シェア

L字金具に引っ掛けるだけ!スマートな「傘立て」を生んだこだわりとは

提供:Y

提供:Y

シンプルで使いやすい傘立てについて、デザイン会社「株式会社Y」代表の三宅喜之さんに取材した。

部屋のコーナーに浮かぶような傘立て

株式会社Y(大阪市西区)の傘立て“CORNER BAR(コーナーバー)”が、「合理的でスマート」「デッドスペースを活用できる」とネット上で注目を集めている。

入り隅に付属のL字金具を取り付けてコードを引っ掛けるだけで、バーが部屋のコーナーに浮かぶように壁に留まる、コーナー専用の突っ張り棒のようなアイテムだ。

低めの位置に取り付けるとシンプルな傘立てになり、高い位置に取り付けると小物掛けにもなる。

床面に置かないので狭い玄関でも使いやすい。ワンタッチで着脱でき、使わないときは簡単に外せる。

提供:Y

提供:Y

提供:M

提供:Y

常識から少しずらして発案

同社は大手電機メーカーでのインハウスデザイナーとしての経験を持つ三宅さんと大槻佳代さん、デザイン事務所で多種多様なジャンルの経験を持つ物袋卓也さんの3人のプロダクトデザイナーで活動するデザイン会社。

コーナーバーは、あるメーカーが突っ張り棒の新商品発表をしていた時に思いついたという。

お話をお聞きしている時に、「突っ張り棒は平行して相対している建築の面がないと使えないものだな」と気づきました。

いつも、常識から少しズラしてアイデアを考えるようにしているので、「相対した壁がなくても使える突っ張り棒ってできないのかな?」と思い始めたのがきっかけです。

最初は「傘立て」を考えようとはまったく思っていませんでしたね。結果として「傘立て」としてピッタリきたという感じです。

デザイナーやデザイン事務所など、空間やそこに置く製品にこだわりを持っている、もしくは持たざるを得ない人たちをユーザー層として設定しているそうだ。

発売から間もないが、同社には「傘立てを選ぶのに困っていた」という声などが寄せられているという。

提供:Y

提供:Y

物理(力学)好きを活かし開発

L字金具だけで固定できる仕組みを聞いた。

曲がらない棒の中央に、紐をTの字型になるように取り付けた状態を想像してください。

その取り付けた紐の端を固定すると、元々の曲がらない棒は振り子のような回転運動しかしなくなるんです。

この製品はこの固定位置を部屋のコーナー(入隅)にして、両端から紐が出ている姿にすることにしました。

棒は入隅に向かって回転運動で近づいていきますが、いつか必ず棒の両端が壁にぶつかり、棒はそれ以上進むことができないので、そこで突っ張ることになる。という原理です。コーナーで使う突っ張り棒の原型の完成ですね。

物理の力学が好きな三宅さんはこのことに気が付き、紐を通したパイプですぐに最初の試作品ができたそう。

しかし、ここからが難しかったという。

試作品は1箇所でしか固定していないので、壁と接触する場所が滑ると簡単に落ちてしまったそうだ。

そこでゴムのテンションを利用しながら、さらに壁に押し付ける力をあげて、滑りにくくする機構にたどり着きましたが、流通している単なるゴムコードでは、美しくない、劣化が早い、壁に色が移る…など多くの問題が見つかりました。

そこからゴム成型メーカーさんに相談をして、材料、グレード、硬度、太さの選定、組立て方法の設計、調色などの苦労を経て、完成形として今の姿になっています。

まったく苦労を感じさせないようにできたことが一番うれしいです。

商品サイトでは、壁にネジ穴をあけられない場合の設置に使えるL字フックの代替品も紹介している。

提供:Y

提供:Y

成り立つ要素を整理して再解釈したシリーズ

同社は他にも、シンプルでスタイリッシュでありつつも機能的な商品を続々と開発している。

【衣類に合わせて自然に変形するハンガー】

FORMLESS HANGER(フォルムレスハンガー)。

シリコンゴムのコードが服の形に自然に沿うことで、服それぞれの美しい形のまま掛けることができる。使わないときは変形させてスリムな形にすることも可能だ。

提供:Y

提供:Y

【端にある本の傾斜を保つブックストッパー】

 9° BOOK STOPPER(9° ブックストッパー)。

本が立てられる面に角度をつけることで、並べて立てられた本を崩れにくくする。

提供:Y

提供:Y

同社はデザイン思想として「FINDING NEW POSITION & DESIGN ICON」を掲げる。

カタチを変えるデザインではなく、新しいジャンルの最初の製品になり得るアイディアを見つけること。

その上でそして私たちのアイディアが多くの方に共感され、類似した商品が増えたとしても、私たちの製品がその代表であり、真ん中である。そんなデザインを目指しています。

この考え方を分かりやすく体現する自社ブランドとして2018年6月に「モノが成り立つ要素を整理し、新たな視点で再解釈する」をコンセプトにしたブランドSOGUシリーズをスタート。今回話題になった傘立ても同シリーズのアイテムだ。

まつわる人全員に役立てるものを

商品づくりにあたって、「商品にまつわる人全員の役に立てるものを手がけていきたい」と考えていると話す。

商品を購入していただいた方の「役にたてる製品」であることはもちろん、商品を私たちから購入いただいて販売していただけているお店の方々にも、私たちが販売したい商品を製造していただける方々にも、この商品と付き合ってよかったと思っていただける「商品づくり」をしたい。

それを今よりももっと上手くできるようになりたいです。

もともと、デザインしかできなかった私たちですが、自社商品の製造と販売を通じて、いろんなことを学んでいっているように思います。

提供:Y

提供:Y

次の目標は「実店舗を持つこと」だという。

勉強するほどに、小売の難しさを理解できるようになって来ました。

まだ勘違いのレベルでしか理解できていないと思いますが、真剣に挑戦することで、やっと本当のことを学べると思っています。

もともと企画製造販売すべてに携わることが目標で、私たちの会社のロゴには会社名の「Y」の横に「DESIGN」「MAKE」「MARKET」という3つの役割を併記しています。

今はその途中段階という感じですね。まだ道半ば。これからも頑張ります!

Posted: |Updated:

Text by 長澤まき

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング