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【開発者に取材】意識高い系を装える「新書風スマホケース」が秀逸

提供:エコードワークス

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一見本を読んでいるように見える「新書風スマホケース」について、同商品を生み出したエコードワークス代表の福澤貴之さんに取材した。

「新書風スマホケース」が話題

クリエイティブブランド「ekoD Works(エコードワークス)」は先日、読書家を装って意識高そうなフリをしながらスマホをいじれる新書風手帳型スマホケース「スマホをやめて本を読め」を発表した。

一見、真面目に新書を読んでいるように見えるが、実は中身はスマホ。5月下旬発売予定で、公式オンラインストアで予約を受け付けている。

提供:エコードワークス

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福澤さんが先日、同商品を紹介するツイートをしたところ、ネットユーザーの間で「これは面白い」「こういうのが欲しかった」「形容矛盾の権化みたいな商品」「天才の仕業」「しかも今流行りのタイトルが命令形!」「最上級の発想力に脱帽です!」と一躍話題になっている。

さまざまな要素が絡み合い発想

福澤さんによると、同スマホケースは「何処何処で〇〇を見たのががキッカケで」というような、特定の出来事に起因して発案したのではないという。

福澤さんは普段から手が空いた時に「何か面白いものを作れないか」と考え、また定期的にアイデアをまとめて企画を考える時間を設けているそう。

スケッチブックを開き、その時々で興味関心のある様々な物事を結んだり開いたり捏ねたり捻ったりしながら、面白みを感じるアイディアの種を描きためていきます。本作の原形もそのアイディアのうちの一つです。

複数の要素が複雑に絡み合っているため、特定の象徴的なきっかけがあるわけではありません。

例えば、今回は「みんなが黙々とスマホをいじっている光景」や「それを異様に感じながらも、次の瞬間には自分もスマホをいじっている矛盾」「スマホの普及で本離れが進んでいると言われている事」「スマホより読書の方がためになるという論調」「ゲームや漫画、アニメより勉強が善とされる風潮」「向上心のある素振りを見せると、一部から“意識高い系”と揶揄される最近の傾向」など、さまざまな要素がアイデアの元になったそう。

このように単発の小さな出来事の数々や、中長期的な社会的トレンド、それらに触れる中で抱く関心事や違和感が蓄積され、いざ企画のアイディアを生み出そうとする際には、関連しそうな幾つもの要素を結んだり開いたり捏ねたり捻ったり、脳内で様々に思考していくなかで原形となる案が形作られます。

本作の原形ものそのようにして出てきた案の1つで、実際に作ってみたら面白そうだと感じたため開発を進行することにしました。

提供:エコードワークス

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コダワリは「新書らしさ」と「偽物っぽさ」

デザイン・開発にあたってのこだわりや工夫した点を聞いた。

「ひと目でわかる新書らしさ」と「どこからともなく醸し出される偽物っぽさ」です。

ぱっと見で新書に見える必要があるため、実在する複数社の新書本の装丁から少しずつ要素を組み合わせて、初めて見る装丁だけどひと目で新書だと認知できるような表紙にしたそう。

また、書籍みたいに見えるよう、スマホケース本体も帯状の留め具が付いていない手帳型ケースを前提に。さらに、内面のカードポケットの有無など、実用面も損なわない仕様を求めて選定したという。

一見当たり前のことのようではありますが、帯状の留め具が付いている物を取り扱っている業者が多かったり、留め具無しのケースを見つけてもカードポケットが付いていなかったり、仕様の条件は満たしてもロットや価格など生産面の条件が折り合わなかったりと、部材選定にはなかなか苦労しました。

