話題のアナログゲーム「この過労死がすごい」に迫る!製作者3人にいろいろ聞いてみた

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今年の1月に池袋に「ジェリージェリーカフェ」、飯田橋にボードゲームバー「Gluck」ができるなどジワジワ盛り上がっているアナログゲーム市場。

そんなアナログゲームの中でも、同人誌サークルの「反社会人サークル」が作った「この過労死がすごい」は、国内最大規模のアナログゲームイベント「ゲームマーケット」で発売されるやいなや即完売になるなど、好評を博した。

公式ページによる3行の説明によると

・欧米でも「KAROSHI」として知られる「カロウシ」をテーマにしたカードゲーム
・上司はカロウシを防止しろ! 社畜はカロウシせずに、同僚をカロウシさせろ!
・ブラックユーモアにあふれたバラエティ豊かなカードにも注目。

名前もすごいけど、コンセプトもなんだかすごい…IRORIO編集部はゲームを作った「反社会人サークル」に接触。ゲーム作りの秘話などをいろいろと聞かせてもらうことにした。

なぜゲームを作ろうと思ったか?

ゲームを作った反社会人サークルの御三方に来てもらい話を聞いてみた。左からnoir_k氏 、Nerd_Arthur氏、2tar氏。

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ゲームのルールはプレイヤーが社畜に扮し、社畜の残業時間を監視する上司の目を気にしながらも残業時間(ブユウデン)を貯めるというもの。

ただし、残業時間は3であれば100時間、4人であれば80時間、5人であれば60時間以内に抑えなくてはならない。

残業時間が多すぎると上司からチェックが入ったり、死亡するリスクがあり、残業時間が少なすぎると給料が稼げない=負けとなってしまうというもの。

実際にプレイしてみると、空気を読みつつ無理をして給料を稼ぐ気分が味わえ、厳しい上司の下で社畜になっているように思えてくる。

かなり作りこまれており、しっかりとゲームとして楽しめるので、興味がある人はぜひプレイをしてもらいたい。

ゲームが終わったところで、さっそく質問をぶつけてみた。

理不尽なカードが勢ぞろい!メンバーのお気に入りは?

IRORIO編集部:このゲームで体験する理不尽さや空気を読まないといけない感じは、まさに社会人が会社生活で体験することですね。

noir_k:はい、このゲームは現実感にこだわって作っています。もちろん、社会はおのおの経験が違うかと思いますが、実際メンバーが体験した「年末進行」といったカードを作ったり、ネットで話題になった「ワンオペ」、今では少なくなりましたが昔ながらの企業にある「社内運動会」といったカードなど、非常にリアリティのある残業カードがそろっているかと思います。

IRORIO編集部:皆さんが特に気に入っているカードを教えてください。

2tar:僕は「残業削減活動」が気に入っています。何といいますか、非常に日本人的で、よくある手段と目的が逆転してしまっている事例の一つじゃないですか?

せっかく頑張って残業削減活動プランを練って、「残業を削減させるために、パソコンのスペックを上げてほしい」と提案したら、嫌な顔をされるみたいな。

なんですかねぇ、改善すればどうにかなる、内的な反省を求める感じがなんだかグッときますよね。

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Nerd_Arthur:私はこの「カロウシチャンス」ですかね。このウサギ、私たちのサークルのロゴマークにも使っているんですけど、カードを見て頂ければ何を意味するか分かりますよね(苦笑)

あと「カロウシ」と「チャンス」という語呂や言葉の結びつきもいいですよね。Twitterでもこの言葉に反応する方が非常に多かったです。

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noir_k:私は「ちょっと5分だけ会議」ですかね。これ、実際体験した人も多いと思うんですけど、絶対5分では済まないですよね。このゲームでは1時間残業したことになります。

会議にしろ残業削減活動にしろなんというか効率や能率を考えず「仕事をやった感」を求めている側面ってあると思うんですよ。そういう社会人では誰もが体験することをゲームでも体験できるというのは面白いですよね。

このカードに限らず、ゲームのカードには仕事での理不尽な感じが反映されています。「説教タイム」のカードの残業時間が5時間とかリアルじゃないですか?

