション映画を観ていて、凶悪な敵がコテンパンにやられ息絶えるシーンに観客の関心が一気に集まるように、憎き敵が痛めつけられているのを見ると、pain matrixという脳内の他人の痛みに共感する部分が活発化することがわかった。ただ「いい気味だ」と思っているのではなく、敵が本当にノックアウトされたのか、当然の報いを受けたのか見極めているそうだ。もっとも敵の痛みに敏感だからと言って、必ずしも相手の気持ちに寄り添っているわけではなく、「嫌い嫌いも好きのうち」というわけでもなさそうで人の気持ちは複雑である。

『Frontiers in Psychology』誌掲載の調査結果によると、実験では白人のユダヤ系男性のグループに、憎むべき反ユダヤ主義者が苦しむ内容のビデオと、憎しみを抱く必要のない寛大な登場人物が苦しむ内容のものを観てもらったという。すると脳内のpain matrixは、憎むべき敵が苦しむシーンの方がより活発化していた。

天敵がやられて興奮していたのでは⁈とも思うが、活性化していたのあくまでも相手の痛みに共感する部分とのことで、実験に関わったGlenn Fox氏いわく、社会的な状況は複雑でも脳は柔軟に対応するという。ネット民からは「ブレア政権が長続きしたのはこのせいだろう」「ひょっとしてイギリスの政治家のこと言ってる?」と政治家絡みのコメントが寄せられており、彼らは“憎き敵”と聞いて真っ先に政治家を思い浮かべるらしい。

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