文面は、単に意識の高い書籍を再現するのではなく、「意識高そうに見せようと装っている」という本作のコンセプトを表現する内容にしたそう。

一見かしこまっていそうでいて、随所に小ネタが散りばめられており、どこからともなく嘘っぽさが滲み出てくる按配を目指しました。

例えば帯に書かれた「みんなが絶賛」といういい加減でバカっぽい表現や、「読書家のふりをして賢くなれた気分です」というコメントで堂々とネタバレしている点、背表紙側の帯には本書の内容を章立てて紹介する体裁で、スマホ依存の危険性を警告しているのかと思いきや最後に落ちを設けるなど、あちこちに小ネタを仕込むことで、どことなく偽物っぽさを醸し出せていると思います。

提供:エコードワークス

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タイトルは「書を捨てよ町へ出よう」から

タイトルの「スマホをやめて本を読め」(寺小屋習字著)は、「書を捨てよ町へ出よう」(寺山修司著)になぞらえたものだという。

恥ずかしながら私は同書を読んではいないのですが、この書籍の存在を「四畳半神話大系」(森見登美彦著)の作中で知りました。

同作のアニメ版で「かつて寺山修司は言った、書を捨てよ町へ出ろと、しかし町へ出て何をしろと言うのだ」という主人公の台詞が頭の片隅にこびりつき、タイトルを考える際に自然とその連想から候補案が生まれました。

ちなみに他の候補には、「スマホ依存を治す、たった1つの秘訣」などがあったという。

提供:エコードワークス

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自分のツイートへの大反響は予想外

同スマホケースを紹介する福澤さんのツイートは投稿から4日あまりで2万9千超いいね、1万8千超リツイートされている。

福澤さんの作品は過去にも、「妄想マッピングTシャツ」や「タニマダイバー」「ミミックロンパーズ」「ポイズンきの子」「オトナの妄想タイツ」などがSNSで話題となったが、今回の反響は予想外だったそう。

今回も、面白がってくれる人が一定数いてくれると良いなと思っていました。

しかし過去の反響はニュースメディアや、フォロワー数の多い取引先企業のアカウントから情報発信されたものが話題になるケースばかりでしたので、当方のアカウント発の情報が話題になったことについては予想外でした。

未定だが、シリーズを出す可能性も

他のタイトルやデザインの「本風手帳型スマホケース」をシリーズで出す計画はあるのだろうか。

今回発表した「スマホをやめて本を読め」以外にも候補は幾つかありましたので、それらをラインナップに加える可能性はありますが、現時点では未定です。

過去にはコミックス風のケースも作っており、新書に限らず雑誌や文庫本や教科書をモチーフにしたものも選択肢に入るかもしれません。

ただし、同商品のポイントは、スマホ依存や意識高い系などの社会的なトレンドを捉えて「スマホをいじりながらスマホを否定しているようにみえる」という矛盾を1つの製品に落とし込んだこと。

あくまで「新書風」はそれを表現するための媒体として適切だっただけと考えているので、タイトルを変えるようなマイナーチェンジ版は今後用意するかもしれないが、それを作ること自体にはそれほど興味がないという。

本当の意味で新しいものを作るとしたら、何か別の意図で本作のような風刺やいたずら心を形にできる企画ができた時だと思いますし、それを考えることの方に興味があります。そしてそれは手帳型スマホケースかもしれませんし、ファッションアイテムかもしれませんし、照明器具かもしれません。

「口紅から機関車」で有名なレイモンド・ローウィよろしく、世の中をちょっと面白くできるような「様々なモノやコト」を生み出していきたいと考えています。何か一つの物事に縛られず、面白いものを次々と生み出していくことに注力して参ります。

提供:エコードワークス

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「世の中を、ちょっと面白おかしく」

福澤さんが商品づくりに込める思いを、こう語る。

「この発想はなかった」という言葉に象徴されるように、見ればすぐにそれが何か気づく、だけど見るまではなかなか気づけないような、日常に隠れた面白さを見出すことに興味関心があります。

日常にありふれた様々な物事でも、ちょっとした捻りを加えることでそれまでとは違った面白みのある表現ができるのだと思います。

作品づくりにおいては、私なりのフィルターを通して世の中をちょっと面白おかしく変えていくことができれば良いなと思います。

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Text by 長澤まき

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