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畳1300年の歴史を覆す「変形デザイン畳」が話題!石巻の畳店が東日本大震災を機に開発

提供:草新舎

提供:草新舎

変形縁なしデザイン畳について、宮城県石巻市の畳専門店「草新舎」の代表取締役・高橋寿さんに取材した。

デザインできる変形畳「XT」

草新舎は、天然素材で加工したデザイン畳「XT」を製造販売している。

従来の畳と異なり、自由なデザイン表現が可能で、用途に合わせて1センチメートル刻みのオーダーもできる。

提供:草新舎

提供:草新舎

ネット上で「おしゃれ」「カッコいい!!」「新しい可能性を感じるデザイン」「かなり好き」「可能性が無限大」「注文したい」と話題に。

同畳を紹介したツイートは、投稿から3日足らずで2万9千超リツイート、5万6000超いいね!を集めている。

東日本大震災を機に挑戦

草新舎が変形デザイン畳の開発を始めたのは、2011年3月11日に発生した東日本大震災がきっかけだ。工場は一部損壊し、社長の自宅も全壊。顧客も津波で自宅を流されたり、床上浸水で避難したりするなど被災した。

それでも、同社は、その後の復興事業で市内の仮設住宅8000戸への畳納入の一部を担い、翌2012年3月まで寝る間を惜しんで納入を続けたという。

通常4~6月は畳の表替え等の需要が伸びる時期だが、この時は被災地域の需要が一段落。そこで、時間に余裕ができたこの時期に、かねてから課題だったという「変形縁なし畳」の試作を始める。

もともと当社は国宝重要文化財を始めとした寺社仏閣の仕事が多く、丸柱や斜めの廊下に畳を収める変形加工技術を保有しています。その技術を新しい畳に応用する事を思いついたわけです。

提供:草新舎「浦和の数寄屋」

提供:草新舎「浦和の数寄屋」

「価値の転換」を目指した製品を

なぜ「変形縁なし畳」を目指していたのか。

同社によると、日本の伝統素材である「い草」を使った畳は、プラスチック製や紙製、中国製の畳表に席巻されつつある。「活躍の場がどんどん少なくなって、いつかは代替品に取って代われらるのでは」という危機感が根底にあったという。

当社独自に畳の活躍の一助となるよう、『畳そのものを新しい視点で捉えなおしてもらえるような、価値の転換を目指した製品』を作り上げたかったのです。

草新舎は、文化財に使われる畳の製造技術と、国産優良畳資材の保護育成を目指す文化庁選定の技術保存団体「文化財畳保存会」にも所属している。

提供:草新舎

提供:草新舎

1300年の歴史で初めて

天然素材の畳の変形加工はこれまで不可能とされており、デザイン畳は1300年にわたる日本の畳文化に存在しなかったという。

一般的に畳表は経糸(たていと)の間に「い草」を横糸のように引き通して、織物と同じ製法で織り上げるが、自然素材なので折れたり千切れたりと取り扱い次第では形にならないそうだ。

素材を希望のデザイン通りに正確な寸法に折り曲げたり縫い止めたりすることは、通常の畳の施工精度よりも厳しい水準が要求されます。

製品として合理的に無理なく加工することは、一般的な畳店では想定外の基準で行っています。

畳表を張り付ける伝統素材は、「わら畳床」という米を育てた後の茎を、厚さ約50センチに積み重ねて機械で圧縮した後、経糸と横糸で縫い止めた物。反発力が強く、その糸を縦横斜めに切ると、復元力でバラバラに解けてしまうという。

その両方の素材を組み合わせて変形を作り出すことは、畳の製法の常識ではあり得ない加工法と言えます。

厳しい条件の下、これまで寺社仏閣の納品で培ってきた伝統製法を土台に、現代の加工機械を利用しながら新製法を開発し、特許を取得して製品化が実現したという。

提供:草新舎

提供:草新舎

縁を無くしデザイン的に

「縁(フチ)」を無くしたのには、こんな理由があるという。

部屋に畳を収める場合、畳の縁が付いた時点で、壁や天井がどんなにデザイン的であっても「和」の空気との混在した空間となり、せっかくの意図が台無しになることが指摘されていました。

新しい住宅雑誌等では、畳縁のない畳の方がデザイン的にもマッチしやすいと言われています。

提供:草新舎

提供:草新舎

伝統素材の新しい利用分野を開拓

同畳は個人住宅だけでなく、地元の宮城県仙台市の秋保温泉の宿泊施設、さらに東京・表参道のトレーニング道場「HALEO表参道」や神奈川県川崎市のゲストハウス、福岡県北九州市のホステルなど、さまざまなシーンで使われている。

提供:新草舎

提供:草新舎「HALEO表参道」

「XT」に込める思いを、こう語る。

伝統素材の新しい利用分野を開拓することで、希少素材生産地の保護育成を図り、それによって日本文化の伝承に貢献していきます。

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