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IRORIO編集部:どういう社会人経験をしたかによってカードから受ける印象は違うかもしれないですね。ホワイト企業の社員とブラック企業の社員が対戦しても全く感じることは違ったりとか。

noir_k:仕事でどういう経験をしたかによって多少感じることが違うこともあるかと思いますが、あるあるな感じや、ネットでネタにされているファンタジックな残業の感じとかも楽しめると思いますよ。

ゲームに進出した理由や結成理由

IRORIO編集部:普段同人誌を作っている反社会人サークルが、ゲームに進出した理由を教えてください。

2tar:私たちは「ロウドウジン」という雑誌を作成しているのですが、その中に「この過労死がすごい!」というコーナーがあるんです。これをボードゲームで再現したくなりまして、このゲームを作ることにしました。

noir_k:ただ、このゲームを思いつくまではよかったのですが、ゲームの世界観を作るのに非常に苦労をしました。ボードゲームであれば大きなボードがあるので、ゲームの世界観を演出しやすいんですが、いかんせんカードだけとなるとそれが難しくて……あとゲームバランスの調整も骨が折れる作業でしたね。

いざテストプレイを行うと、だんだんあたたかも社畜になって残業が行われているような会話になってくるんですよ。「あ~年末進行つらい!」とか(笑)。なんだか本当に社畜の気分になるんですけど、もちろん実際に年末進行で25時間残業しているわけではなくて、ふと我に返る瞬間が楽しかったです。

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IRORIO編集部:反社会人サークルを立ち上げたきっかけというのはどのようなものになるのでしょうか?

noir_k:もともと私と2tarが学生時代の友達で、一方Nerd_Arthurとは別の知人の紹介で知り合いました。ある日、なんとなく開催された3人での飲み会の最中に「社会人の休日の過ごし方としてイケてないBBQはどうなのか?」という話になり、アンチテーゼでこのサークルを作りました。必要に応じて、他の方にお手伝いいただくことはありますが、メインで活動しているのはこの3人です。

IRORIO編集部:社会人になってからだとなかなか会って時間を取って雑誌を作ったり、ゲームを作るのは大変じゃないですか?

noir_k:同人誌であれば、共同企画もありますが、分担して記事を作っているので必ずしも会わなくてはならないということはないです。とはいえアイディア出しなど、実際に顔を突き合わせて会話をしないとなかなか進まないこともあるので、大変といえば大変ですね。

Nerd_Arthur:残業して家に帰ってきてから数時間記事を執筆するというのはなかなかつらいものがあります。特に2tarは家庭を持っているのでしんどいものがあるのではないかと。

IRORIO編集部:昨今ではオンラインメディアが盛り上がっていますが、今後反社会人サークルさんはこの分野に参入する予定はありますか?

2tar:ロウドウジンをウェブでも展開しなければならないとは考えているのですが、未だに実行に移せていません。その理由は、メンバーが締め切りのないことができない性分だからです。こうした趣味の活動を奇跡的に継続できているのは、文学フリマやゲームマーケットという締め切りがあるからだったりします。

IRORIO編集部:普段、編集会議ではどのようなことを話していますか?

2tar:企画会議は、単なる飲み会という説もありますが、その時々の時事ネタについて話したりしつつ、本の内容を決めていきます。もし今行うのであれば、まずはロウドウと絡めやすいアイドルグループの話でしょうか。他には「ゲスの極み」や「シャブばばあ」「イクメン議員」「暴力団と関わりがないとされるYouTuber」あたりについて話すと思います。

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ロウドウジンはどうなっていくのか?

IRORIO編集部:「この過労死がすごい!」が大ヒットしましたが、このゲームの第2弾を発売する予定はありますか?

noir_k:現在のところは考えていませんが、追加販売分が好評であればありうるかもしれません。ただ、このゲームではなく、別の表現手段になるかもしれませんね。

IRORIO編集部:最終的な目標はロードムービーならぬロウドウムービーを取ることとお聞きしました。どのようなものになる予定ですか?

2tar:特に決めていませんが、しっかり脚本を作るような映画は時間的にもあまり現実的ではないので、何かを撮影して編集した結果、結果的にひとつの動画作品となるようなものが良いのではないかと考えています。

IRORIO編集部:今後2tarさんは家庭を持っているということもあり忙しくなるかと思います。今後の活動のテーマが「労働」ではなく「家族」などに変わる可能性はありますか?

2tar:特に考えてはいませんが、子供と何かコンテンツをつくる、ということはありうるかもしれません。

反社会人サークル

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