【新治療】救いの主は母から移植された糞便 腸内感染の重症患者に朗報か

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糞便が著しい治療効果を発揮するケースが報告されて話題となっている。

カリフォルニア州のケイトリン・ハンターさん(20)は、交通事故で一カ月入院した直後、激烈な腹痛で再び入院生活を余儀なくされた。原因は細菌、クロストリジウム・ディフィシルの感染で、入院中に感染予防のため大量の抗生物質投与を受けた際、腸の常在菌のバランスが崩れたために、異常に増殖したと考えられる。標準的な治療ではさらに抗生物質の投与を行い、Cディフィシルを殺し、かつ健康な細菌の増殖を図るのだが、ハンターさんのように9ラウンドもの抗生物質治療を受けた患者には、あまり効果が望めない。

そこで医師団は、新しい治療“糞便移植”に踏み切ることを決めた。ハンターさんの母親がドナーとなり、ラボで慎重に希釈された健康な便がハンターさんの腸に移植された。

効果は抜群であった。腸内は移植された便からの健康な細菌によって蘇り、ハンターさんのCディフィシルとの戦いは終わりを告げたのだ。

3月に発表された調査では、一回の糞便移植で91%の治療効果が、さらに抗生物質投与と組み合わせた場合は98%の高率で効果が認められた。注目すべきは、これらは全て重症患者が対象で、平均して5ラウンドの抗生物質治療を、11ヵ月間続けてきた患者たちだったという。

アメリカでは同疾病に苦しむ患者は年間14,000人を超すと言われる。日本ではそこまでの患者数は報告されていないが、院内感染で重症化し、死に至るケースもあるそうだ。この治療法が確立され、一人でも病気に苦しむ人間が少なくなっていくことを願う。

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