シェア

【取材】日本に「保護犬猫を迎える文化」を…保護犬・猫と飼いたい人を結ぶOMUSUBI

fotolia

fotolia

保護犬・猫と飼いたい人を結ぶサイト「OMUSUBI」について、運営する株式会社シロップに話を聞いた。

保護犬・猫と飼い主を結ぶ「OMUSUBI」

ペット関連サービスを展開する株式会社シロップは、保護犬・保護猫と飼いたい人を結ぶインターネットサービス「OMUSUBI(お結び)」を運営している。

さまざまな理由で捨てられ保護された「保護犬」や「保護猫」と飼いたい人をマッチングするサービス。

同サイトを通じて日本に「保護犬・保護猫を迎える文化」をつくり、1匹でも多くの犬猫が幸せに暮らせる社会の実現を目指している。

提供:シロップ

提供:シロップ

「トライアル」でじっくり相性を確認

同サービスでは、審査経て登録された動物保護団体の犬や猫を閲覧したり、検索して自分に合う子を探すことができる。

飼いたい子が見つかり申請すると、団体が申請者のプロフィールを確認して候補者を決定。

申し込み成立後は、保護団体によって異なるが、譲渡会や面談などで実際に会ってみたり、候補者の自宅で1~2週間の仮飼養(トライアル)を行って生活環境や先住犬猫との相性を確かめ、正式な譲渡を決める。

マッチングして終わりではなく、飼い始めのサポートから健康管理、仲良しになる方法まで、姉妹サイト「ペトこと」と連携し、楽しいペットライフを応援。

保護犬猫と実際に触れ合える譲渡会イベントも開催している。

提供:シロップ

提供:シロップ

イギリスでの体験を元に開発

同サービスを始めた経緯を、シロップの担当者に聞いた。

代表の大久保がイギリスに住んでいた際に「保護犬猫から迎える」という選択肢が浸透していることや、公共施設にも犬がいることが許される飼育レベルの違いに驚いたことがきかっけでした。

代表の大久保さんは2015年に起業。当初は、正しい飼い方の知識を情報発信するペット専門メディア「ペトこと」だけを運営していた。

しかし、動物保護団体の方々とお話をする中で、こう思うようになったという。

「犬猫と飼い主さんの幸せを考える前に解決すべき課題があるのではないか」

そのために、強みであるテクノロジーの力を活かしてできることがあるのではないかと考え、新たに「OMUSUBI(お結び)」を開発。2016年12月にサービスを開始した。

出典:「シロップ」Press Release

出典:「シロップ」Press Release

「かわいそう」ではなく、明るくポジティブに

サービスを行うにあたっては、「ポジティブな印象を持ってもらえる工夫」「利用者にとって安心・安全の場であること」「運営スタッフも実際に目で見て、肌で感じること」の3つに特にこだわっているという。

【ポジティブな印象】

保護犬猫というと、どうしても「かわいそうな子たち」と思われ、ハードルが高く感じられがちだ。

もっと保護犬猫の存在を身近に感じ、「一生の家族に出逢ったら、たまたま保護犬猫出身だった」となるように、明るくポジティブなサイトデザインやメッセージ発信を心掛けています。

【安全・安心の場】

OMUSUBIを利用する方が探しているのは、「新しい家族」。

募集を掲載する側にも応募する側にも安心して利用してもらえるよう、「審査制であること」「迅速に対応出来るCSがあること」「譲渡後の様子が想像できるコンテンツ」など、信頼感・安心感にもこだわっている。

応募できるのは審査に通過した保護団体のみで、定期的に同サイトのスタッフと連絡を取り合っているという。

10団体あれば10団体それぞれ異なる経験と信念があり、その考え方を共有していただくのもとても勉強になります。

応募者については「保護犬猫を引き取ると大変なのかな…?」と尻込みしてしまう方もいるので、実際に譲渡が決まった人の体験記として「お結びレポート」の公開なども行っています。

