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10年に渡り撮影された“幻の橋”の写真に心が揺さぶられる

Facebook/Ryoji Iwasaki

Facebook/Ryoji Iwasaki

写真家の岩崎 量示さんが10年以上に渡って撮影した“タウシュベツ川橋梁”の写真に心が揺さぶられると話題になっている。

幻の橋といわれて

北海道・上士幌町の糠平湖にあるタウシュベツ川橋梁は、かつての国鉄士幌線で使われたコンクリート製アーチ橋。

毎年6月頃から糠平湖の水かさが増え始めると橋は水没し始め、8月頃には湖底にすっかりと沈んでしまう。

そして湖の水かさが減り始める1月頃には、再び凍結した湖面に姿を現すため“幻の橋”といわれている。

実物を目の前で見てみたい

今年、タウシュベツ川橋梁を撮影した写真が北海道観光振興機構の観光ポスターに採用され、全国のJR駅に掲示されたという岩崎さん。

首都圏だけでなく関西圏や九州からも「ポスターを見かけた」という嬉しい知らせをが届いたという。

また、岩崎さんの写真展(東京・大阪などで開催)でこの場所を初めて知り「実物を目の前で見てみたくなって訪れた」という観光客も。

知る人ぞ知る観光スポットになっているがアクセスが難しいため、ひがし大雪自然ガイドセンターが開催する見学ツアーがおすすめだそう。

初めての出会いはまったく覚えていない?!

そんな不思議なタウシュベツ川橋梁を撮り続けている岩崎さん。

大学卒業後には様々なバイトをしながら北海道から沖縄まで国内各地を巡る旅をしていた時期があったそう。

彼がこの橋を初めて見たのは2002年のこと。

当時は訪れる人もほとんどいない場所で、北海道・糠平のユースホステルで仕事をしていた時にオーナーに連れて行ってもらったという。

今後10年以上も撮り続けることになる場所に対して、岩崎さんの第一印象は「正直なところ、まったく覚えていない」という意外なものだった。

誰かが記録しないと失われてしまう

ところが2005年、仕事の縁で再び北海道・糠平に住み始め、何度かタウシュベツ川橋梁見に行くようになり、「誰かが継続して写真記録にしておいたほうがいいのではないか」と思い始めたそう。

というのも、地元の人々から「この橋は毎年水没と出現を繰り返すためコンクリートの劣化がすすんでいるから、あと2〜3年で崩落するだろう」と聞いたからだ。

そんな中、2003年には十勝沖地震で橋の中央部が大きく崩壊。

Ryoji Iwasaki

Ryoji Iwasaki

とりあえず自分自身で撮影し始めたが、「せっかく記録に残すのだから美しい写真を撮りたい」と思い、写真の勉強をしつつ機材を少しずつ揃えていったという。

北海道の大自然に囲まれて

「大変だったことは特にないから、10年間も撮り続けていられるのだろう」と語る岩崎さん。

しかし撮影は北海道の山中ということもあり、周辺はヒグマの住処。その上、冬は気温が氷点下25度以下になることも。

「危険なことになるべく遭遇しないよう、それなりの対策をしていれば大丈夫だ」といい、こうした大自然に囲まれているからこそ起こる諸々の条件を含めて、この土地を気に入っているとのことだ。

竣工80年目の記録として

来年、タウシュベツ川橋梁は竣工から80年目を迎える。

「予想よりも持ちこたえているとはいえ、いつかは本当に幻の橋となってしまうかもしれない」と心配している岩崎さん。

そこで彼はクラウドファウンディング“READY FOR?”を通して、ZINE『80年目のアーチ橋』という写文集を制作するプロジェクトを立ち上げた。

Ryoji Iwasaki

Ryoji Iwasaki

この写文集にはタウシュベツ川橋梁だけではなく、さらに人目に触れることない周辺地域の大雪山国立公園の山中に取り残されているコンクリートアーチ橋梁群の写真も収録する予定だという。

ちなみにクラウドファンディングでの写真集制作は今回で2度目。2015年にタウシュベツ川橋梁の写真をまとめたZINE『タウシュベツ拾遺』を700部限定で制作したが、現在は完売のため販売されていない。

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Text by 沢海 輝

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