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陶器で「スマホ用スピーカー」を制作―鑑賞用が中心だった陶芸家が新しい挑戦をしたわけ

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主に鑑賞用の陶芸作品を制作する大阪府阪南市の陶芸家・古野幸治(ふるのゆきはる)さん。

実家が農家だったことがきっかけで、大豆やそら豆、茄子などを燃やして灰にし、それを釉薬(ゆうやく)にする「灰釉陶芸」を40年間挑戦。

日本で1番大きな展覧会である「日本伝統工芸展」では数多くの入賞・受賞を果たし、日本のみならず海外でも個展を開催するほどの実績の持ち主です。

共に活動してきた奥様との死別後は、全くジャンルの違う碧蒼釉薬(へきそうゆうやく)の作品作りを中心に行ってきましたが、生活者の日常に溶け込ませることができず、もっと陶芸作品を身近に感じて欲しいという思いが強くあったのだそう。

そこで挑戦した、陶芸品を音楽と組み合わせた「陶器のスピーカー・オルゴール」作りについてきっかけから作品への思いを聞きました。

陶芸と音楽のコラボを実現

スマートフォンを差し込むことでスピーカーとして使用できる陶製の「スピーカー」(税込4万円)と、繊細な音色が魅力的な「オルゴール」(税込4万円)。

陶芸作品と音楽の両方を楽しむことができる2つの作品は、どのようにして誕生したのでしょうか。

――陶芸でスピーカーとオルゴールを作成したきっかけを教えてください

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これまでの作陶活動では、陶器の持つ美しさや作品鑑賞者が得る感動、陶芸作品への評価等を意識しいわゆる美術品志向の面が中心でしたが、個展を鑑賞されたお客様の声や、陶芸教室会員の声から美術品がもっと身近に、かつ日々の生活の中で面白さ、楽しさがあればという要望がありました。また作家の友人との会話の中で提案され、興味を持ったのがきっかけです。

日本の伝統工芸品としての品位を保ちながらも、美術品として手ごろな価格で受け入れて貰えるよう、使う楽しさを併せ持つスピーカー・オルゴールを作陶し、陶芸と音楽のコラボを実現しました。

――作品のこだわりを教えてください

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陶器の持つ音の響きを引き出せる陶器の最適な形状、厚さ、釉薬の掛け具合にとことんこだわりました。

通常の作陶時と同様に、粘土の選定・作陶・釉薬の選定・施釉・焼成 等を一貫して行うことで、美術工芸品としての品質の保持、高い価値を維持しています。

陶器に響く美しい音を自分のためだけに独占していただき、制作への情熱が作品を通じて受け入れられたら幸いですね。

――製作にあたって試行錯誤した点はありますか

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陶器がオルゴールのもつ繊細な音色を活かし、音楽の持つ豊かな表情を引き出すことを課題としていました。

陶器の大きさを変えてみたり、陶器試作品がオルゴールの持つ音楽性、特有の音色を維持しているかをオルゴールの販売会社に評価をして貰ったりと、何度も制作を繰り返しました。その結果、オルゴール作品を支持してくれる方々や、音楽ファン、オルゴールコレクターの皆様にも自信を持って提供できるようになりました。

陶芸に興味を持つきっかけに

――この挑戦を通じてどのような発見がありましたか?

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今回のプロジェクトの作陶はこれまでの作陶経験にない新たな発見がありました。

これまでの作陶は陶芸の美術性を追求することが主だったので作品自体も大きく、またコレクター向けの作品が主であったのに対し、今回はオルゴールとスマホ用スピーカーという、これまでにない作品に取り組むことになりました。加えて音楽の持つ優しさ、オルゴールの響きや音色を引き出すという全く違う分野に取り組んだことは、これからの新たな分野の第一歩になったと思います。

――どのように生活者に受け入れられてほしいでしょうか。

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単なる陶器ではなく、美術品として作家の想いや造形へのこだわりについて興味を持っていただけたら嬉しいですし、音楽と陶芸の両方を楽しんでいただきたいです。

音楽も陶芸も共通するのは芸術の分野ですが、芸術は特別な人を対象とするものではなく広く興味を持つ人たちに受け入れられるものです。

音楽を愛する人が日本の伝統工芸である陶芸に興味をもつ、また陶芸を楽しむ人が陶器による音楽を楽しむことがあれば生活の潤いが更に広がることでしょう。

今回の作品がきっかけで陶芸への興味を強めて頂ければ作家としてこの上ない喜びです。

陶芸を生活の一部に

現在作品の購入は、陶芸家への直接の申し込み受付を行なっているようです。

伝統工芸に馴染みのない方でも、音楽を通じて「陶芸」への興味・関心のきっかけに繋がるといいですね。

申込先:有限会社土工房轆轤
代 表:陶芸家 古野幸治
電 話:072-476-51518
FAX:072-476-2160
代表携帯:090-3278-0347

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Text by misaki

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