シェア

19歳、漫画を愛した特攻隊員が生きた記録「まんが少年、空を飛ぶ」が刊行

山崎祐則さんと作品/偕成社プレスリリース

山崎祐則さんと作品/偕成社プレスリリース

偕成社から8月21日、漫画と飛行機を愛した若き特攻隊員のドキュメント「まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙」が出版されます。

同書は、19歳の若さでこの世を去った“まんが少年”の山崎祐則さんが、予科練に入隊して特攻に行くまでの2年半に、家族に遺した手紙やスケッチをまとめた一冊です。

アイキャッチ

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

漫画を添えた絵手紙を家族へ

1925年に高知県で生まれた著者の山崎祐則さんは、漫画を描くのが得意な空を飛ぶことを夢見る少年でした。

中学を中退し、三重海軍航空隊に入隊した祐則さんは、飛行機乗りになることを夢見ながら仲間たちと訓練に明け暮れる日々のあれこれを、得意の漫画を添えた絵手紙で家族に報告しました。

入隊してまもない時期に祖母宛に送った手紙では、ハンモックで寝起きしていることや朝の掃除の大変さなどを伝え、「軍隊では手紙と食事がいちばん楽しい」と書いています。

sub3

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

軍隊生活の様子を描いた作品

号令、洗濯、売店など、軍隊生活の様子をポストカードのように描いて残した作品もあります。

朝、総員起こしの号令がかかると、はね起きてハンモックをしまった。

名称未設定 1

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

洗濯は自分でした。洗い場のコンクリートの床でははだしになるので、冬は手足が冷たくなった。

名称未設定 3

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

売店。うどんやしるこなど、3度の食事以外はここで買って食べた。

売店

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

出撃命令後に書いた5枚の手紙

1945年になり戦況が悪化の一途をたどるなか、ついに出撃命令が下ります。

半日だけの休暇をもらった祐則さんは、故郷・高知に向けて操縦桿を握り、上空から家族のいる我が家をじっと見つめました。

この後、祐則さんは家族宛てに5枚の手紙を送り、この手紙の約1カ月後の1945年3月21日、九州東南沖へ出撃して帰らぬ人となります。

その後、友人から家族宛に送られた祐則さんの貯金通帳には「私は特攻隊で行きます 皆さま御機嫌宜しくお暮らしください 父上様 母上様 御元気で サヨウナラ 祐則」と走り書きされており、これが遺書となりました。

「まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙」(著:山崎祐則 解説:稲泉連)/株式会社偕成社

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社

まんが少年、空を飛ぶ 特攻隊員・山崎祐則からの絵手紙(著:山崎祐則 )/偕成社プレスリリース

同書は、戦争中に軍隊でこのような漫画が描かれていたことを現代に伝える資料として貴重なものであり、戦争によって失われた才能と、戦争の時代を夢も希望も持って生きたひとりの若者の人生を今に伝える一冊です。

Posted: |Updated:

Text by 後藤みき

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング