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アメリカの作家が生む日本の「金継ぎ」をヒントにした卵殻アートが美しい

Elisa Sheehanさん提供

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陶磁器のひび割れなどの破損部分を漆でつなぎ合わせ、金箔などで装飾して、美しく修復する方法「金継ぎ」。

日本の伝統的なこの修復方法を真似て、卵の殻を使ったアート作品を手掛けるElisa Sheehanさんの作品が今、世界で注目を浴びている。

Elisaさんは米マサチューセッツ州出身で、現在はニューヨーク州サラトガ郡で活動しているアーティストだ。

elisasheehanart/Instagram

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殻の割れ目に金箔を装飾

殻の割れ目に金箔を装飾し、その「不完全さ」を「美」に見せる彼女の技法は、私たちの生き方にもヒントを示してくれる。

「陶磁器に使われる本物の金継ぎとは異なり、見た目を似せているだけ」と話す彼女だが、彼女は金継ぎの何に魅せられたのだろうか。

Elisa Sheehanさん提供

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IROIROはElisaさんを取材し、作品に込められている想いなどを尋ねた。

偶然の産物

―どのようにして殻のペイントを始めたのですか?

ほとんど偶然の産物でした。

フルタイムでのアート業務に携わる前は、グラフィックデザインに従事しており、毎朝5時に起きて子どもたちが起床するまでの2時間ほどをペインティングの時間に費やしていました。

私は子どもたちを家で見ながら過ごしている日々でしたので、その朝の2時間がとても貴重でした。

ある日、シンクからコップ一杯の水を取ろうとした時、角に置いてあった肥料瓶用の卵の殻をたまたまじっと観察したのです。

その中にとてもきれいで薄い何かが見えました。

その時に「これに何か描いてみたら楽しいのではないか」と思いついたのです。

私の作業しているスタジオは冬はとても寒かったので、自分の近くにヒーターを置いて、ワームアップのために卵の殻に落書きのようにペイントをするようになりました。

その作業は手を温めてくれるだけでなく、私の心も温めてくれ、貴重な朝の2時間は何を描こうか、何を成し遂げようかとじっくり考える良い機会となっていったのです。

そのようにして卵の殻はどんどんデスクに積み重ねられていき、すぐに私は殻のペイントに夢中になっていきました。

ミニ彫刻のようで、それ以上でもある。

ペイントした殻をいくつかのグループに分けていたら、額入りアートのようにできると思ったのです。

Elisa Sheehanさん提供

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不完全さの中に見出す美

―制作にあたり、こだわっている点は?

私は「金継ぎ」の背景にあるコンセプトを心から素敵だと思っています。

これまで通り、そのままの姿で、ありのまま生きていっていいのだと思わせてくれるからです。

さまざまな色や質感の上に金箔を塗っていき、割れ目を繋いでいくことは、それだけで魅力的で美しいのですが、そうすることによって、一つ一つの殻がそれ自身の小さな世界を作り上げることができます。

私はこの殻の制作を数年前に始めましたが、すでにその作品が表現しているものに魅了されています。

本当の価値としての不完全さ。

祝福され、尊敬され、美しいとされるべき亀裂。

壊れてしまったものを見限って、捨ててしまったり、新しいものに替えることは簡単だけれど、もしそうしなかったら?

欠陥やひび割れを、それまでよりさらに美しいかたちで修復することができたら?

これは、私たちの人生にも当てはめることができます。

あなた自身、あなたの不完全さ、老い、人間関係、キャリア、世界全てに。

完全でないものを、排除するのは止めて、もろいものや壊れたものを手に取り、気にかけて、修復し、その中に美しさを見出してほしい。

欠点や欠陥があることは、弱いということではありません。

これから強くなる可能性が秘めらているということであり、自分自身の道を照らすことができるということなのです。

一つ一つの殻は、完全に独特で、一つも同じものはありません。

しかし、コアとなるものは全て同じ。

それが、私がこの制作を通じて伝えたいことなので、それが伝わるように努力しています。

Elisa Sheehanさん提供

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―制作にあたり、困難を感じたことは何ですか?

出来上がった殻を、分類する作業です。

どれとどれを同じグループにするか。どのように分類するか。

一度に大量の作品を手掛けるので、最終段階で分類する作業が一番難しいと思っています。

―ありがとうございました。

Elisa Sheehanさん提供

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不完全なものを廃棄したり隠したりするのではなく、それをも楽しみ、ありのままの姿を受入れるというメッセージが込められていると知ると、一つ一つの作品がより愛おしいものに見えてくるのではないだろうか。

彼女の作品はウェブサイトから購入できる。

※画像はElisa Sheehanさんの許可を得て掲載しています。

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Text by Ericolatte

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