脳と脊髄の神経を電子回路で接続し、人工的に脳からの信号を強化することに成功(生理学研究所発表)

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脊髄損傷や脳梗塞などで身体が不自由な患者にとって運動機能を回復することは悲願。しかし、これまでのリハビリテーション法や運動補助装置では神経の接続自体が再生するわけではない。そのため、運動神経の接続を損傷している場合、これまでのやり方では回復は困難だった。

今回、生理学研究所などの研究チームは大脳皮質の神経細胞と脊髄とを電子回路を介して人工的に結合し、大脳皮質と脊髄の本来の神経のつながりを強化することに世界で初めて成功した、と発表した。また、本研究成果は11月7日付で「NEURON」誌に掲載されている。 

この研究チームは、サルの大脳皮質の神経細胞と脊髄を電子回路で人工的に神経接続した。この電子回路は、大脳皮質の神経活動を記録し、0.015秒後に脊髄に対して電気刺激する。サルは神経接続装置を付けながら行動し、ご飯を食べたり、遊んだり、寝たり、自由に日常を変わらず過ごしていた。その結果、次の日には大脳皮質と脊髄間の本来の神経の結合の強さは、人工神経接続前と比較すると、より強くなっていた。

その後も刺激のタイミングを変えるなど実験を進めた結果、興味深いことに 刺激のタイミングが0.012~0.025秒後だと本来の神経結合の強さは強化され、0.05秒以上では変化が見られなかった。逆に0.012秒よりも短いと神経結合は弱くなった。この結果は自由行動下の動物において、電気刺激のタイミングの違いによって神経同士の結合の強弱を人工的に制御することに世界で初めて成功したことを意味する。

 研究を主導した生理学研究所の西村幸男准教授は、「この技術は在宅で利用可能な脊髄損傷や脳梗塞後の運動・感覚機能の機能再建・リハビリテーションに役立つことが期待されます。シナプス結合は学習や記憶を司り、脳・脊髄の至るところにあります。この技術は学習能力や記憶を強化することにも応用可能かもしれません」と話している。

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