ADHDを「広く定義して治療することは不必要」。約480億円の医療費が無駄と専門家が警告!

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注意欠陥・多動性障害(ADHD)は「落ち着きがない」「日常的に不注意な行動を起こす」「衝動的に行動する」などといった症状を特徴とする発達障害で、近年急速にその認知と解明が進んできた。

ADHDと診断される児童は全世界的に増加している。オーストラリアでは2000年から2011年にかけて72.9%増加した。英国では2003年から2008年にかけて児童は2倍、成人では4倍に増加。これらの増加はこれまで見過ごされて来たADHD患者を見逃さずに診断できるようになった結果とも言える。しかし、実際は誤診例や大げさな診断例が多いことが懸念されており、実際アメリカでは450万人がADHDと診断されているが、そのうちの100万人が誤診である可能性を過去に指摘されている。

 今回さらに、豪ボンド大学などの研究グループは11月5日付の「British Medical Journal」誌上で「ADHDを広く定義して診断・治療することは不必要であり、害を及ぼすリスクさえある」と問題提起している。ADHDの不必要な診断・治療の結果、アメリカ国内だけでも5億ドル(約480億円)の医療費が無駄になったと、この研究グループは見積もっている。

 この研究グループは「ADHDの薬物治療の短期的な治療効果については結論が出ているものの、長期的な効果は分かっていない」と指摘。その副作用とのコストとの兼ね合いについて疑問を呈している。また、「ADHDの病理に関する研究は進展しているものの、病因は全く分かっていない。ADHDの診断定義をより広げることは大げさに診断するリスクを増大させる。このことは逆に、本当に専門家による診断・治療が必要な問題を抱える患者とその家族に対してADHDの診断する行為に信頼が得られない、という深刻な状況を招く」と主張している。

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