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あぶらとり紙の「よーじや」、名前の由来は歯ブラシ専門店だった

あぶらとり紙/株式会社國枝商店

あぶらとり紙/株式会社國枝商店

こんにちは、かみーじょ(@kamiiiijo)です。

連載「おしえて企業さん」第13回は、京都みやげの定番ともいえる『よーじや』について。

看板商品の“あぶらとり紙”は、大正時代から愛されているロングセラー商品で、女性なら誰もが一度は使ったことがあるのではないでしょうか。

そんな『よーじや』にまつわる逸話を、株式会社國枝商店の広報担当に伺いました。

化粧品と歯ブラシ専門店を展開する

——『よーじや』の歴史を教えてください。

『よーじや』の創業は、江戸時代の化粧文化が色濃く残る明治時代。

初代 國枝茂夫が舞台化粧・化粧雑貨などを扱う職場から独立し、同様の化粧小間物を大八車に積んで売り歩いたことに始まります。

その後、明治37年に京の中心である六角御幸町(ろっかくごこうまち)に『國枝商店』という屋号の店舗を構え、舞台化粧の“紅”や“白粉”“とのこ(現在のファンデーションのようなもの)”“きわすみ(白髪染めや眉墨に用いられるもの)”“お歯黒”などを販売しました。

京都コスメの老舗『よーじや』は、こうして幕を開けたのです。

大正時代の店舗/株式会社國枝商店

大正時代の店舗/株式会社國枝商店

——『よーじや』の名前の由来はなんでしょうか。

歯のケアに用いられていた、楊枝(ようじ)からきています。

古来、お歯黒を塗る前に楊枝が重宝していました。

大正に入り、口腔衛生の意識が高まりつつある状況を見た初代 國枝茂夫は、海外文化を参考に歯ブラシの製造をはじめ、大正5年に歯ブラシ専門店を開業しました。

当時はまだ“歯ブラシ”のことを、呼び慣れた“楊枝”と呼んでいました。

屋号の『よーじや』はこの歯ブラシ専門店を営んでいたことから、お客様より「楊枝屋さん」と呼ばれ、身近に親しまれていたことに由来します。

屋号『國枝商店』だった化粧雑貨の店は、移転を機に『よーじや』へ改められました。

現在、歯ブラシ専門店は営んでいませんが、京都コスメのブランドとして『よーじや』の愛称を受け継いでいます。

——看板商品「あぶらとり紙」はどのように生まれましたか。

「あぶらとり紙」の誕生は、大正時代(1920年頃)にさかのぼります。

映画の都でもある京都では、映画の撮影時に大光量のライトを浴びてドーラン(油性おしろい)を塗った肌にどうしても油浮きが生じます。

そこで、「てかりを抑えたい」という俳優さんからの要望を受け、襖や屏風に使われる金箔の裏打ち紙にたどり着きました。

当時は、顔全体を覆うくらいの大きさでしたが、手軽に持ち歩けるようにと小さな手帳型(1冊5銭)にして売り出したところ、舞台や映画関係者、花街の女性たちの間でたちまち評判を呼びました。

そのような長年のお客様のご愛顧を受け、「あぶらとり紙」は息の長い看板商品へと育ちました。

「あぶらとり紙」パッケージの秘密

——パッケージに描かれた女性のモデルは誰でしょうか。

特定のモデルはおりませんが、京女性をイメージしております。

美しくなりたいと思いながら、手鏡を覗く女性心、美意識をロゴマークに表現いたしました。

「あぶらとり紙」のパッケージは、全6種類。

定番パッケージの他に、季節限定商品の“さくら・抹茶・ゆず”、海外向け商品の“アロエ”、京都以外で販売しているコスメロゴデザインがあります。

定番パッケージ/株式会社國枝商店

定番パッケージ/株式会社國枝商店

季節限定パッケージ/株式会社國枝商店

季節限定商品“さくら・抹茶・ゆず”/株式会社國枝商店

海外向け商品“アロエ”/株式会社國枝商店

 

コスメロゴデザイン/株式会社國枝商店

定番パッケージと季節限定商品は、京都の店舗と通信販売でお取り扱いしています。

“アロエ”は3つの空港(関空・羽田・成田)で、コスメロゴデザインは羽田空港のみで販売しています。

ちなみに、過去にはピエロや役者絵のパッケージもあったそうです。

過去のパッケージ/株式会社國枝商店

過去のパッケージ/株式会社國枝商店

世代や国境を超えた、幅広いファン層

——『よーじや』にはどのようなお客様が訪れますか。

女性が多いですが、年齢層は非常に幅広く、3世代でお買い物を楽しめるのが『よーじや』の特徴でもございます。

例えば「紙せっけん」という商品は、年配の方には懐かしく、若い方には珍しい商品としてご好評いただいています。

また、祇園店や金閣寺店、清水店などには、海外のお客様が非常に増えています。

特にアジア圏の方が多く、すでに商品をご存知で、商品を指名してお求めくださる方もいます。

祇園店/株式会社國枝商店

祇園店/株式会社國枝商店

プロ仕様だからこその信頼感

——『よーじや』が長年愛されている理由をどのように考えていますか。

元々プロの方が愛用される舞台化粧を扱っていましたので、プロも認めるそのクオリティが一番の理由かと思います。

品質へのこだわりは、創業当時から非常に大切にしている部分で、お客様には一番良いものをご提供したいという想いで日々商品開発をしております。

また、ネット環境が普及していない時代から、お客様の口コミで広まった会社ですので、看板商品「あぶらとり紙」を始めとする商品への信頼も大きいのかもしれません。

大切な商品は自社のスタッフから直接お客様にお届けするということをモットーにしており、全国の百貨店でのイベントにも必ず社内のスタッフが販売に赴いています。

京都の歴史とともに歩み、110年以上も続く老舗となった『よーじや』。

今後も、京都の顔として多くの人をもてなしてくれることでしょう。

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