提供:シロップ

提供:シロップ

【目で見て、肌で感じる】

インターネットサービスだが、ただ募集情報を掲載するのではなく、利用者の疑問や意見に真剣に向き合いサポートできるように心がけているという。

そのため、運営スタッフは保護団体の方にお会いして保護活動の様子を見せていただいたり、自ら譲渡会を開催したりして「現場感」を失わないように気をつけています。

現状を目で見て肌で感じることが、使いやすさや新しい機能・アプローチへの発想につながると考えています。

きめ細かいサービスでミスマッチを防ぐ

「保護団体や申し込み者の審査」に「トライアル」など、譲渡までにきめ細かいサービスを行う理由を、こう語る。

人間同士の相性と同じで、自分が考える理想の相手と実際に相性の合うタイプは異なることが多いです。

私たちは飼育放棄につながる要因の一つとして、ペットと飼い主さんのミスマッチがあると考えています。

相性が合うかは、飼育環境や飼い主さんの生活スタイルによって異なるからです。

その上で、OMUSUBIの役割は犬猫のことを真剣に考え保護している団体さんと、適正飼育を行える飼い主さんを結ぶことだと思っています。

今後は、「プロフィール情報を元に、相性の合う子を紹介するレコメンド機能の開発」や「飼い主検定の導入」「家族を迎える時に、どんな知識や準備が必要なのかを応募の段階で学べる仕組み」などを作っていこうと考えているという。

ただ、譲渡条件が厳しすぎると「保護犬猫から迎える選択肢のハードルが上がるのではないか」という意見もあり、バランスを見ていかないといけない状況でもあるそうだ。

提供:シロップ

提供:シロップ

約1年半で100匹ほど譲渡

サービス開始からの1年間で、審査を経て登録された動物保護団体は全国45団体に拡大し、新しい家族になることを希望した方は550件を超えたそう。

保護団体の方ですら「新しいお家は決まらないかな」と諦めていた高齢の子や疾患のある子も、OMUSUBIで素敵な家族に巡り合うことができたそうだ。

やはりオンラインでのマッチングの良さは、今までに出会いにくかった縁を結ぶチャンスを増やせることだと思います。

譲渡数自体はまだ100匹ほどですが、たくさんの方のご協力もあり、OMUSUBIの認知自体も上がってきています。

最近ではモデルのローラさんからも声掛けをいただき、一緒にInstagramアカウント「@uni_project330」を開設して、保護犬猫の情報発信を行う取り組みも始めているという。

私たちが利用者される方に直接お会いする機会は少ないのですが、「出会わせてくれてありがとう」という声をかけていただいた時は本当に嬉しく、このサービスを広げていくことで増やせる幸せがもっとあるはずだと感じています。

「“一生の家族”に出合い、幸せになる」がゴール

同サイトは保護団体や利用者、アドバイスをくれる皆さんのおかげで成り立っていると、日々痛感しているそう。

また、これから必要なのは「いかに期待に応え、強みであるテクノロジーを活かした展開を行えるか」だと考えているという。

OMUSUBIを運営する上で気がついたのは、ペット市場にあるさまざまな問題を根本的に変えていくためには「保護犬猫の譲渡促進」に留めてはいけないということです。

「殺処分ゼロ」という言葉はシンプルでインパクトがあり、「殺処分ゼロを目指そう」と声を上げる人も増えてきた。

しかし、実際は単に「殺処分ゼロ」を目指せばいいというわけではないという。

言葉だけが一人歩きをして、それを達成するために保護団体が疲弊し、ギリギリの活動をしている状況になっているそう。

同サイトとしては、社会の受け皿を担っている「保護団体のサポート」だけではなく、問題の大本にある「ペット流通市場へのアプローチ」も進めていかなければと考えていると語る。

そのためには運営する私たち自身も情報収集を怠らず、常に「OMUSUBIを通して提供できる新しい価値とは何か?」を意識していく必要があります。

ペット業界全体が変わっていかなければいけないため、一筋縄ではいかないと考えていますが、ゴールはシンプルで明確です。

犬猫が“一生の家族”に出会い、人も犬猫も幸せになること。

そのゴールを目指し、OMUSUBIだからこそできることを突き詰めていきます。

Posted: |Updated:

Text by 長澤まき

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング