シェア

リアルすぎる“劇場模型”が話題!作者は会社員「生きた空気感ごとジオラマの中に」

両国新劇場の模型 提供:タカツさん

両国新劇場の模型 提供:タカツさん

実在する街の風景を切り取ったかのようなリアルな模型はどのようにつくられたのか、制作者のタカツさんに取材した。

リアルすぎる劇場模型に3万超のいいね!

タカツさん(@sakatuca)が制作した劇場の模型がネット上で話題になっている。

時代を感じる古びた劇場の外観。一見、どこかに実在する街の風景写真のようだが、実はこれはタカツさんが制作した模型だ。

煙草を持つ手と灰皿のサイズ感のギャップに驚かされる。

提供:タカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

タカツさんが先日、この模型の画像をTwitterに投稿したところ、「とんでもなくリアル」「クオリティが凄い!」「ホンモノにしか見えません」「写真かと思いました」「次元が高すぎる」「素晴らしいの一言」と一躍話題になり、3日余りで3万6000超いいね!を得ている。

「まだ探せば残ってそうな風景」を形に

制作したタカツさんに詳しい話を聞いた。

—–制作の経緯・コンセプトを教えてください。

制作の経緯とコンセプトというのは、毎回のことなんですがあまり無いんです。

漠然と作りたい景色や切り取りたい街並みというのが頭の中に何個かストックしてあって、その中からその時に一番作りたい物を選んで形にしていくといった形です。

共通して気にしている点としては、「まだ探せば残ってそうな風景」「非現実的じゃない風景」の2点です。

それも絶対的な縛りじゃないのですが…。

▼制作者のタカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

作図・考証に2~3ヵ月、制作に3ヵ月

—–モデルとなった実在の風景はあるのですか?

今回制作いたしました両国新劇場は架空の映画館なんです。

ただ、設計するにあたりモデルとなった劇場はいくつかございまして、両国劇場(東京都墨田区)、有楽映画劇場(福岡県北九州市)、金星劇場(神奈川県横須賀市)、三軒茶屋中央劇場(東京都世田谷区)、浅草世界館(東京都台東区)を参考にしています。

もともとは墨田区にあった両国劇場をベースとして設計していましたが、設計しているうちに北九州の有楽映画劇場の色がかなり濃くなりました。

—–どのように制作したのですか?

建物は大まかな形をスチレンボードを切り出して制作しています。表面の仕上げによってスチレンボードに肉付けをしていきます。

1F壁面のタイル部はプラ板を加工で、2Fの壁面は油彩画用の下地材をローラーで塗布して細かいテクスチャをつけています。

その他材料としては金属線、木、紙など、用途や作るものの材質によって適切な物を選んで制作しています。

—–完成までにかかった時間は?

作図や考証に2~3カ月、制作で3カ月位です。

提供:タカツさん

提供:タカツさん

時代設定、地域性の考証にこだわり

—–特にこだわった点を教えてください。

架空の物を作っている上で、実在しうる説得力をつけるために建築様式、小物関連、看板などの時代設定、地域性の考証と統合性をとる作業で制作期間の半分くらいを使います。

例えば作中のガードレールですと、パイプの径数や長さ、設置されてる地域や時代の統合性、設置されてからの年数を想定してそこからの風化具合など。

電柱だと、腕金・トランスのレイアウトや電線の配線・引込み容量の検証を行います。

それぞれの部材単位をその道のプロの方が見て違和感がなければいいなと思ってはいますが、大半はある程度自分が満足するまで調べたら制作を進めちゃいます。

提供:タカツさん

提供:タカツさん

あと、これはこだわった点というよりも気に入っている部分なんですが、屋号の文字が経年劣化により取れてしまっているけど直してない、というのが気に入っています。

(作るのが面倒だったわけではないです、写真にもあるようにちゃんと全文字作っています。汗)

提供:タカツさん

提供:タカツさん

生きた空気感ごとジオラマの中に

タカツさんは会社員で、仕事の後や休日に模型を制作しているそう。作業時間は1日2時間程度だという。

—–いつ頃から模型の制作を始めたのですか?

もともとは小学生から中学生くらいまで戦車や飛行機、戦艦を作っていました。

当時はそこら中に模型店が御座いましたから、周りの友人達と一緒に買いに行って完成したら見せ合いっこしたりしていました。

模型を再び作り出したきっかけは、4年前くらいに娘と飛行機のプラモデルを一緒に作りまして、それからしばらくは飛行機のプラモデルを作っていたのですが、いつの間にか街の風景を作り始めていました。

—–これまでに、どのような作品を制作しましたか?

【Q2】

昭和から平成にかけてくらいの時代の、荒川の土手付近をイメージして制作しています。

ピンクチラシが貼られた電話ボックスは最近見ないので、ピンクチラシの資料集めに苦労しました。(恥ずかしさも加えて)

両国新劇場のジオラマにレイアウトしているサンキストとHI-Cの自動販売機は当初このジオラマ用に制作したものだったんですが、スクーターとHI-Cの自販機が色かぶりしているのと構図が悪くなるので、この時はお蔵入りしました。

提供:タカツさん

提供:タカツさん

【言問書店】

ごく平凡な街の本屋さんです。この本屋さんも3~4つくらいの本屋さんを元に設計しております。

外装の仕上げは私の幼少期に近所にあったアパートの外壁の仕上げ“リソイド仕上げ”をイメージしています。実は正面や内装よりも裏口の鉄骨階段が気に入っています。

提供:タカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

提供:タカツさん

—–模型づくりに込める思いを教えてください。

街中の当たり前にある風景や物も、少し調べたり興味を持つと実は奥が深く、それぞれに存在意義や様々な工夫があったりします。

さらにそれらの模型を制作する事で、より深く知ることが出来ます。

もし誰かが私の制作した物を見て、普段気に留めない物を意識するきっかけになったら嬉しいですね。

制作にあたって原動力になっている部分は、慣れ親しんだ建物や商店等が取り壊されたり閉店してしまったときの行き所のない虚無感や悲しさが大きいです。

建物の形状などは何十年経っても写真や文献などで知ることは出来ますが、建て付けの悪い引き戸の開閉音や少しカビ臭い店内の匂い、痛んだ壁の手触りなど”生きた”空気感は体験した人にしか解らない部分だと思うんです。

せめて自分が見知った世界が全部無くなってしまう前に、生きた空気感ごとジオラマの中に閉じ込められたらな、と常々思っています。

Posted: |Updated:

Text by 長澤まき

Ranking

All Categorys Ranking総合ランキング