ドイツで勢いを増す反欧州イスラム化団体PEGIDAとドレスデン

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Flickr_Caruso Pinguin

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イスラム系グループによるものとされているパリの風刺週刊誌社シャルリー・エブド本社襲撃事件により、欧州での反イスラム感情の高まりが懸念されているが、隣国ドイツではすでに昨年より、各地で反イスラムデモを行う団体が大きな注目を集めている。

PEGIDAを生んだ旧東の古都ドレスデン

その協会の名はPEGIDA。Patriorische Europäer gegen die Islamisierung des Abendlands(欧州イスラム化に反対する愛国的ヨーロッパ人)の略称だ。昨年10月より活動を始めたこの団体は、その名のとおり移民政策によるドイツ他ヨーロッパ諸国の「イスラム化」を危惧し、「非暴力」を強調しつつもこれに抗議するデモをドイツ各都市で繰り広げている。

その発祥の地となったのは、ドイツ・ザクセン州の州都ドレスデン。『飛ぶ教室』で知られる児童文学者エーリッヒ・ケストナーの出身地であり、森鴎外『文づかひ』の舞台ともなっている旧東ドイツの古都である。

記事『5人に1人が移民の家系!開かれた大国ドイツの現況』に記したように、ドイツで移民の大部が居住しているのは旧西の諸都市であり、旧東のドレスデンで移民の家系に属する者は住民の7,5%に過ぎない。にもかかわらず他の各都市を圧倒する規模でこの反移民運動のメッカとなっている。しかも他所のデモ参加者の多くが公然たる右翼扇動家、フーリガンなのに対し、ドレスデンのPEGIDAデモを占める数千人は一般市民なのだ。

 

PEGIDAがドレスデンで勢いづく5つの理由

ではなぜPEGIDAはこのドレスデンで最大の成果を挙げているのか。SPIEGEL誌の記事はその理由として5つの点を挙げる。

 ■難民への風当たりの強まり
ミュンヘンやベルリンといった西側都市で数ヶ月前より、難民収容施設新設に抗議するデモが行われ、難民受容政策に対する風当たりが強くなっている。旧東のドレスデンでは目下さほどの状況でないものの、いずれ西と同じような事態になる前に抗議をせねばならない、とPEGIDAは煽る。

■政治的に保守的な環境
ドレスデンは25年来、保守派のドイツキリスト教民主同盟(CDU)が政権を握っている。さらに右派政党ドイツのための選択肢(AfD)が州議会の1割近くを占め、極右政党ドイツ国家民主党(NPD)も昨年まで10年来、州議会に議席を得ていた。

■右派スローガンの許容
東西ドイツ統一期よりザクセン州はネオナチによる外国人狩りが横行、極右テロ組織として知られる国家社会主義地下組織(NSU)のアジトもあった。そうした言行を瑣末視する保守派の存在が、PEGIDA登場を準備したといえる。

■政治組織への不信
特に旧東地域では、未だ政治組織に対する不信感が根強い。最近行われたザクセン州州議会選挙での投票率も半分を割っているという。自分たちの声を世に届かせるには、自らデモを行うにしくはない、となるわけだ。また共産主義時代の影響から、対抗勢力となりうるキリスト教会の力が弱いのもPEGIDAには追い風。

■ナチス時代より残る怨恨
ドレスデンは第二次大戦末期の1945年2月、連合国軍による大規模な空襲により、町の大部を破壊された過去を持つ。現在でもほぼ毎年同時期に、爆撃への抗議を表す右派のデモが行われる。こうした被害者の記憶は人々をPEGIDAの主張に乗り沿い易くする。

 

「私はシャルリー、だがPEGIDAではない」

 こうした懸念される状況の一方、ドレスデンの「PEGIDA化」を憂慮する向きも市民には見られる。先日同市で行われたシャルリー・エブド社襲撃事件を受けてのデモにはおよそ35000人が参加。同事件をPEGIDAの反イスラム運動に結びつけようとする動きをけん制する姿勢を公然と示した。

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