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年越しの風習「ケツまくら」?県PR動画、地元役場は「知らない」

出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

地元役場「初めて聞いた」

ケツまくら……なんだそれ?

青森県出身の筆者が、映像を見た最初の感想だ。

関西圏に観光PRをしようと、青森県は12月19日、PR動画「ディス(り)カバリー青森!」をYouTubeに公開した。

滑舌の悪さが売りの芸人・諸見里大介さん(吉本興業)が、強いなまりで観光名所を紹介する県民や“県つづ”(県ちじ)とラップバトルを繰り広げる内容である。

1:集合

出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

「字幕必須!」の触れ込み通り、東京23区生まれ23区育ちの筆者の後輩は「何を言っているのかほとんど分からない」と驚く。

筆者自身は当然、内容が理解できるし、こういうローカル色の濃い動画は好きである。

しかし、内容以上に気になったのが、2分35秒ごろに登場する「ケツ枕」という初耳の単語。

さも皆が知るような紹介だが、動画に出てきた同県横浜町の役場も「初めて聞きました」と首をかしげる。

ケツ枕、いったい何だっきゃ!?

出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

人の尻を枕にする文化らしい

今回の動画によると、「ケツ枕」は大晦日の夜、家族がいろりの周りで年齢順に円をつくって横になり、それぞれの尻を枕にして年を越す風習という。

とりあえず、たいへん眠りにくそうだ。

県の担当者によると、動画に写る文献資料は「綜合日本民俗語彙」(1956年、民俗学研究所編)。

図の説明には「青森縣上北郡有畑などでは―」とあるが、これは上北郡で唯一の「有畑」である横浜町有畑(ありはた)地区だろう。

しかし、横浜町役場の担当者はIRORIO編集部の取材に「確かに町内に有畑地区はありますが、初めて聞きました。年長の者も知らないと言っています」と語る。

ケツ枕に着目ブロガーも「なぜ今?」

ケツ枕について、2013年2月から調べている東京都のブロガー・ねこぜさん(@nekoze_aomori)は、今回の映像を見て「なぜこのタイミングで紹介しているのか」と不思議がる。

青森好きというねこぜさんは当時、同県北端に近い佐井村を訪れた際に「ケツ枕」のうわさ話を耳にした。

以降、有畑地区で聞き取り調査をするなどしてブログ「ねこぜの東京⇔青森」で発信してきた。

PR動画の一場面 出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

PR動画の一場面「あなたのところはどうなのよ?」 出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

ケツ枕に言及していた2011年12月の週刊誌の記事で、コメントしていた同県東北町の役場職員にも直接話を聞いたが、郷土誌の記述を教えただけで実際やっていたかは分からないとの回答だったという。

結論として、風習の有無について確定的な情報は得られなかったそうだ。

ねこぜさんは今年12月11日にもケツ枕の情報を求めるツイートを投稿しており、詳細は同12日付のブログにまとめている。

かなり限定されたエリア?

県の担当者によると、動画は県内の広告代理店に依頼して制作した。

ケツ枕は代理店側の提案だったという。

担当者も横浜町と同じ地方の出身というが、「エリアがだいぶ限られているようです。私も聞いたことがない」と語る。

PR動画の一場面 出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

PR動画の一場面 出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

諸説あるようですが、もっと(有畑地区に近い)むつ市寄りの集落じゃないかとも言われているようです。

出典の資料自体もかなり古いもの。調べた限りでは、今知っている方は相当少ないかと思います。

語感が良い言葉を

県や横浜町役場の担当者、ねこぜさんの話をまとめると、少なくとも2016年現在、「ケツ枕」文化が残っている可能性は極めて低そうだ。

県の担当者は「ラップですから、語感が良い言葉を使ったんだと思います」と語る。

6:主婦

田んぼアートをPRする主婦たち 出典元:「ディス(り)カバリー青森!」

関西圏の人に興味を持ってもらおうと、お笑いの要素を盛り込んだという今回の動画。

そんな風習があったのかもね、くらいに気楽に鑑賞してよいだろう。

ケツ枕に関心を抱いた他県の方にはちょっと申し訳ないが、青森にはケツ枕以外にも面白い文化や美味しい食べ物がたくさんあるので、ぜひ一度訪れてみてほしい。

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tiji

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