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震災当時の殴り書きをそのままに。益城町図書館の展示が胸に迫る:熊本特集第2弾

益城町図書館の展示の一部

益城町図書館の展示の一部

「救護班診察中」

「ガソリンあり タバコ注意」

「避難経路の為 開けます」

殴り書きした貼り紙に、現場の切迫感がにじむ。

益城町図書館の展示「地震の記憶」

今年4月の熊本地震で、震度7を2度観測した熊本県益城町。

10月に再開した町図書館の展示「地震の記憶」が話題を呼んでいる。

壁を埋めるのは、避難所で使用した貼り紙類や写真、被災家屋状況図などさまざま。

ほかにも町広報誌や更新の度に印刷した関連ホームページ、救援物資など生きた震災資料を提供する。

胸に迫る展示に込めた思いについて、同館に尋ねた。

益城町交流情報センター外観

益城町交流情報センター外観

14万冊が落下、再開まで半年

益城町交流情報センター内にある図書館では、4月14、16日の前震と本震により、蔵書約14万冊が書架からなだれ落ちた。

釣り式照明もほとんどが落下。建物は、地盤が液状化して1メートルほど沈下し、入口には段差が生じた。

書架からなだれ落ちた本

書架からなだれ落ち、散乱する本

地震後、公民館機能を兼ねる同センターは避難所となり、図書館も全国から支援に訪れた行政職員の待機所となった。

5月ごろから、徐々に本が散乱する館内の原状回復に取り掛かった。

司書たち自身が被災した中、出勤できた数人とボランティアによる地道な手作業だった。

ヘルメットを被り蔵書を点検する司書たち

ヘルメットを被り蔵書を点検する司書たち

棚ごと破損した2階の閉架書庫の修理や、釣り式だったLED照明の改修など課題は山積み。

8月31日に避難所が閉鎖し、ようやく蔵書点検に入れたのは9月から。

家屋倒壊など貸出先で所在不明になった本も少なくなく、余震を警戒しヘルメットを被って確認を続けた。

半年近く経った10月1日、通常業務の再開にこぎ着けた。

避難所から持ち寄り資料収集

地震の資料収集は、県内の図書館から助言を受けて5月上旬から始まった。

刻一刻と変わる状況で、捨てられそうになる告知文などを司書たち自身が滞在する避難所から持ち寄ったという。

地域住民たちにもポスターなどで資料提供を呼び掛け、「ゴミになるようなプリントでも」集めていったという。

臨時で開設した「ミニ図書館」や読み聞かせ活動など、図書館業務とのバランス。さらに、著作権や肖像権へも気を配った。

「地震の記憶」展示コーナー

「地震の記憶」展示コーナー

災害時の貼り紙やポスターの保存活動は、阪神淡路大震災後の神戸大学の取り組みが先駆けだ。

次世代に教訓を伝える「震災文庫」として収集・整理するもので、東日本大震災でも仙台市民図書館などが行っている。

益城町図書館も、熊本市のくまもと森都心プラザ図書館や熊本大学附属図書館などと協力している。

新聞を整理する司書たち

再開に向け、新聞を整理する司書たち

背景にはブルーシート

益城町図書館では、集めた200点余りの展示品の背景にブルーシートを張っている。

「被災者の生活を支えてくれたもの」という思いを託す。

資料を読み解くと、食事の仕方や衛生環境を保つためのトイレ掃除の方法、など、避難時の課題が浮かび上がる。

一方、行政書士による罹災(りさい)証明書の発行支援窓口や地元温泉への無料招待など、助け合いの様子もうかがえる。

資料提供を呼びかけるポスター

資料提供を呼びかけるポスター

新聞各紙の切り抜きや関連本もそろえ、専用のテーブルと座席を用意して閲覧できるよう整えた。

「記憶は薄れてしまうもの。

いつ起こるかわからない自然災害に備えるためにも、当時の状況を振り返ることが大切です」

(益城町図書館公式Facebookより)

ねぎらいの言葉に感謝

10月以降、来館者の様子から図書館の再開を心待ちにしていたことを感じるという。

地震コーナーは町外からの閲覧者も多いといい、特に子供が関心を寄せているそうだ。

「ほとんどの町民が被災している中、私たちへのねぎらいの言葉までかけていただくこともありました」

震災資料の整理作業

震災資料の整理作業

資料は増え続けており、現時点で5千点以上。

同館は今後、保存・公開に向けて他館と連携しながら分類作業を進めていく予定だ。

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