「チョコレートがダイエットに効果的」は嘘、甘い話に世界中が騙される

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「チョコレートはダイエットに効果的。低炭水化物ダイエットにチョコを組み合わせると、より速く痩せられる」。そんな夢のような研究結果が、今年の3月にドイツで発表された。

そんな甘い話あるわけない? なんか嘘臭い? その通り!

これらはすべてデタラメである。この研究結果を発表した「ダイエットおよび健康研究所」など、世界のどこにも存在しないのだ。唯一WEB空間を除いては。

実験は実際に行われたが、データの取捨は作為的

「私の名前はジョン。職業はジャーナリストだ」と、調査チームの代表を務めたヨハネス・ボハノン博士は、自らの身分を明かした。

ボハノン博士ことジョンは、チョコレートを食べた場合の体重変化と食べなかった場合の体重変化は、実際に実験を行い確認されたと言う。

ただし少数のサンプルから、有意義なデータだけを抜き出した結果であり、とても科学と呼べるものではないとした。

目的は科学ジャーナリズムの適当さを暴くこと

ジョンは今回の実験について、目的は科学ジャーナリズム、特にダイエット関連の適当さを暴くことだとしている。

科学の要件を満たしていない論文を、いい加減な学術誌に投稿し、掲載されるや「ダイエットおよび健康研究所」の急ごしらえなWEBサイトでリリースを発表した。

これをドイツ最大の日刊紙『ビルト』が裏付けも取らず掲載(現在は削除・謝罪済み)し、世界20カ国のメディアがセンセーショナルな見出しで報じる。

デタラメな論文がどれだけ大きな見出しになるかを調べたジョンの調査は、これ以上ないほどに成功した。

誰よりも速くを求められる研究者とメディア

今回ジョンは意図的に”たまたま上手くいった”データを抜き出したが、こうしたことは残念ながら実際の研究者も行ってしまう。

研究者は仮説を立て、何度となく繰り返し検証を重ねるが、必ずしも思った通りの結果が出るわけではない。そんな中で、たまたま1回だけ自分の仮説に合致する結果が出たら、自分の考えを支持してくれるデータが出たらどうだろう。

100回やって1回しか確認されていない、再現性のないデータでも、それを発表したくなる誘惑は抗いがたい。

特に今は研究や商品開発も競争が激化し、最初に成果を出したチームがすべてを持って行く。他の誰よりも先んじなければならないとするプレッシャーは計り知れない。

そうしたとき人は、チャンピオン・データの誘惑に屈してしまい、ライバルに先んじてセンセーショナルな見出しが欲しいメディアも同様の間違いを犯すのだろう。

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