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米の研究チームが舌の動を感知して電動車椅子やパソコンを操作できるシステムを開発

New York Daily News

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事故などで脊髄を損傷し、体の大部分が麻痺した人たちは、残された機能でできる限り自立した生活をしたいと思っているが、そんな人たちに朗報となるかもしれない。

米国ジョージア工科大学 Maysam Ghovanloo博士を中心に、ジョージア州シェパード・センター、イリノイ州のノースウェスタン大学、シカゴ・リハビリテーション研究所らの研究者が、舌の動きで電動車椅子やパソコンをコントロールできるシステムを開発した。舌にピアス状の磁石を装着し、ヘッドセットをした状態で舌を右下の歯へ、左上の歯へといった具合に動かすと、ヘッドセットが動きを感知してユーザーが手にしているスマホに情報を送る。するとその情報が命令に変換され、車椅子やパソコンのカーソルが動くというシステムだ。

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車椅子等を動かすシステムとしては、口にくわえたチューブに息を吹き込んだり吸ったりして機器を操作する「息操作システム」が主に使われているが、脊髄損傷で首から上しか動かせない被験者11人に舌で動かすシステム「Tongue Drive System (TDS)」を試してもらい、従来のシステムと比較したところ、車椅子の操作では正確性はほぼ同程度、スピードはTDSのほうが若干上回っており、パソコン操作の場合は、TDSのほうが最大で3倍速く操作ができたそうだ。

TDSのメリットはまず目立たないこと。それに、体が麻痺していても舌は自由に動かせるケースが多く、ユーザーが力を要せず動かせること、すなわち使っても疲れないところも魅力の1つだ。

舌に“ピアス”をするという方法なので、誰もが受け入れられる方法とは言えないかもしれないが、実験に参加した11人は、従来のシステムよりもこちらのほうがいいと述べ、2009年に交通事故で首から下が麻痺したJason DiSantoさん(39)は、「息操作システムは目の前に装置があって煩わしいが、このシステムはヘッドセットだけなので煩わしさがないし、直感的に動かせる」と感想を述べている。

今後は、このシステムでテレビや照明のスイッチを入れるといったこともできるようにし、ヘッドセットではなく、歯の矯正に使う固定装置のようなデバイスで信号を送れるようにしたいと、研究者は述べている。

研究チームの成果は医学誌「Science Translational Medicine」に発表された。

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Text by 近藤辰也

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