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紙の読書感を忠実に再現…電子本「全巻一冊」開発秘話を聞いた

出典:「プログレス・テクノロジーズ」Press release

出典:「プログレス・テクノロジーズ」Press release

マンガ全巻を一冊で楽しめる電子本「全巻一冊」について、開発元のプログレス・テクノロジーズに取材した。

革新的な電子本「全巻一冊」が誕生

プログレス・テクノロジーズは、紙のマンガの読書感を忠実に再現し全巻を1冊で楽しめる電子本「全巻一冊」を開発。

13日からクラウドファンディングで、「北斗の拳(究極版全18巻)+我が背に乗る者(特別読切)x 日米版」を1冊に収録した「全巻一冊 北斗の拳」の先行販売を始めた。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

紙の本と同じ読書感を味わえるよう、A5サイズの単行本の中に7.8インチの電子ペーパー2枚が埋め込まれており、作家の創り出した描写を高画質で再現。見開きも本来の迫力で楽しめる。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

「外装を紙でつくる」「表紙カバーを付ける」など、紙の本の良いところを再現しており、手触りは紙のマンガそのもの。「本らしさ」を大切にするために、充電式ではなく電池駆動(単4×4本)にこだわり、重量感もA5版のマンガと同じ(約530グラム)。紙の本のように「所有する楽しみ」や「本の貸し借り」も可能だ。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

紙の本の魅力を保ちつつも、切り替えボタン一つで日本語と英語に切り替えられる「言語切換機能」や「省スペース」など革新的な機能も兼ね備えている。

「進化の形」に疑問を感じ、開発

「紙の本には、もっと別の進化のかたちがあるのではないか?」その問いが、この電子本を開発するスタートだったという。

電子書籍が登場して10年が経ち、その市場は確実に拡大しています。一方で、紙の出版物は縮小しているものの、未だに1兆円規模の市場があります。紙の本を好む理由は、表示品質が良くない、見開き表現ができない、電子デバイスの操作が苦手、紙の本の手ざわりやにおい、佇まいが好き…など人それぞれだと思います。でも本質的には「既存の電子書籍が、紙の本を好きな人にマッチしていない」ということなのではないでしょうか。

また、特にマンガにおいては、電子書籍での作品の再現性を残念に思っていました。日本のマンガは “manga art” と英訳されるくらい素晴らしいものです。作家の方たちが魂を込めて描いた作品を、最高の品質で届けたい、届けなくてはならない、そんな思いがありました。

私たちが考えた「紙の本の進化形」。それが、紙のマンガ本の見た目や質感は残しつつ、電子書籍ならではの利便性を兼ね備えた電子本「全巻一冊」です。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

「紙の読書感の再現」にこだわり

開発にあたっては、とにかく「紙のマンガの読書感の再現」にこだわったという。

そのために、大きくは二つのことを実現する必要がありました。

一つめは、「電子ペーパーに表示するコンテンツ画像を極限まで美しくする」こと、「紙をめくるのと同じ感覚で画面の切り替え」をすること、「かつ残像がない」こと。こうした電気的・ソフトウェア的に多くの処理が必要な機能を実現しつつ、全巻を電池交換なしで読み切るようにするために消費電力は極限まで低減すること。この実現には、高度なノウハウと技術力を駆使する必要がありました。

二つめは、「電子デバイスに紙の筐体を使う」ということ。これは前代未聞の挑戦でした。実現のために、日本の製本技術が余すことなく注ぎ込まれています。電子デバイスとして使用に耐えられる強度と、本としての手ざわりのよさの共存を目指し、1万種類以上の紙から最適なものを選定、プロトタイピングを繰り返してきました。

そうして、作品の表示品質、手触り、佇まい、どれも紙のマンガそのものの電子本「全巻一冊」が完成。「紙のマンガを読んでいるような心地よさで電子書籍を読む」、そんな新しい読書体験をもたらす製品に仕上がった。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

なぜ「北斗の拳」?

記念すべき第1作目に「北斗の拳」を選んだ理由を聞いた。

今回、我々の振り切ったコンセプトが社会にフィットするかどうかは大きな挑戦でした。コンテンツホルダー側からみて、この新しいかたちの本にコンテンツを載せることはリスクにもなりうるため、果たして提供いただけるかどうか、という課題もありました。
そうした中で、「北斗の拳」の版権をお持ちのノーススターピクチャーズさんと既存の電子書籍が持つ課題を共有させていただく機会があり、この製品のコンセプトに強く賛同いただきました。

私たちから選んだというのではなく、ノーススターピクチャーズさんからの賛同によって、「北斗の拳」で今回のチャレンジをさせていただけた、というのが正しいです。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

開始7時間で目標額を達成

同商品はネット上で、「紙と電子のいいとこどり」「これだよ、これ!」「超画期的!本棚のスペースがかなり削減される!!」「めちゃ欲しい」「ポチってみた!」と話題に。ジョジョやドラえもん、三国志やゴルゴ、こち亀など「他の長編作品でも採用してほしい」という声が複数寄せられている。

また、クラウドファンディングは開始からたったの7時間で目標額を達成。9月15日11時現在で達成率460%、国内・海外問わず多くの人から、わずか2日間で1,400万円近い支援が集まっている。

たいへん驚き、とてもうれしく思っています。ありがとうございます。

コミュニティの方からは「紙の本が大好きで、この電子本のコンセプトに賛同するよ」というコメントもいただきました。私たちの提案する、紙の本のあたらしい進化のかたちへの賛同をダイレクトにいただけるのは、とても貴重な体験です。

今回はスモールスタートで日本とアメリカ向けのみの出荷を予定しているのですが、それ以外の国にお住まいの方から、出荷先を追加するようたくさんの要望をいただいています。キックスターターコミュニティの大きさと「北斗の拳」の世界的な人気をあらためて実感しています。

提供:プログレス・テクノロジーズ

提供:プログレス・テクノロジーズ

伝説作品を、全て「全巻一冊」にしたい

「全巻一冊」に込める思いをこう語る。

マンガは、日本が世界に誇れる文化の一つです。電子本「全巻一冊」は、その素晴らしいコンテンツを、最高の品質で長く愛蔵していただけるように、日本の技術力を結集してつくられています。私たちは、マンガの持つ力とテクノロジーを掛け合わせ、メイドインジャパン品質で、世界中のコミックファンに革新的な読書体験を提供していきたいと考えています。

世界中の少しでも多くの方々がこの製品を手に取り、楽しんでくれることを心から願っています。

今後どのような作品の「全巻一冊」を出したいと考えているのか。

「あの伝説の」と言われるような作品は、すべて「全巻一冊」シリーズにさせていただきたいです。また、今はまだ電子書籍になっていない作品を「全巻一冊」シリーズとして出せたら、という野望も持っています。表示品質も見開き表現も、作品の素晴らしさを余すことなく読者の方へ届けられると自負しています。

今回のkickstarterでできる限りの大成功を収めたうえで、日本のマンガコンテンツを扱っている大手出版社さまとお話させていただき、どんどんラインナップを増やしていきたいと考えております。「お気に入りのあのマンガを全巻一冊シリーズに!」という方は、ぜひ応援してください。これまで以上に楽しめるマンガの未来のために、ぜひよろしくお願いします。

出典:「プログレス・テクノロジーズ」Pressrelease

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