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【取材】香川県「うどん発電」で廃棄麺を有効活用

「うどんまるごと循環プロジェクト」HP

「うどんまるごと循環プロジェクト」HP

「うどん発電」について取材した。

香川県=うどん県

香川県といえば「うどん」。同県民1人あたりの年間「うどん」消費量は220玉と言われ、生産量・消費量ともに日本一。

年越しそばならぬ「年明けうどん」や家を新築した際に湯船で食べる「初風呂うどん食え」、飲んだ後の「シメうどん」など、さまざまなうどん文化が根付いている。

「うどん発電」に1万3千リツイート

そんな香川県について先日ネット上に、同県では「もったいない」を合言葉にした「うどんまるごと循環プロジェクト」が行われているというツイートが投稿された。

「うどんでうどんを茹でる」「うどんからうどんを作る」といった「うどんをまるごと循環させる」コンセプトの下、うどんを使った「うどん発電」が行われているそうで、投稿主は「待ってくれ、脳が追い付かない」とコメント。

同ツイートには「恐るべしうどん県!」「うどんだけで全てが完結する世界」「何事なんですか」など反響が寄せられ、1万3000超リツイート、8600超いいねされている。

残りカスから発生したガスを燃焼→発電

「うどん発電」とはどういうことなのか。

うどんまるごと循環プロジェクト」のHPによると、うどん店や工場から持ち込まれる残渣(残りかす)などはバイオガスプラントの中に投入され、水分調整をしながら発酵を待つとメタンガスを中心としたバイオガスが生成される。

それを燃焼させタービンを回すことで電気を作り、四国電力に電気を売っているという。

提供:うどんまるごと循環コンソーシアム

提供:うどんまるごと循環コンソーシアム

「循環型社会のモデルに」と検討

同プロジェクトはいつ、どのように始まったのか。コンソーシアム事務局長の久米さんに話を聞いた。

元々、県内の企業「ちよだ製作所」がバイオマス事業に取り組んでおり、2011年にうどんのバイオエタノール化に成功したとの記事を見て、同年夏にNPOグリーンコンシューマー高松の代表理事である勝浦敬子さんと私(久米)がプロジェクトを立案しました。

勝浦さんは長年間伐材の割りばしづくりに取り組んでおり、「循環型社会のモデルになるようなプロジェクト」ができないか検討しました。

立案者の1人であるNPO法人の理事の人脈や、バイオマス事業に取り組む「ちよだ製麺所」、市やボランティアなどの協力を得て2012年1月に活動を開始したという。

捨てざるを得ない残渣を有効活用

「うどんをまるごと循環させる」というコンセプトは当初からメディアに注目され、また「うどん発電」というキーワードも目を引き、沢山の人から好意的な意見が寄せられた。

しかし一方で、「うどんを燃料にするより、廃棄物を減らす方が先ではないか」との意見も多かったという。

これは私どもも当初から共有していた考え方であり、「うどんを燃料にできるからどんどん捨ててもいい」というものではなく、「どうしても捨てざるを得ない食品残渣をもったいないから有効活用できないか」という発想から出たものであるという説明をして皆様のご理解を得ています。

近年は「食品ロス」をキーワードに、うどんだけではなく日本全国で数百万トンといわれる食品廃棄物の削減にも取り組んでおり、香川県や各団体・プロジェクト等との連携を深めている。

いずれにせよ、廃棄されるうどんなどの食品残渣を燃料化、肥料化して、再度小麦を作りうどんに再生する、というコンセプトを通じて、循環型社会や環境問題への取組を啓発できるよう努力しているところです。

2014年は315万円の売電収入

現在、前述の「ちよだ製作所」と県内を中心に8店舗の外食店を運営している「さぬき麺業」の2社がプロジェクトに参加している。

他の店舗については、毎年、スポット的に参加していただいています。今後は継続的に参加している店舗や企業などの増加が課題となっています。

2014年は約300トンの食品廃棄物を回収し、7万5000kWhの発電、315万円の売電収入、53トン-CO2の温室効果ガスの削減を達成。2016年は約387トンのうどんを含む食品廃棄物を受け入れたという。

「うどんでうどんを作る」事業も

同プロジェクトでは、うどんからできた液体肥料「うどん液肥」で小麦を栽培し、この小麦でうどんを再生する「うどんでうどんを作る」事業も行っている。

2014年に始めて収穫し、この小麦粉を使って「手打ちうどん体験」を行って参加者たちと一緒に食べたという。2015年には固形化された肥料を用いた小麦を使い同様の催しを開催したという。

—–どのような味でしたか?

手打ち体験は、毎年「うどんまるごとエコツアー」において、当プロジェクトの取組を知ってもらうだけではなく、昔は香川県の家庭においてごく普通に打っていた「手打ちうどん」を、エコツアーにおいて体験してもらおうと企画したものです。

やはり素人が打った麺なので形はさまざまですが、さぬき麺業さんのご指導もあり味は格別においしいです。

当体験で用いている小麦は、兼業農家の伊藤さん(メンバー)が無農薬にこだわり長年かけて栽培している畑をお借りして作られている小麦であり、安全安心な素材を使っているほか、「さぬきの夢」という香川県が開発した品種であり、香り高いのが特徴です。大人から子どもまで大満足の味とみんなで作ったという達成感でひときわ美味しく感じられました。

香川県民にとって「うどん」とは?

名物を食べるだけでなく、まるごと有効活用しようという同プロジェクト。香川県の人々にとって「うどん」とはどのような存在なのか。

ソウルフードです。

香川県民は毎食でもうどんを食べるくらいうどんが好きで、週4~5回昼はうどん、というのも珍しくありません。このため、香川県下には700~800軒程度のうどん店があると言われています。

「うどんゼロエミッション」を全国に

久米さんは、同プロジェクトに込める思いを次のように語る。

うどんを愛する県民とともに、地域における循環型モデルとして定着させていければと考えています。

将来的には「すべてはエネルギー」という考えを基本に、食べ物を捨てることなく循環させる「うどんゼロエミッション」を目標にしています。

このコンセプトを県内だけではなく全国で共有し、各地で同様の取組が発展していけるよう、県内外のプロジェクトと連携しながら進めており、数百万トンと言われる食品ロスを減らす一端になればと願っています。

提供:うどんまるごと循環コンソーシアム

提供:うどんまるごと循環コンソーシアム

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