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【もはや孤独は許されない?】外界・文明と接触しない民族の苦難

shutterstock

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世界には文明に接していない種族が、多くいるのをご存じだろうか。

ブラジル政府機関は約200人の原住民が、アマゾンの西で外の世界と接触せずに暮らしているのを確認している。

また原住民の支援団体である Survival Internationalによれば、空から映像で確認したところ、ブラジル北西部にあるジャバリ谷の近くで原住民の家が多く目撃され、約2000人が住んでいると判明。さらに世界中には外界との接触を断っている部族が、100もあると推定している。

Survival Internationalのスポークスマンはlivescienceに次のように語った。

「彼らは決して森の中で自分を見失っている種族でもないし、得体のしれない民族でもない。彼らはアマゾンの森が深く広がる土地で、自分たちの伝統的な生活を守るため、外界と接触しないで暮らすことを選んだ」

一方で確認された種族の中には、狩猟活動以外にもコーンやピーナッツ、バナナなどを栽培するようになったものもいる。

しかし、そんな彼らがさまざまな受難に遭遇している。

外の世界と接触しないことのリスクとは

6月下旬、外界と接触を断っていた部族のうち7人の男女が、インフルエンザに感染したことが判明した。

5人の若い男性と、2人の若い女性はある事情から、ブラジルの西にあるエーカー州 、Simpatia村に住んでいるAshaninka人を訪れた。訪問の間もAshaninka人に対してとてもフレンドリーで、数時間一緒に過ごしたという。

しかし、やがて彼らはインフルエンザの症状を示すようになった。そのため7月に数日間かけてインフルエンザの治療を受け、今後同じような系統のウィルスに感染した時のために、ワクチンも受け取った。そして7月11日には再び森へ帰って行った。

このニュースに対し、支援団体は不安を募らせている。何故なら外界と接触してこなかった彼らは、免疫を持っていないため、このような病気に対して非常に弱いからだ。

Survival Internationalの部長、ステファン・コリー氏は声明の中で次のように語った。
「悪夢のシナリオは、彼らが自分たちの村に帰る時、インフルエンザも一緒に運んでしまうこと。もし適切で継続的な医療行為が直ちに追加されなければ、大惨事となる可能性がある」

実際に過去にはマラリアやインフルエンザが猛威をふるい、多くの部族の村を荒廃させたこともある。1987年には、やはり Zo’e族が宣教師と接触した時、ありきたりな病気によって45人が死んだとされた。

さらに1980年代にこの土地で石油探査が行われた時も、作業員との接触によってNahua族の半数に死者が出るという惨事が起きている。

さまざまな病気に対する抵抗力の弱さ、これも外界と接触しないことのリスクなのだろう。

それだけではない彼らの受難

しかも、原住民は常に暴力の危険にさらされている。違法な密猟者や伐採業者、鉱山の採掘業者、牛の牧場経営者、宣教活動、ドラッグの運び屋 などが、彼らの幸せを常に脅かしている。

実際インフルエンザにかかった7人の男女も、実はペルーにある彼らの本拠地で繰り広げられた暴力から逃げてきたという。故郷にあるEnvira川の源流近くで発砲してきたのは、明らかに非原住民の人間だった、と彼らは通訳を介して語った。

エーカー州に住み、以前は文明との接触があった原住民の1人、ニキシワカ・ヤワナワ(Nixiwaka Yawanaw) 氏はSurvival Internationalのホームページの中で現状を訴える。
「我々はすでに知っています。もし当局が彼ら(原住民)を守るための方策を何も打ち出さなければ、どうなるか。
恐らく種族は消滅してしまうでしょう。いつ文明と接触を開始するべきか、それを決断するための時間が必要です。そんな彼らの意向は尊重されなければなりません」

現在、ブラジルやペルーなど国境を超えた違法業者の監視活動や、原住民の保護が求められている。

交通や通信の発達によって、世界はこれまで以上に狭められていく。それでも彼らは密やかな暮らしを望むのだろう。しかし病気への抵抗力のなさや外界からの暴力を考えると、明るい未来は望めそうもない。もしかしたら人も種族も孤独に生きることは許されていないのかもしれない。それも人がつながろうとする生きる動物だからだろうか。

Posted: |Updated:

Text by 大航海

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