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開始初日に1万人が登録したイラスト依頼サービス「Skeb」が目指すクリエイターが強い社会とは

出典:外神田商事プレスリリース

出典:外神田商事プレスリリース

日本のイラスト作家に気軽に制作を依頼できるサービス「Skeb」について、運営する外神田商事株式会社に取材した。

依頼は140字、100以上の言語を自動翻訳

作家の支援事業を行う外神田商事株式会社(東京都千代田区、喜田一成代表)は11月30日から、イラストコミッションサービス「Skeb」を始め、国内外から注目を集めている。

Skebは、国内外から日本のイラストレーターや漫画家といったクリエイターに手軽に制作を有償で依頼できる仕組み。

依頼主はイラスト制作を頼みたい相手に140文字以内でリクエストを送信。100以上の言語での入力が可能で、クリエイターに自動翻訳されて届く。金額は3000円以上~30万円未満で設定できる。

なるがみさん/Twitter

なるがみさん/Twitter

やり取りは1往復でリテイクなし

イラストの依頼時に運営元が報酬を預かることで、クリエイターへの支払いを担保し、未払いトラブルを回避。料金はクリエイターが依頼を承認した時点で決済される。

クリエイターと依頼主のコミュニケーションは「リクエストする」「納品する」の1往復だけで、リテイクや打ち合わせは一切なし。解像度や書き込み量もクリエイターに一任する。

依頼主は納品された作品を個人での鑑賞目的のほか、SNSのアイコンなどの一部用途に限り2次利用が可能。

作品の権利はクリエイターに帰属し、クリエイターは依頼主の許可なくSNSや同人誌などに自由に再録できる。

出典:外神田商事プレスリリース

出典:外神田商事プレスリリース

会員数約2.6万人のうち2割が海外

11月30日に提供を開始したところ、Twitterの口コミで話題になり、当日中に会員数が1万人を突破。12月20日現在の会員数は約2.6万人。約6000人がクリエイターとして登録しており、現在までに約1000件の依頼がやり取りされたという。

同サービスの公式Twitter(@skeb_jp)によると、全体の約20%を海外のクライアントが占めているそうだ。

出典:Skebホームページ

出典:Skebホームページ

クリエイターの新しい収入源として開発

注目のサービスはどのように誕生したのか?

代表の喜田さんは前職でもクリエイターを助ける事業に携わり、様々なジャンルのクリエイターと交流する中で、イラストレーターや漫画家が非常に弱い立場にあることを知り、同サービスを発案したという。

クールジャパンを始めとする、日本のソフトコンテンツを支えているのは彼らのような個人のクリエイターです。

しかし、出版社など大企業との非対称規模な取引の場面では、報酬面の交渉や無制限のリテイクを強要され、たびたび不当な扱いを受けています。

これは日本のクリエイターの多くが、一箇所、一企業からの印税や売上に収益源を依存していることが要因の一つであると私は考えています。

彼らは収入源となっている窓口の数は少ないですが、SNSの普及も相まってファンの数は非常に増えつつあります。

中には10万人、20万人のフォロワーを持ち、芸能人並みのファンの規模でありながら、副業としてイラストレーターをされている方もいらっしゃいます。

新しい収入源として、ファンに対して直接的に役務を提供し、その対価として報酬を受け取ることができないかと考え、Skebの開発に至りました

コミッション文化を広める最初の一歩に

北米では「コミッション」と呼ばれる、個人がクリエイターに対して任意のイラストを有償で依頼する文化が普及している。

しかし、日本ではクリエイターへの依頼は独自の慣例が数多く存在し、ファンが気軽に依頼できる環境ではなかったと指摘する。

あるとすれば、同人誌即売会でファンが自分のスケッチブックを持ち込み、クリエイターにその場で描いてもらう「スケブ」と言う文化ぐらいです。

スケブは無償で、ファンが描いてもらいたい内容を一言クリエイターに告げるだけで、複雑なコミュニケーションやルールはありません。同人誌即売会に参加している同人作家さん達にとって、コミッションよりもスケブの方が馴染みの深い文化です。

本来のコミッションでは綿密な打ち合わせやリテイクを行いますが、日本にコミッション文化を広める最初の一歩、あるいはコミッションのお試し版として、同人誌即売会のスケブのレベルまでコミュニケーションを削り、有償のスケブという意味でSkebと名付けました。

出典:外神田商事プレスリリース

出典:外神田商事プレスリリース

「気軽さ」にこだわり

同サービスにおいて、今後もこだわっていきたいのは「気軽さ」だという。

すでにイラストを受発注できるサービスは多数存在します。

そんな中、後発のSkebを選んでいただけている理由は、細かなルールやコミュニケーションを必要としない、暇なときに好きな依頼だけを受けることができる気軽さにあると考えています。

サービスが複雑になればなるほど、理解するためのハードルが上がり、試しに使ってみようというモチベーションが下がります。

140文字制限等については不便に感じる人もいるだろうが、気軽さと簡潔さを維持しつつ、既存の企業案件や海外のコミッションを利用してきた人々にも受け入れてもらえるシステムを考えることが今後の課題だという。

利用規約に要約文で利用者との距離を縮める

喜田さんは、ここまで話題になった要因には、同サービスの利用規約があると話す。

そもそも利用規約とは、運営会社がトラブルに対する自衛のために設定しているものだが、専門用語や難解な言い回しが多く、決して利用者にとって優しいものではない。

そこで、同サービスでは弁護士監修のもと、思い切って利用規約の要約をつけてみたという。

昔のように運営会社は「利用規約に書いてあるから大丈夫」と言える時代ではなくなりました。

昨今のWebサービスに足りないものは、利用者と運営会社の距離感・近さです。

Skebでは要約の他にも、売上や経費、サービス手数料の内訳を詳細にTwitterで公開しています。

運営会社が利用者の立場になって歩み寄ることで、様々な誤解を解きながら、安心して利用者に使ってもらう努力が必要です。

そういった点で、要約は双方にとってメリットのある取り組みだと思います。

出典:「Skeb」ホームページ

出典:Skebホームページ

収入源の多角化でクリエイターの地位向上を

同サービスや以前から運営している作家向け確定申告パッケージ等のクリエイター支援事業を通して、収入源の多角化と税務のサポートを行い、クリエイターの地位向上を目指すとしている。

先に申し上げたように、現在の日本のクリエイターの問題として、一箇所、一企業からの印税や売上に収益源を依存している点があると私は考えています。

クリエイターの皆さんが「うちは他でも稼いでいるので、この条件では仕事は受けられない」と堂々と言える世の中になると良いですね。

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Text by 長澤まき

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