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おしえて企業さん 第2回:富士フイルムの『写ルンです』がデジタル化に負けないワケ

こんにちは、かみーじょ(@kamiiiijo)です。

連載「おしえて企業さん」第2回は、今年で30周年を迎える富士フイルムの『写ルンです』について。

デジタル化が進む中でも、多くの人に愛されているレンズ付きフィルム。

どのようにして人々の心を掴み離さないのでしょうか?富士フイルムイメージングシステムズの築地紀和さんに伺いました。

 フィルムカメラをもっと身近に

――『写ルンです』の誕生ストーリーを教えてください。

「1984年当時、カラーフィルムの普及が進み、街中のいたるところでフィルムが入手できるようになり、お店で簡単に写真をプリントできるインフラも整いつつありました。

しかし、消費者にとってカメラは依然高級品であり、またカメラにフィルムを装填してダイヤルを操作するなど、撮影するには機械的な知識が必要であったため、写真を撮っていたのは男性が中心でした。

このような中、当社はカラーネガフィルムの需要をさらに拡大しようと、手ごろな値段でいつでも、どこでも、誰でも、簡単に写真が撮れることをコンセプトに『写ルンです』の開発に取り組み、1986年に初代モデルを発売しました」

初代写ルンです 3種セット/富士フイルム

初代写ルンです 3種セット/富士フイルム

初代モデルがこちら。形は四角形で、サイズは現在のものより小さめです。

長く愛される理由は4つの利便性

――30年間愛され続けている理由はなんでしょうか?

いつでも、どこでも、誰でも、簡単に写真が撮れるという利便性に魅力を感じていただいているのだと思います。

難しい設定が必要なく、簡単に写真を撮影いただけることから、デジタル化が進んだ現在でも、小中学生の修学旅行などでは学校指定で『写ルンです』をご使用頂いていたり、ご年配の方々にもお使い頂いています」

確かに、ダイヤルを回し、ファインダーを覗いてシャッターを切る。たったこれだけの動作で思い出を切り取れるのは画期的ですね。

「また、物心付いた時からデジタルに慣れ親しんだ10〜20代のいわゆるデジタルネイティブ世代にとっては、仕上がったプリントのフィルム独特の風合いを新鮮に感じていただいていることや、デジカメやスマホと違い、現像をしないと何が写っているかわからないワクワク感に魅力を感じていただいているのではないかと考えています」

最近では写真加工アプリでレトロな風合いを演出できますが、やはり本物のフィルムの味は出せません。

そういった意味で、写真にこだわるデジタルネイティブ世代の共感を得たのかもしれません。

2015年夏から売上に変化が

――ここ最近、『写ルンです』の売上に変化があったと伺いました。

「年間生産本数、出荷本数は公表していませんが、レンズ付フィルムの国内の総需(『写ルンです』や他社製品を含めた市場全体)は、1997年がピークでした。それ以降、現在まで下がり続けています。

総需減少の理由は、デジカメ、カメラ付携帯電話、スマホの普及が挙げられます。(ご参考:レンズ付きフィルムの国内出荷数 1997年 8,960万本;2012年 430万本 フォトマーケットより)

当社の『写ルンです』の出荷本数についても総需のトレンドと同様に下がり続けていますが、ここ1年ほどで下げ止まりつつある傾向がみられます」

WONDER PHOTO SHOP外観/富士フイルム

WONDER PHOTO SHOP外観/富士フイルム

「原宿にある当社の直営写真店WONDER PHOTO SHOPでは、『写ルンです』の販売本数が2015年8月までは月に20本以下だったのに対して、同年12月以降は月に100本以上の販売を続けています

――どうして急に販売本数が増加したのでしょうか?

「2014年に写真文化への貢献を評価され、国立博物館の重要科学技術史資料(未来技術遺産)に登録されたことがテレビや新聞に報じられ、この頃から注目する方が増えてきました。

さらに、10代~20代に人気のある著名人(写真家・歌手・モデルなど)が“写ルンです好き”を公言し、『写ルンです』で撮影した写真をSNSなどにアップしたことで、それを見たファンの方々にも同様の行動が広がり一気に#写ルンですが拡散されました。

普段からスマホを使い慣れている若い世代の“人とは違った楽しみ方をしたい”というニーズにうまく合致したのだと考えています」

現在、Instagramで#写ルンですのハッシュタグがついた写真は、8万件以上も投稿されています。

若い層へのアプローチ“コラボパッケージ”

――『写ルンです』をオシャレに飾れるコラボパッケージは、どのように生まれましたか?

「ある雑誌社より『写ルンです』とのコラボ企画の提案をいただき実施してみたところ、ご好評をいただきました。これをきっかけに、“写ルンです好き”を公言されている10~20代に人気のある著名人や企業と『写ルンです』に関するコラボをしてきました」

著名人が普段からファッション感覚で『写ルンです』を愛用しているということで、同じ感覚で『写ルンです』を使う点も、若い層にとっては選ぶポイントになっているようです。

まだまだ写真プリントの受け取りの方が多い

富士フイルムでは、平成12年から写真データをCD-Rに書き込む「フジカラーCD」というサービスを行っています。

――実際、写真を紙とデータどちらで受け取る方が多いですか?

現在も写真プリントでの受け取りが多いです。

しかし、ここ最近は若い方々を中心に、CD-R(データ)での受け取りが増えてきました。パソコンにCD-Rを入れて、画像データを取り込み、お気に入りの写真をスマホに移したり、SNSにアップしたりして楽しんでいただいているようです。

また、写真プリントの楽しみ方も変化し、インターネットでプリントを注文してお部屋に飾ったり、 複数の画像を使ってフォトブックやシャッフルプリントを作られる方が増えています」

30周年アニバーサリーキット完売、再販も

30周年アニバーサリーキット/富士フイルム

――『写ルンです』30周年を記念したアニバーサリーキットの反響はいかがでしょうか。

「2016年4月に限定5万本を発売しましたが、おかげさまで6月末に完売いたしました。そして、7月より第2弾を販売しており、大変ご好評をいただいております」

デジタル化により厳しい状態かと思われた『写ルンです』ですが、時代に合わせて需要が変化し、販売本数が増加しているというのは驚きでした!

いつの時代も思い出を記録する手段として、写真は欠かせない存在です。

デジタル化で選択肢が増えていますが、原点に立ち返って『写ルンです』に触れてみてはいかがでしょうか。

 

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