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紳士たちの日常を描く銅版画家「その人物を愛せるまで、物語性を作り上げて描く」

Satomi Matsumoto

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紳士たちの日常を繊細な線で描いた作品が味わい深いと話題を呼んでいる。

深く美しい色合いが印象的

今回、『紳士録』というテーマで作品を発表した銅版画家の松本 里美さん。

こちらはエッチングとアクアチント(面の表現の技法)という技法で制作されており、深く美しい色合いが印象的な『待ち遠しい明日-Fisherman’s room-』という作品。

Satomi Matsumoto

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この作品は雁皮刷りといって、“雁皮”という薄い和紙に刷り取っているそう。

“待ち遠しい明日”を想像している穏やかで楽しげな男性の表情を通して、見ているこちらにも楽しい明日が感じられるようだ。

ヨーロッパのエスプリが漂う紳士たちの日常生活が描かれており、じっくりと鑑賞したくなる作品の数々。

Satomi Matsumoto

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そこで今回は松本さんに、銅版画というを表現方法を選んだ理由や作品を制作する際にこだわっていることなどを伺った。

実はかなりの肉体労働だった?!

―銅版画という表現方法を選んだ理由は?

細い線のペン画が好きで、昔はロットリングを使ってイラストを描いていました。

その後ウィンドウディスプレイや広告で立体制作をしていましたが、かなりの肉体労働で「そろそろ、またデスクに向かってじっくりやりたい」と思いました。

Satomi Matsumoto

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その当時、再び細い線への憧れが蘇って、ある瞬間に「いちばん綺麗な線はエッチングだな!」と気づいたのです。

しかし実は、銅版画も“かなり肉体労働”でした!

“物語性”を作り上げて描く

―作品を制作される際に特にこだわっている部分は?

人物においては“物語性”です。

Satomi Matsumoto

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シンプルな人物作品でも、必ずその人の生まれた環境や趣味などの背景を作り上げてからではないと、思い入れ込めて描くことができません。

「その人物を愛せるまで」ってことかもしれませんね。

Satomi Matsumoto

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人物設定が明確になるまで考えている時間はかなり長く、それさえできれば残りの制作に関しては早くできます。

銅版画の技法については、きれいに作るけれどキッチリしすぎない。ラフな部分や線の動きが残るように気をつけています。

こだわりがもたらす豊かな表情を

―毎回、テーマを持って制作しますか?

個展が多いので、その都度その時に“興味を持っていること”をテーマにして制作しています。

Satomi Matsumoto

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―『英国男子制服コレクション』や『紳士録』など、作品のモチーフに男性を選んだ理由は?

もちろん女性も描いていますが、男性を描くのが好きなのは“骨格がよく見える”ということが理由の一つ。

以前から、男性のクロッキーを随分していました。筋肉や骨の繋がりを見ながら人間がどうやって立ち、動くのか見るのが好きなんです。

また、男性の方がなにかと(良い意味で、可笑しなほどに)こだわりが強いと思っています。趣味嗜好を描くのは楽しいですね。

Satomi Matsumoto

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ファッションだけではなく、物へのこだわりや生活習慣のこだわりがもたらす豊かな表情を描くのが好きなんです。

『英国男子制服コレクション』はお仕事で依頼されて描いたもの。

これに関しては英国の紳士服の素晴らしい歴史が制服にキッチリと表れていて、素敵な仕事をさせてもらったと思っています。

Satomi Matsumoto

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歴史的にみても男子の方が派手!ファッションは元々好きですね。

点と点が結びついて一つの作品に

―どこから創作の着想を?

何もないところから作品というのは生まれないものですが、「絵を見て」ということはほとんどありません。

本・映画・電車の中で見た人や、事件・会話・道路で見た光景など。また、目を閉じたときにフッと見えた色や、風や水の感触等々。

Satomi Matsumoto

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日々の生活のアレコレがたくさんの引き出しになって、あるとき“それらの点と点が結びついて一つの作品になること”がほとんどです。

作品制作をしながら幅広く活動

銅版画家として作品を制作しながら、銅版画のワークショップや音楽活動など幅広く活動する松本さん。

現在は、児童書の挿絵の仕事でかなりの量の版画を制作しているそう。

今後は10月に東銀座煉瓦画廊で、11月に新宿伊勢丹で個展を開催。展示会の情報はホームページの“ExhibitionとLiveの情報”で確認できる。

Satomi Matsumoto

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また銅版画のワークショップだが、「2回3回と継続して続ける方が増え、また新たにやってみたいという方が結構いらっしゃるので、今後も月2回は開催することになりそうです」とのこと。

開催情報は松本さんのブログに掲載しているという。

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彼女の作品が気になる方は、ぜひSNSのアカウントをフォローしてみてはいかがだろうか。

Twitter:@satomiinjelly
Instagram:@satomiinjelly
Facebook:松本里美

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