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【デザイナーに取材】好きなところに挿せる「コンセント」が画期的

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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斬新でおしゃれな「コンセント」について、デザインしたハーズ実験デザイン研究所の村田智明代表取締役に話を聞いた。

「斬新なコンセント」が話題に

ハーズ実験デザイン研究所のデザインブランド「METAPHYS」の斬新なコンセント「node」がネット上で話題となっている。

従来のコンセントの課題である、「差し込み口の不足」や「複数のACアダプターが差しづらい」といった問題を解決する斬新なデザイン。

8個までプラグを差せ、アダプターの方向も4方向から選択可能。電流値が20アンペアに近づくと中央部が透けて光るアラート機能も備えている。

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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ネットユーザーから、「良いデザイン」「近未来的」「形面白くて欲しい」「一目ぼれ」「めちゃくちゃ欲しい」「どこで売ってるの?」といった反響が寄せられている。

「テレビ企画」で誕生、課題を解決へ

村田さんによると、「node」は見慣れて日常に埋もれているアイテムをリーデザインし、新たな魅力を創出するというテレビ番組「ニューデザインパラダイス(2004~2005)」のためにデザインした作品だそう。

近年、電気製品が増加しているがコンセントの仕様は追いついておらず、2口あるコンセント口がアダプターに埋もれている状況をよく目にするようになったことに発想を得たという。

そこから、「挿し口を基準いっぱいに増やし(8か所)タコ足配線を防止する」、「挿し口の角度を変えることでアダプターが塞ぐ状況をクリアする」「今までのビジュアルイメージである豚鼻の2穴デザインを避ける」といったところにこだわってデザインを進めました。

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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商品化を望む声が多いという

nodeはまだ商品化されておらず、商品化のための企業を募集中だというが、放送から10年以上経った今でも、同作品について多くの問い合わせが寄せられているという。

リフォームや新築を考えていらっしゃる方々からの問い合わせが未だに多いです。

テレビ放映時には、WEB上でも「商品化して欲しい作品」の人気投票を行った結果で1位となり、数回の放映を行っており、製品化の催促メールに追われていました。

それほど人気があるのに、なぜ商品化しないのか。商品化にあたっての課題を聞いた。

コンセントは延長コードと違い、壁面に埋め込み、施工を伴うものです。そうなると通常のMETAPHYSが販売しているインテリア・雑貨ルートでは販売できなくなります。建築資材・電材を扱う工務店が仕入れて、施工するルートになります。

また、コンセント自体は、PSEの基準をクリアできるメーカーの設計、製造、卸が必須になりますが、大手企業の寡占市場に既存イメージから逸脱したこのデザインを導入するリスクを考えて躊躇しているのだと考えられ、こちらからも積極的に動いていないのが現状です。

ですが、中身の構造は、至ってシンプルですので、既存部品を流用できるため、イニシャルコストはかなり低いと考えられ、商品化への道は意外と近いのです。

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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「洋包丁」や「脚立」等もデザイン

村田さんは他にも、さまざまな生活アイテムのデザインを行っている。商品化されたアイテムを何点か紹介してもらった。

・『サラヤの食器洗剤プレミアムパワーのパッケージデザイン』

今までの常識だったレフィルの詰め替えは多くの問題を抱えていました。

これを根本から覆すレフィルごと交換方式で、エコとユーザビリティ、インテリア性を同時に実現し、TOPAWARDS ASIA GRANDPRIXなど多くのアワードを受賞しました。

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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・『越前ブランドコンソーシアムiizaの洋包丁シリーズ』

オープンキッチン化による見せる厨房がお客さんとシェフとのいい関係を生み出しています。ここでは、シェフの手さばきを美しく見せる包丁を考え、使い始めから収納までを客側に見せることを意識しています。

iF Design Award Gold受賞

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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・『Paris MIKI Micro Titan Series(Chiaki Murata Model)』

一筆書きのようなシームレスなデザインを実現したいと思い、鯖江のチタン加工技術の中で、スウェージング・曲げ・プレス、切削等の加工技術を駆使し、太さが変化し、3次元的に曲がるテンプルを実現しました。

Gマーク4年連続受賞。

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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・『長谷川工業 METAPHYS LUCANO』

脚立は、リビングに出しっぱなしにできないようなデザインが多いため、物置に置かれるなどして、結局は取りに行くのが面倒でイスが代用になってしまうのが現状です。

そこで、本来の役目を果たすことのできる「行為のデザイン」に基づいた脚立をデザインしたところ、大ヒットとなり、RED DOT BEST OF BESTなど多くの賞もいただきました。

提供:ハーズ実験デザイン研究所

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「物・行為・考え方の美しさ」が大切

デザインに込める思い・コンセプトをこう語る。

「用の美」という考え方があるように、人の行為を助け、モノを通して精神的な豊かさを育むデザインには、色・カタチだけでない、作り手の考え方に美しい心が宿っていると思います。

ですので、モノのデザインを考える時には、「物自体の美しさ」に加えて、それを「使う人の行為の美しさ」、そのモノが存在することの意義を考える作り手の「考え方の美しさ」の3つが大切だと考えています。

また、「感性ポテンシャル」は相手によってはゼロにも100にもなりえる可能性であって、誰に対して何を共感させたいのかを上手く講じることで、モノづくりに懸けるエネルギーを効率的に伝達できます。

村田さんのデザインへの考え方などは、著書「行為のデザイン思考法」や「感性ポテンシャル思考法」「ソーシャルデザインの教科書」にも記されているそう。

また、同研究所がデザイン開発・ブランディングを行っているデザインブランド「METAPHYS」のホームページでは、村田さんがデザインした作品の数々を見ることができる。

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Text by 長澤まき

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