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学校で一言も喋らない「山下くん」が主人公の絵本が考えさせられる

山下賢二 作・中田いくみ 絵「やましたくんはしゃべらない」/株式会社岩崎書店

山下賢二 作・中田いくみ 絵「やましたくんはしゃべらない」/株式会社岩崎書店

株式会社岩崎書店から、絵本「こんな子きらいかな?」シリーズの第2弾となる「やましたくんはしゃべらない」が発売中です。

クラスにいる少し変わった子が主人公

「こんな子きらいかな?」シリーズでは、絵本ではあまりメインになることのない、クラスで浮いてしまいそうな少し変わっている子が主人公。その子たちがどのような行動をし、周囲はどう感じているか描がれています。

第2弾の「やましたくんはしゃべらない」は、幼稚園入園から小学校卒業までの9年間、人前では一言も喋らなかったという作者・山下賢二氏のエピソードがもとになっています。

クラスにいる少し変わった男の子、山下くん。

小学校に入学した時から今まで一言も喋ったことがなく、山下くんの声を聞いた友達は誰ひとりいないそうです。

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山下賢二 作・中田いくみ 絵「やましたくんはしゃべらない」/株式会社岩崎書店

山下くんは一言も喋らないけれど、授業中はずっとふざけていて、合唱コンクールでは口パクで歌う。

喋らないけれど友達がたくさんいる、不思議な男の子です。

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山下賢二 作・中田いくみ 絵「やましたくんはしゃべらない」/株式会社岩崎書店

授業参観の作文発表では、山下くんはラジカセを持参し、テープの中に吹き込んだ声で作文を読みます。

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山下賢二 作・中田いくみ 絵「やましたくんはしゃべらない」/株式会社岩崎書店

一言も喋らないまま卒業式を迎える山下くんの学校生活を、クラスメイトの女の子の目線で綴っています。

やわらかな線とセピア調の独特な色使いの絵は、画家・コミック作家として活躍する中田いくみ氏が担当。繊細に描写された子どもたちの表情やしぐさから、クラスメイトが山下くんをありのままに受け入れている様子や、そのクラス全体の温度感まで感じられます。

“話せない”子もいる

家庭では問題なく話しているのに、学校や公共の場所などの特定の場面では話せない、話さない。このような症状は専門用語で「緘黙症(かんもくしょう)」や「場面緘黙症」と呼ばれているそうです。

この絵本の山下くんは一言も喋らなくとも、クラスメイトと良好なコミュニケーションが取れています。しかし、場面緘黙症の子どもの多くは、何を考えているのか伝わりづらいため、学校で孤立することも少なくないといいます。

周りと違うことを排除・矯正するのではなく、どう受け入れるかを考えるきっかけとして、大人が読んでも考えさせられる1冊です。

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Text by 後藤みき

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