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“心霊スポット”の風評被害を「ヒーローの歌」で払拭へ!下久保ダムの斬新な取り組み

鬼神戦隊ダムセイバー 提供:村上賢一さん

鬼神戦隊ダムセイバー 提供:村上賢一さん

埼玉県神川町と群馬県藤岡市にまたがる下久保ダムが今年3月から、「心霊スポット」という悪評への対策として「ご当地ヒーロー」の主題歌を流すユニークな取り組みを行っている。

この取り組みについて、水資源機構下久保ダム管理所の所長代理である菊地滋男さんと「ご当地ヒーローダムセイバー」生みの親の村上賢一さんに話を聞いた。

自動の警報装置からヒーローの主題歌

取り組みでは、自動的に音が鳴る音声警報装置をダム周辺に設置。夜間に人や車などが通ると、下久保ダムをモチーフにしたご当地ヒーロー「鬼神戦隊ダムセイバー」の陽気な主題歌「ウォーターファンタジア」が流れる。

明るい曲を流すことで、夜間の暗く寂しい気分を転換。肝試しや心霊スポットとしてのを喪失させるという。

▼「鬼神戦隊ダムセイバー」公式動画

心霊スポットとの風評被害に苦慮

下久保ダムと周辺の自治体や住民は、ダムやダム湖(神流湖)を活かして、ダムをあしらったお土産や魚釣り、景観を活用した宿泊施設など、地域振興に取り組んでいる。

しかし、数年前から突如として幽霊を見かけるといった「心霊スポット」といった事実無根のうわさが、ネット上で急速に広がり始めたという。

地元の人によると、うわさ自体は20~30年前からちらほらあったそうだが、ネットの普及に伴ってより拡散されているそうだ。

山間部でもありますし、夜間の雰囲気からうわさをたてやすかったのかもしれません。

最近目立つのはSNSで肝試しの動画を流したり、民間タクシー会社が心霊ツアーを深夜に企画したり、大手商業施設の夏のイベントでお化け屋敷の題材にされてしまうなどが起きており、情報の拡散を未然に防ぐ方法はないか悩んでいます。

深夜に周辺の土地や建物に不法侵入されるなど実害まで発生し、2011年には地域住民から自治体へイメージ改善への要望書が出されたそうだ。

提供:村上さん

鬼神戦隊ダムセイバー 提供:村上賢一さん

明るい音楽で肝試しを防げ

対策として今年3月に、明るく陽気な音楽を流すという新たな手法を取り入れた。

ダムファン(全国のダムをこよなく愛する方たち)から、「明るい音楽を流せば、肝試しの雰囲気も壊れて効果があるのでは」という意見を頂いていました。

そんな折に、今年3月に工事現場や駐車場などで安全管理や防犯で使われる音声警報装置を活用できるのではと下久保ダムの職員が思いつき、同月より設置しました。

流す音楽は、下久保ダムの近所にある「ミュージックハウスネバーランド」オーナーの村上さんが「ダムセイバー」をデビューさせ主題歌もあることを聞き、協力してもらったという。

提供:村上賢一さん

提供:村上賢一さん

ダムセイバー生みの親「地域に貢献」

鬼神戦隊ダムセイバーとは、どのようなヒーローなのか?

ダムセイバーの発案者で神川町観光協会会長を務める村上さんに聞いた。

県境であるこの地域を盛り上げるべく、ダムがある群馬県藤岡市鬼石(おにし)地区の「鬼」と埼玉県神川町の「神」を合わせて「鬼神戦隊」に。そして県境をまたぐダムをモチーフにしました。

村上さんは、ダムセイバーの構想を2010年に作り上げていたそうだ。

「ご当地ヒーローやご当地アイドルでこの町を盛り上げていければ面白そうだなぁ」と考え、イメージ画まで完成しておりました。

そして2014年に鬼石に「脱サラをして造形工房を立ち上げます」と挨拶に来た人物と知り合います。現在のダムセイバーの敵役「凱煉鬼」(かいれんき)と殺陣講師の黒田氏です。

その後、2016年にあるきっかけで神川町の地域おこし協力隊になり、その活動費でやっと「鬼神戦隊ダムセイバー」が、僕の頭の中から現実の世界へ誕生しました。

ダムセイバーは、村上さんが理事長を務める「神カワ学園のヒーロー部」に所属している。

ダムの不審者対策に主題歌を流す話を打診された時は、まだ初舞台さえ踏んでいない時期で、認知度を上げられる有難い話だと感じたそうだ。

下久保ダムの対策に活用されていることは、ダムセイバーにとっても僕、村上賢一にとっても非常に有難い事と思っております。

多少なりとも地域に貢献できているのかなぁと思っております。

提供:村上賢一さん

提供:村上賢一さん

SNSで「明るい情報」が目立つなど効果

この対策を導入したことで、どのような効果が出ているのか。

ダム管理所の菊地さんは、ダムのイメージが変わりつつあると感じている。

SNS上で音楽が流れる様子が掲載されているのを確認しており、対策に努めている姿が広まっていくことを期待しています。

また、2018年は民間タクシー会社の心霊ツアーの実施も確認されていません。

今回の取り組みはテレビや新聞でも取り上げて頂いており、SNS上で明るい情報が目立つようになってきています。

出典:「独立行政法人水資源機構」ホームページ

出典:独立行政法人水資源機構ホームページ

下久保ダムに込める思いを、こう話す。

下久保ダムは2018年で50周年を迎えました。関東地方を支える大事な水源であり、発電でも地域の生活を支え続けて来ました。

ダム建設には地元の多大な理解と協力がなければ実現しないことを改めてかみしめ、「心和む里山観光の拠点地域」として少しでも恩返しできればと日々の仕事に励んでいます。

深夜ではなく、これからは秋晴れの日に景観豊かな当地を訪れ、温泉や道の駅、観光スポットなどで楽しんでほしいと考えております。

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Text by 長澤まき

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