カーボンナノチューブで史上最強の化学繊維が作られる!?

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カーボンナノチューブは炭素原子が六角形の網目になり、筒状になった物質。次世代の素材として、半導体や燃料電池などさまざまな方面に応用が期待されている。また、非常に軽いながらも高い強度としなやかな弾力性を持っているため、構造物への応用も考えられている。

これらのカーボンナノチューブの特性を生かして、軽くて最強の強度を持つ繊維素材を作る研究開発が世界中の大学・企業で盛んに実施されている

米ノースイースタン大学では、合成樹脂の一種であるポリビニルアルコールを作る際にカーボンナノチューブを核として混ぜることによって、その強度を上げることに成功している。

帝人は今年の1月、グループ会社が米ライス大学などとの共同研究でカーボンナノチューブ100%の繊維を開発したことを報告した。この繊維は優れた電気/熱伝導性があり、なおかつ高い強度としなやかさをもつ。

カーボンナノチューブを利用した繊維の今後の応用としては、高い電気/熱伝導性を生かして、より軽い電気通信ケーブル、アンテナなどでの使用が計画されている。さらには、エレクトロニクス機能を衣料と一体化させた「ウェアラブル・エレクトロニクス」分野を切り開くことも期待されている。また、より軽くて、より防護効果の高い防弾チョッキなど軍事/防衛的産業への応用も考えられる。

カーボンナノチューブはごくありふれた炭素でできているため、原理的には非常に安いコストで製造可能だ。今後は大量生産が可能なより安価な製造方法の開発などに重点が置かれる。

ちなみに現在テニスラケットや釣り竿から車や飛行機など至るところで盛んに使われている「炭素繊維」とカーボンナノチューブはもちろん同じ炭素でできているが、大きな違いがある。例えば、炭素繊維は繊維1本当たり直径数マイクロメートルでできているのに対し、カーボンナノチューブはその名の通り直径数ナノメートルで、数百~千分の1程度の太さ。製造方法も炭素繊維は従来の化学繊維を「炭素化」して製造するのに対し、カーボンナノチューブは通常炭素から直接作られる。これら点のからもカーボンナノチューブが次世代の素材であることが分かる。

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