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頬の組織にワクチンを注入できる、針のない無痛注射器「MucoJet」

UC Berkeley photo by Stephen McNally

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10年以内に、痛い注射をせずにワクチン接種を受けられるようになるかもしれない。

3Dプリンターで作る、生体適合性のあるプラスチック製の小型カプセルMucoJetで、頬の組織にワクチンを注入する画期的な研究が、カリフォルニア大学バークレー校で進められている。

無針・無痛で、注射器よりも効果的

MucoJetの作動には、まずカプセルを押して反応を起こさせ、内部の圧力を高めてから頬の内側にカプセルを装着し、10秒ほど待つ。すると、圧力が頰の組織膜を破壊し、小さなノズルを通してワクチンの濃縮液流を体内に打ち込む仕組みだ。

開発に携わる機械・生物工学のKiana Aran教授は、「液流噴射の直径はごく小さく、圧力を集中させることができるため、粘膜層に浸透する」と解説。針を使わないMucoJetには痛みがなく、従来の注射器よりも効果的にウイルスを退治できる。

「現代のワクチンの大部分は筋肉内や皮下に注射されるが、病原体の大半は、実際には粘膜表面を介して身体に接近する」と教授は説明する。

経口ポリオワクチンやロタウイルスワクチンなど、粘膜表面を介して投与されるワクチンもあるが、生ウイルス成分を含むため、安全面においても有効性においても限界があるそうだ。

MucoJetを開発する研究者たちは、より安全で効果的な粘膜ワクチンを設計できると考えている。

UC Berkeley photo by Stephen McNally

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5〜10年以内の市場投入を目指す

これまでのところ、動物の口中の細胞にワクチンサイズの分子を到達させる概念の実証に成功している。MucoJetについての論文は、世界的に権威ある科学専門誌Science Translational Medicine誌に掲載された。

研究者は今後、サルやブタなど大型の動物でテストを行い、5〜10年以内には市場投入したいと考えている。さらに服用後にワクチンを体内で放出する、飲み込めるバージョンのMucoJetの設計も視野に入れている。

UC Berkeley photo by Stephen McNally

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子供向けに「ペロペロキャンディ」バージョンも

また、特にワクチン接種を必要とする子供たちを考慮し、装置の形状、サイズ、デザインの最適化を検討している。例えば、MucoJetをペロペロキャンディに加工することも可能という。

実現すれば、子供たちはワクチン接種を嫌がるどころか、キャンディをせがんでママを困らせることになるかもしれない。

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