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赤ちゃん誕生を打上花火で祝う町・北海道愛別町で20年以上続く「ハッピーボーン」が温かい

出典:「愛別町」ホームページ

出典:「愛別町」ホームページ

北海道に、町内で子供が生まれると祝いの花火を打ち上げる町がある。

上川郡愛別町(あいべつちょう)の人々による子育て応援について、町民有志が結成した「祝っちゃる会」事務局長の中富崇さんに話を聞いた。

赤ちゃん誕生を祝う花火「ハッピーボーン」

北海道のほぼ中央に位置する上川盆地の東北端にある愛別町では、町による子育て支援に加えて、町の人々による「子育て応援」が行われている。

「ハッピーボーン」は、町民有志から結成された「祝っちゃる会」が始めた、赤ちゃん誕生を祝う取り組み。

赤ちゃんが生まれると行事用の花火を上げて、町民みんなで誕生をお祝いする。

出典:「愛別町」ホームページ

出典:「愛別町」ホームページ

全町民が誕生を祝えるように

中富さんによると、ハッピーボーンの始まったきっかけは1990年に遡るという。

同町の特産品である「きのこ」のPRを目指して開催されている一大イベント「きのこの里フェスティバル」の実行委員会メンバーに赤ちゃんが誕生することになった時、1人が「それはおめでたいことだから、花火を打ち上げて皆で祝っちゃるかい」と言い出したそう。

これを受けて、「それはいい話。町で生まれる子どもは少ないのだから、皆でお金を出し合って、せっかくだから町で生まれる子ども全員をお祝いしてあげよう」という提案があり、メンバーが賛同したことで始まったという。

人が亡くなったことは自然と耳に入ってくるが、人が生まれたことは意外と分からないこと。

こんな小さな町でも、どこの家で子どもが生まれたかすら分からない現状を憂慮してのことでした。

花火が上がると「今日はどこかで子どもが生まれたから、それは良かった。男の子かな?女の子かな?」と全町民が町の将来の担い手誕生を歓迎し祝うことができる。そんな想いを込めてハッピーボーンはスタートしました。

夜ではなく、昼間に打ち上げる理由を聞いた。

花火は、お祭りや運動会の開始の合図などに使われる五段雷という信号用花火1発が上空で5回鳴り響くもので、観賞用の花火ではありません。

「全町民皆でお祝いをする」という意味合いから、子供が誕生した家族が希望する日の正午に打ち上げています。

花火の音は、地域の皆に笑顔と元気を届けてくれているそうだ。

愛別町地域おこし協力隊/facebook

愛別町地域おこし協力隊/facebook

君の椅子や商店からの贈り物など広がり

ハッピーボーンから始まった子育て応援の取り組みは、「地域をあげて子どもの誕生をお祝いする」という理念のもと、形を変えて、町を越えて発展しているという。

愛別町では2010年から、祝っちゃる会と町が共同で「生まれてくれてありがとう。君の居場所はここにあるからね」という想いを込めて、赤ちゃんに北海道産の木材で作った椅子を贈る「君の椅子プロジェクト」に参加している。

椅子プロジェクトは、ハッピーボーンをヒントにして旭川大学大学院(旭川市)のゼミが発案。愛別町は参加してからの8年間で129脚の椅子を贈呈してきたという。

毎年椅子のデザインが変わるため、持っている椅子のデザインを見るだけで子どもの学年が分かり、椅子を受け取る家族も「今年はどんなデザインの椅子かな?」と楽しみにしていただいています。

出典:「愛別町」ホームページ

出典:「愛別町」ホームページ

これらの取り組みがさらなる盛り上がりを見せ、2011年からは町内の木村商店による、赤ちゃんが生まれた家庭に愛別産米3キロをプレゼントする「ハッピーライス」が、2013年からは「本多はなや」による、赤ちゃんの生まれた季節に合わせた「花束のプレゼント」がスタートした。

出典:「愛別町」ホームページ

出典:「愛別町」ホームページ

2014年からは、町名に同じく「愛」が付く縁で親交のある愛媛県愛南町の書家による「お祝いの書」贈呈の取り組みが自主的に始まり、2017年度末まで行われていたという。

まちの宝物とする取り組みが定着

町の人々による「子育て応援」について、赤ちゃんの家族や町の人々からは喜び一杯の反応があるという。

徐々にマスコミに取り上げられる機会も増えており、取り組む事業者にとっても大きな励みになっているそうだ。

今では愛別町で生まれてくる子どもたちは「まちの宝物」として町全体でお祝いし、守り、育てるつながりのある取り組みが定着してきています。

その証として「高校生までの医療費無料化」や「新入学児童学用品の支給」「生徒制服等購入費助成」「高校通学交通費助成」などの各種支援施策を積極的に実施しております。

愛別町/Facebook

愛別町/Facebook

「このまちに生まれてよかった」と思える町に

中富さんは、各種取り組みが広がりを見せていることについては非常に素晴らしいことだと感じているが、「ハッピーボーン」の打ち上げ回数も徐々に減っており、改めて少子化が進んでいることを実感していると話す。

愛別町で誕生した赤ちゃんの人数は2014年と2015年は20人だったが、2016年は11人、2017年は8人、今年は10月時点で13人だという。

人口は減少し続けていますが、人口が減ることが不幸ではなく、今住んでいる町民の方々が幸せを実感できるようなまちづくりを進めていく必要があると感じています。

小さいながらも「このまちに生まれてよかった」「このまちに住み続けたい」と思えるまちづくりを目指し、これからも「愛」のある「愛一杯」のまちづくりを進めていきます。

出典:「愛別町」ホームページ

出典:「愛別町」ホームページ

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Text by 長澤まき

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