小売店レジでの現金引き出し、10年以上前から議論されてきた歴史

2015年12月05日 19時35分

2015年12月05日 19時40分

クレジットカード
足成

スーパーなどのレジでキャッシュカードを使い、自分の銀行口座から現金を引き出す。そんなサービスが2017年に開始するかもしれないと朝日新聞が伝えた。

ATMが少ない地方や郊外での利用を想定し、金融庁が規制緩和に動いている。

引き落としには「J-デビット」機能を利用

利用者はスーパーなどで店員に金額を指定し、暗証番号を入力することでレジの現金を受け取ることができる仕組みだ。引き出した現金の分だけ口座の残高が減る。手数料は無料。

現金引き落としには全国1100以上の金融機関が扱う、「J-デビット」機能を利用する。「J-デビット」は2000年から導入されたデビットカードの規格で、現金を持ち歩くことなく銀行のキャッシュカードで買い物ができるを謳っていた。

だが現金への信用が根強い日本では、サービス開始から10年以上経った今でも現金、クレジットカード払いに大きく水をあけられている。

はっきり言えば、まったく普及してないし、自分のキャッシュカードにそんな機能がついてることに気づいてない人も少なくない。

実はデビットカード導入時からの争点だった

今回の報道に対しネット上では反対意見が多い。曰く「レジの業務が増える」「大量の現金をレジに入れておくと強盗のリスクが増す」「デビットカードや電子マネー決済を普及させるほうが先」といったものだ。

唐突な話題にも思えるが、実はデビットカードを利用してレジで現金が引き出せるキャッシュアウト機能は、日本で本格的なデビットカードサービス(J-デビット)が開始するときから争点のひとつだった。

123RF

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欧米ではデビッドカードの一般的な機能として認知されている。だが、日本ではキャッシュアウトが預金の引き出しにあたるため、規制がかかっていた。

また手数料の問題もある。日本の銀行はATMの夜間利用や他行利用手数料を収入の太い柱にしている。1回の利用は数百円でも、それが顧客人数かける回数となれば莫大な金額だ。

もし24時間どこの小売店でも手数料なしで現金を引き出せるとなれば、銀行は大事な収入源を失うことになる。買い物での支払い同様に手数料を小売店負担にする案も10年以上前に話し合われたが、そうなると今度は小売店側にメリットが薄くなる。

といったことがデビッドカード前夜から議論された結果、今の今まで導入されずにきた。

この10数年で日本は一般の小売店やコンビニへもATMの設置が進み、電子マネー決済を取り扱う店舗も増えた。あのころはデビットカード本来の機能として注目されたキャッシュアウトだが、今さら導入する意味は? と議論の種になりそうだ。

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