消費者庁に「酵素ジュースの作り方」で批判が殺到、食品衛生だけに留まらない問題とは

2015年06月19日 22時15分

2015年06月19日 22時15分

クックパッド/消費者庁
クックパッド/消費者庁

消費者庁が6月19日、レシピサイト「クックパッド」に掲載されたレシピを紹介し、多数の批判を集める事態があった。問題のレシピは「酵素ジュース」の作り方だった。

レシピに食品衛生上の問題が指摘される

消費者庁は以前から「食を楽しみながら食物アレルギーや食品ロスといった身近な問題に役立つレシピを掲載していきます」とし、クックパッドに公式キッチンを解説していたが、今回その中のひとつが問題となった。

「【使いきり】酵素ジュース」と題されたレシピは、季節の果物をスライスし、清潔な瓶に砂糖と果物を交互に漬ける、そして発酵を促すため清潔にした素手で1日に1度かき混ぜ、直射日光の当たらない場所で発酵が進む36度前後の環境に置くというもの。

レシピの”コツ・ポイント”として「素手でかき混ぜるのは、手に付いた常在菌が発酵を進めるから」としていた。

このレシピを消費者庁の公式アカウントがTwitterで共有したところ、ユーザーから「食品衛生上の問題がある」と多数の指摘が寄せられた。レシピやレシピを紹介したツイートは現在削除されている。

 

科学的根拠を欠いたまま広まった「酵素栄養学」

そもそも「酵素ジュース」とは一体なんなのか。数年前から酵素が長生きの決め手、長生きしたければ酵素が含まれている食品を食べろとの説が流れ、メディアも取り上げるようになった。

しかし、こうした「酵素栄養学」には医学的・科学的根拠はなく、そもそも酵素に対する基本的な理解を欠いていると思われる記述が多い。

筆者の出身が生物工学だからか、おそらく生物の門を叩いた人間なら最初に学ぶ、基礎中の基礎すら「酵素栄養学」では無視されている点が気になった。

ここが変だよ「酵素栄養学」

「酵素栄養学」では”人間の体内で一生のうちに作られる酵素の量は決まっている”とされるが、これはまったく根拠のない話だ。人間の細胞は必要に応じ、酵素を作り出す遺伝子を持っている。こうした大前提を無視するところから「酵素栄養学」は始まる。

体内で作られる酵素に限りがあるため、体外から補給しなければいけないとする説も説得力に欠ける。なぜなら酵素とはアミノ酸によって作られるタンパク質の仲間であり、経口摂取されたタンパク質は体内で分解が起き消化されるからだ。元のまま体内で吸収されることはない。

また「酵素栄養学」では酵素を「消化酵素」と「代謝酵素」に分けているが、実際の酵素が働く場面は多岐にわたり、このような酵素の働きを軽視した雑で乱暴な分類はできない。

こうしたことを知りながら消費者庁は今回のレシピを共有したのか。その反知性・反学問の姿勢こそが厳しく問われる。

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