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社交不安症(対人恐怖症)の治療に「会話」が確かな効果をもたらすと確認。宮崎大、千葉大などの共同研究

イメージ写真/Adobe Stock

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宮崎大学の吉永尚紀講師と千葉大学の清水栄司教授らの研究グループは6月3日、抗うつ薬で改善しない社交不安症(対人恐怖症)に対して、認知行動療法が長期にわたり確かな効果をもたらすことを臨床試験により明らかになったと発表しました。

抗うつ剤が効かなかった場合の治療法

発表によると、社交不安症とは、例えば「人の前で話をする」「近所の人と雑談をする」「電話をかける」「人前で食事をする」など、人との交流場面で著しい不安や恐怖を感じる精神疾患。日常生活に支障をきたすほど強い不安や苦痛を感じるもので、単なるはずかしがり屋とは違います。

治療には現在、抗うつ剤が最も普及していますが、抗うつ剤が効かなかった場合の治療法が確立していませんでした。

研究グループでは、過去に抗うつ剤で改善しない患者に認知行動療法を行い、4カ月の経過観察の結果、認知行動療法が短期的な回復に有効であることを確認しました。

研究では、認知行動療法後の1年間をフォローアップをしたところ、効果が1年後まで維持されており、また、治療を終えた直後よりも1年後の方がさらに回復していたとのことです。

認知行動療法を受けた21名の患者のうち、85.7%が明らかな改善反応を示し、57/1%は社交不安症の診断がつかない程度、つまり健常者と見分けがつかない程度にまで回復していました。

これは、認知行動療法が短期的な効果をもたらすだけでなく、その過程で得たスキルや学びを、治療後の日常生活に取り入れ続けることでさらなる改善につながっているとみています。

週1回の面接を16回行う

認知行動治療法は「認知(思考)」と「行動」に焦点をあてた心理学的な治療法で、治療者は患者とともに、社交場面で生じる否定的な思考や行動のクセに気付き、社交不安の悪循環を理解していきます。

その後、ロールプレイ、ビデオフィードバック、行動実験などの様々な技法を面接室の内外で使いながら「患者自身」が自分の治療者になることを目指して行われたとのことです。週1回50~90分の面接が計16回行われました。

この研究は宮崎大学、横浜市立大学、国立保健医療科学院、千葉大学のの専門家から構成された研究グループが行い、千葉大学医学部で実施されました。

論文は、2019年5月23日付で欧州医学雑誌のPsychotherapy and Psychosomatics誌にてオンライン公開されています。(Yoshinaga et al., 2019 [10.1159/000500108])。

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Text by aya_saya

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