「呼吸」するかのように二酸化炭素を吸ったり吐いたりする粘土鉱物を発見(物質・材料研究機構発表)

Text by

  • 11
物質・材料研究機構

物質・材料研究機構

地球温暖化への懸念などから、地球規模での炭素循環の理解に関心が集まっている。炭素は空気中や海中の二酸化炭素や植物・動物などの生体物質として含まれるなど、地球全体を循環している。

今回、物質・材料研究機構の研究グループはそのような循環以外に、「ハイドロタルサイト」と呼ばれる粘土鉱物が空気中の二酸化炭素をあたかも「呼吸」しているかのように吸ったり、吐いたりしていることを発見した。 

ハイドロタルサイトは、天然に産出する粘土鉱物の一種で、マグネシウムとアルミニウム、炭素、水素などの元素からなる層状化合物。層間に陰イオンを取り込む性質がある。その性質から胃酸を中和する制酸剤や、塩化ビニールの安定剤などに利用されている。 

この研究グループはハイドロタルサイトの層間に存在する炭酸イオンの動態を調べた。その結果、炭酸イオンは空気中の二酸化炭素と、数日から1週間程度で入れ替わっていることが分かった。さらにハイドロタルサイトの層間には、空気中の二酸化炭素だけを1グラムあたり約4ccの量だけ吸着し、二酸化炭素よりも分子径の小さい窒素ガスは取り込まなかった。こうした層間の炭酸イオンと空気中の二酸化炭素との交換が繰り返され、あたかも粘土鉱物が“呼吸”をしているようだという。

今後はハイドロタルサイトの構造を変えることで、二酸化炭素の吸着量や交換速度を向上させ、効率的な二酸化炭素の分離膜や還元触媒などの次世代材料の開発を進めるという。また、この発見は従来の炭素循環からは想像できない新現象であるため、地球規模での炭素循環に対する考え方を変える可能もあるようだ。

この研究は11月15日付で米国化学会誌『Journal of the American Chemical Society』に掲載された。

 

Posted: |Updated:

注目の記事

前の記事を見る

次の記事を見る

Ranking