ダウン症を引き起こす染色体の異常な機能をiPS細胞で修正――染色体治療を提唱

2013年07月20日 08時00分

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shutterstock
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ダウン症は21番染色体が3本(通常どの染色体も2本)あることが原因の遺伝病。母親の出産年齢が高いほど発生頻度が増加するが、一般的に約1/800の割合で起こる。知的障害や先天的心臓異常など、症状はさまざまだが、治療法・治療薬は存在しない。

最新の研究で、染色体全体の働きを抑える特殊な遺伝子をダウン症の余分な21番染色体に組み込んで、細胞の機能を改善することに成功した、と米マサチューセッツ大学の研究チームが報告した。

この研究チームはダウン症患者から作られたiPS細胞(京都大学の山中伸弥教授が開発した、体中のどんな細胞にも分化することが可能な細胞)を用いた。このダウン症iPS細胞の余分な21番染色体に「Xist」と呼ばれる染色体全体の機能を抑える遺伝子を組み込んだ。この組み込まれたXist遺伝子が働いて、余分な21番染色体全体の機能を抑えることが可能であると実証した。また、ダウン症iPS細胞で見られる神経細胞分化の異常も改善された。

この方法は、現段階ではXist遺伝子を染色体に組む込む必要があるので、そのまま治療に使うことは困難。しかし、この研究グループは長期的にはこの原理を応用してダウン症やその他の染色体異常に対する「染色体治療」が開発される可能性がある、と提唱している。

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