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ワインから始まった「チョーヤ」が梅酒にカジをきった理由

@choya_official/Instagram

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第11回の「おしえて企業さん」は、大正時代から続く梅酒の老舗チョーヤ梅酒株式会社

同社の梅酒『紀州』は、30年以上も愛され続けているロングセラー商品です。

他にも『ウメッシュ』『さらりとした梅酒』など、身近な商品を展開しているチョーヤですが、実は知らないことがたくさんありました。

 初期はワインの会社だった

昭和30年頃の工場/チョーヤ梅酒株式会社

昭和30年頃の工場/チョーヤ梅酒株式会社

−−チョーヤというと梅酒のイメージが強いですが、初期は他のお酒を作っていたそうですね。

チョーヤ川端さん:チョーヤの歴史は、明治時代より葡萄栽培の盛んだった駒ヶ谷村(現 羽曳野市駒ケ谷)から始まりました。

大阪南東部の駒ケ谷村一帯は金剛山、葛城山、二上山に囲まれた盆地の気候。昼夜の温度差は大きいが、年間平均気温が15〜16度と安定し、適度に乾燥していて雨量も少なく、土壌もミネラル豊富なアルカリ性で水はけが良いなど、葡萄栽培には最高の条件を備えていました。

創業者である金銅住太郎は1914(大正3)年より葡萄栽培をはじめ、1924(大正13)年、葡萄酒(ワイン)の製造・販売を手がけるようになり、屋号は恵美須印「生葡萄酒」という名の商品でした。

1930年代工場の様子/チョーヤ梅酒株式会社

昭和30年代の工場の様子/チョーヤ梅酒株式会社

——その後、梅酒の製造一本に絞ったのはなぜでしょうか。

川端さん:昭和30年代に入り、創業者の金銅住太郎が葡萄酒の研究のために、欧州各地を見聞した結果、葡萄酒造りの先行きが暗いことに気づきました。

現地では葡萄酒造りにはるかに適した葡萄が、非常に安いコストで簡単に栽培されていて、輸入が自由化されれば、いずれは良質の葡萄酒が安価で大量に日本で販売されるだろう。

この先どう頑張っても、原料も質も歴史も違う外国産葡萄酒には勝てない、という判断でした。

そこで「日本でしかできないものを造るべき」と考え、3つの条件にたどり着きました。

1.国内であまり手がけられていない商品であること
2.海外には無い日本独自の商品で、将来海外で販売できる可能性があること
3.突飛なものではなく、身近で親しみやすい商品であること

そして、選ばれたのが梅酒でした。

初期の梅酒/チョーヤ梅酒株式会社

初期の梅酒/チョーヤ梅酒株式会社

梅は世界で日本、台湾、韓国、中国の一部でしか採れず、日本が質・量ともに一番。梅酒そのものに歴史もあり、日本の食生活に馴染んでいる。

しかも、目を向ければ、隣接する和歌山は当時から全国一の梅の産地でした。

品質の良い紀州梅がすぐそこにある。原料確保が容易であり、これなら世界を相手に勝負できる!

「梅酒しかない」という思いのもと、1959(昭和34)年から梅酒の製造・販売が始まりました。

当初の葡萄酒作りをやめ、新たに勝負できる場所を探し挑んだ、その決断と行動はそう簡単にできることではありません。

そんなチャレンジを恐れない企業精神が、現在も梅酒の大手メーカーとして生き残っていられる秘訣なのでしょうか。

 

チョーヤは漢字で書くと「蝶矢」

@choya_official/Instagram

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——チョーヤは「蝶矢」と書くそうですね。理由はなんでしょうか。

川端さん:駒ケ谷周辺にギフチョウなどが多く生息していたことと、石器時代の矢じりなどが採れる地域であったことに由来し、蝶と矢で「蝶矢」としました。

——会社名を蝶矢酒醸造株式会社から、チョーヤ梅酒株式会社に変更したのはナゼでしょうか。

川端さん:平成に入って若者も梅酒を飲むようになったことで市場が拡大し、1994(平成6)年、梅酒の市場規模は1万klと、この10年で5倍に急成長し、健康酒から食前酒、そして日本を代表するリキュールへと変革を遂げていきました。

1997(平成9)年には梅酒市場は初の2万kl台となり、「梅酒と言えばチョーヤ」という認知が広まったため、梅酒に特化した企業であることをより分かりやすく21世紀となる西暦2000年を機に社名をチョーヤ梅酒株式会社と変更しました。

 

ただの梅酒ではなく「本格梅酒」

チョーヤ梅酒株式会社

チョーヤ梅酒株式会社

チョーヤの商品には、パッケージに「本格梅酒」と記載があります。

——「本格梅酒」と普通の「梅酒」の違いはなんでしょうか。

川端さん:いままでは、酸味料・香料・着色料といった添加物で梅の味に仕上げた商品もすべて梅酒と記載されていて、添加物に頼らずに梅の実だけからつくる「本格」派の梅酒と類似していて区別がつきにくいという課題がありました。

そこで2015年1月23日に日本洋酒酒造組合が、梅、糖類、酒類のみを原料とし、酸味料等を使用していない梅酒を「本格梅酒」として表示できるという自主基準を制定しました。

それ以来梅酒は「本格梅酒」と「梅酒」の2つに分かれ、梅・糖類・酒類のみを原料とした無添加の梅酒は「本格梅酒」、酸味料などの添加物を加えた梅酒は「梅酒」となり、お客様に確かな商品を選んでいただきやすくなりました。

——酸味料・香料・着色料を使っていないということは、製造時期によって梅酒の味は変わるのでしょうか。

川端さん:梅の実は1年の中で「6月」しか採れないので、基本的に6月に漬け込みます

それから熟成させていくのですが、その熟成期間によって味は変わります。

当社は約1年の熟成期間を基本としておりますが、商品によっては3年や5年、10年熟成させた商品があり、それぞれ違う味わいを楽しむことができます。

 

梅がシワシワになるのは“品種”のせいだった

チョーヤ梅酒株式会社

チョーヤ梅酒株式会社

——自宅で梅酒を作ると、どうしても梅がシワシワになってしまいます。どうしてチョーヤの梅酒は、梅がふっくらしているのですか。

川端さん:梅の品種によってシワシワになるものとそうでないものがあります。

例えば南高梅はシワシワになりやすく、白加賀梅はなりにくいです。

当社の梅酒は、南高梅でもシワが少なく、なるべく見た目が綺麗なものを選りすぐって商品化しております。

白加賀梅を使う場合もございますが、それも綺麗なものを選んで使用しております。

なるほど、品種や状態によって違いがあったのですね。次回は参考にしよう!

ちなみに、川端さんが冬におすすめする梅酒の飲み方は、やはり「お湯割り」とのこと。

チョーヤの『紀州』であれば、梅酒4:お湯6で割るだけで美味しいホット梅酒が飲めると教えていただきました!

男女問わず人気の高いチョーヤの梅酒。

ワインの会社から始まり、梅酒のスペシャリストになるとは当時誰もが思いつかなかったことでしょう。

そんなドラマやこだわりを感じながら、この冬も梅酒でほっと一息つきましょう。

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Text by 水上アユミ

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