シェア

「柿の種」の元祖・浪花屋に聞く、話のタネになるトリビア5つ:おしえて企業さん(9)

柿の種3

年末年始は実家に戻り、地元の友人や親戚家族と杯を交わす人も多いでしょう。

お酒のつまみとしても、スナック菓子としても美味しい米菓「柿の種」が活躍する時期。

全国的に新潟県の亀田製菓や三幸製菓の製品が有名ですが、元祖の企業を知らない人も多いのではないでしょうか。

今回、同じく新潟県で「柿の種」を生んだ浪花屋製菓株式会社(長岡市)に、柿の種が芽を吹くまでのストーリーを伺いました。

浪花屋製菓の外観

浪花屋製菓の外観 提供:浪花屋製菓株式会社

1、誤って踏みつけた金型で

柿の種は1924(大正13)年、創業者・今井與三郎氏の「うっかり」によって生まれました。

当時つくっていた小判型の「あられ」の金型を誤って踏みつぶし、ゆがませてしまったそうです。

浪花屋の「元祖柿の種」

浪花屋の「元祖柿の種」

その金型の形が、現在のよく知られている三日月形。

仕方なくそのまま使っていたところ、当時のお客さんに「柿の種に似ている」と言われ、商品名に採用されました。

このエピソードは同社の缶入り柿の種のしおりにも書いており、知っている人も多いかもしれません。

2、誕生時は贈答用の高級菓子

その後、改良されて当時高価だった「もち米」からつくるようになると、「ハレの菓子」「贈答用」として県内で好評に

他社から類似品が出るようになり、県外にも広がりました。

気軽に食べる徳用品の印象が強いですが、現在も米菓各社がお土産にできる高級品を出しています。

柿の種6

おみやげ用のパッケージ

3、特許も商標も取得せず

浪花屋では、「柿の種」の製法の特許も名称としての商標登録も取った記録がないといいます。

商標については、特許庁がすでに一般名称と判断しており、現在は誰も取得できないそうです。

商標は取得したが更新せずに権利が消滅したとも、そもそも申請しなかったとも言われ定かではありません。

しかし、誰もが知る名称として認知され、米菓の中の一ジャンルとして確立する要因になったと考えております。

もし商標権を持っていたら、新潟の一米菓メーカーの一商品名にしかならなかったと思います。

結果として、弊社は「元祖」という称号を頂いたと考え、「元祖の柿の種」を大切に守っていくことが使命と考えております。

柿の種7

なお、特許庁の商標データベースによると、浪花屋では「元祖柿の種」を1975年に商標登録。

パッケージ上のデザイン化した文字としての「柿の種」は、浪花屋と亀田製菓(新潟市)がそれぞれ登録しています。

4、缶売りのほうが美味しい?

柿の種はビニール袋の小包装が一般的ですが、浪花屋は袋入りとともに、現在も缶入りを販売し続けています。

缶はエコで100%リサイクルできるだけでなく、遮光性、密封性に富み環境にも商品にも優しい包材です。

ビニールと同じ中身のはずですが、皆さん口を揃えて「缶入りは美味しい」「缶入りは中身が違うのでしょう」と言われます。

缶が中の柿の種を優しく守り熟成させてくれるので、美味しさがより感じられるのです。

缶入りの柿の種

缶入りの柿の種

昭和初めの新潟の農村の秋を描いた缶の図柄は、1961(昭和36)年の発売以来55年間、ほとんど変わっていません。

珍しい缶入り柿の種について、「浪花屋の代名詞として今後もつくり続ける所存です」としています。

缶にはふたに開け方の解説がある

缶にはふたに開け方の解説がある

5、柿の種チョコは「立川」発!

伝統を守る同社ですが、新しい形も生み出しています。

柿の種をチョコレートでコーティングした「柿チョコ」シリーズは、22年前の1994(平成6)年の第1弾を発売し、2014(平成26)年までにカフェオレ味やイチゴ味など計6種をそろえています。

柿チョコシリーズ

柿チョコシリーズ

当時の営業担当が、駅売店KIOSKさんの立川店での商談の会話で、『柿の種とチョコレートはよく合うのでチョコレート掛けしてみたらどうか?』という何気ない一言がきっかけと聞いております。

発売した頃は、KIOSKさんには真っ先に取り扱い頂きましたが、それ以外には「キワモノ」「ゲテモノ」扱いでまったく受け入れてもらえませんでした。

しかし、女性ファッション誌などが取り上げるようになり、クチコミで評判が広がります。

口に含むと、溶けていくチョコの甘味を辛さがすっと調える食べやすい一品です。

「素敵なミスマッチ」をキャッチコピーに、次第に他社が似た製品を出すなど市場を拡大していきました。

ちなみに、「柿チョコ」は同社が商標登録しています。

こだわりは砂糖なし

甘いチョコレートを生かす一方、柿の種自体には砂糖を使っていないといいます。

地元・新潟県中越(ちゅうえつ)地方のお祝いの席で食べるという「しょう油赤飯」の味に近いと言われるそうです。

しょう油赤飯とは一般的な赤飯と異なり、出汁しょう油を掛けて食べます。

柿の種3

もち米で作り焼き上げた香ばしいあられとしょう油だれの旨味、ピリッとした唐辛子の辛味が、もち米の持つコク(旨味・甘味)と相まって「しょう油赤飯の味がする」と言われてきたものと思います。

もち米としょう油だれが、直火焼きの柿の種の味わいを引き立てるベストマッチと考えています。

小さい粒のおかきに、意外な歴史とこだわりが詰まっている柿の種。

今度つまむ際は、一粒ずつ噛みしめて味わいたいものです。

【関連記事】

第1回:キユーピー株式会社の「シンボルマーク」にまつわる6つのこと

キューピー

第2回:富士フイルムの『写ルンです』がデジタル化に負けないワケ

Fujifilm

第3回:ノリの容器にプリン!「フエキ練乳ミルクプリン」開発エピソードを聞きました

フキエ6

第4回:夏にも女性にも飲んでほしい!40年以上甘酒を売る森永の次の戦略

第5回:『フルーチェ』が40年以上も愛され続けるワケは?開発秘話、こだわりの食べ方、幻の商品に迫る

第6回:「昼夜でデザインが変わるTシャツ」はなぜ作られた?反射材メーカー×アパレルのコラボに迫る

第7回:「プッチンプリン」実は違う商品名だった?知られざるロングセラーの謎

200×113

第8回:試着せずにどうやってメガネを買ってもらうの?JINSのネット販売戦略について聞いてみた

topjins

Posted: |Updated:

Text by

前の記事を見る

次の記事を見る

注目の記事

Ranking