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リアルすぎる月の照明「ムーンライト」がスゴい!NASAの月面データを基に凸凹再現、開発期間3年のこだわりを聞く

提供:東昇

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3Dプリンターで忠実に月の形を再現した照明について、製造する東昇株式会社の関口昭範さんに話を聞いた。

リアルな月の形の照明が話題

埼玉県熊谷市の東昇株式会社が「匠の誠品ブランド」の商品として販売している「ルナプライマル(R)」がネット上で注目を集めている。

地上から見上げた本物の月を目指し、月のクレーターや月面の隆起、陥没まで忠実に再現した商品。

吊り下げる「ペンダントタイプ」と置いて使う「タッチタイプ」、磁力で浮遊する「リニアタイプ」があり、部屋の中に自分だけの月を浮かべて、毎日お月見気分を味わうことができる。

提供:東昇

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ネット上で「これは素敵」「クオリティ高すぎ…本物の月にしかみえない」「クレーターの影とかリアルすぎ」「かぐや姫が泣くかもしれないレベル」「2度見しちゃいました」「家の中に居ながらにして満月が見られるなんて」「考えた人天才」と話題になっている。

最も身近な天体である「月」に注目

関口さんによると、同商品は関連会社と共同でスタートした「3Dプリンター本体の精度検証実験」から生まれたという。

もともとは3Dプリンター本体の販売を目指して始めた案件だったが、その後の市場の動向を鑑みたところ、「3Dプリンター本体の販売よりも、それを使用して製作した製品の販売を行うほうがニーズに合っているのでは?」という話が持ち上がり、現在のルナプライマルの製作がスタートしたそうだ。

「月」を選んだ理由は、数多くの天体の中で最も身近にある天体であり、古来より人類の暦の指標としても使われ、いつでも変わらない美しさで人々を照らし続ける姿に「自然の美」を見出したからです。

製品名である「ルナプライマル(R)」は直訳すると「原始の月」となります。

これには「地球誕生から常に傍にあり続け、変わらない月明かりで私たちを癒す月のように、製品を通してお客様の傍にあり続け、癒しの空間をお届け出来るようになりたい」という意味合いを込めています。

提供:東昇

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原料、印刷技術、安全・安心にこだわり

開発にあたっては、「印刷原料」「最高の印刷技術」「お客様の安全・安心」の3点に徹底的にこだわったという。

3Dプリンターは、印刷原料であるフィラメント(通常のプリンターでインクに相当する物)を熱で溶かしながら立体を印刷する事が出来る印刷機。

通常はプラスチック由来のフィラメントを使用する事がほとんどだが、プラスチックフィラメントを使用した場合、ライト本体の透明度(内蔵光源の透過率)が低く、どうしても強い光源を使用せざるを得なくなる。

しかし、強い光源は光量確保のために青色の発色が強くなっているので、どうしても青白い月(人工的な月光)になってしまうことが悩みの種だったという。

プラスチックフィラメントは比較的短時間で凝固する性質があるため、工作精度を上げる事が難しく、とても「月」とは言えない「ボコボコしたボール」になってしまうという問題点もあった。

そこで同社が吟味の末に着目したのが、トウモロコシ由来の原料を加工して作成した「PLA樹脂製フィラメント」だった。

この樹脂の特徴は「透明度(透過率)の高さ」と「凝固時間」にあります。

PLA樹脂はプラスチック樹脂と比較して光の透過率が高く、強い光源でなくとも十分な光量を確保する事ができます。これにより、「青白い人工的な月光」ではなく「より自然光に近い、透明感のある月光」を再現することができるようになりました。

さらに、PLA樹脂はプラスチック樹脂と比較して「低温で溶解し、ゆっくりと時間を掛けて凝固していく」特性を持っています。

この特性を生かす事で、従来よりも「細かい紋様の印刷」や「時間を掛けて印刷する」事が出来るようになり、後述の印刷精度の向上に成功しました。

提供:東昇

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安全に使ってもらうために、フィラメントの原材料は国外機関で監査を受けた100%純正植物由来品のPLA樹脂のみを使用。

ライト本体をこの樹脂で製作しているので、プラスチック樹脂独特の匂いがなく、小さな子どもやアレルギー体質の人でも安心して使ってもらえると胸を張る。

内部パーツにはPSEマーク(電気用品安全法基準マーク)を取得した各種安全基準を満たした材料を使用するなど、付属品にも妥協せずに力を入れたという。

NASA撮影の月面データを入手し精度にこだわり印刷

印刷では、月面に刻まれているクレーターや“海”と呼ばれる窪みなどの様々な紋様を一つ一つ忠実に再現することにこだわった。

紋様を再現するにあたっては、高画質な印刷元データと高い印刷精度が重要となる。

同社は、まず非常に高画質であると共に、地球上からは観察できない月の裏側まで撮影されているNASAが撮影した月面データに着目して交渉の末に入手に成功し、これを印刷元データにした。

さらに、印刷精度を高めるため、最高品質の工業用プリンターを導入して設備面を強化すると共に、印刷手法にも工夫を凝らした。

一般的なボール状間接照明機器を3Dプリンターで印刷する場合、およそ2~3時間で1個の製品が刷り上がるが、同社では2倍以上(6~7時間)を費やして製作したという。

なぜ倍以上の時間を費やすのか。それは一重に「印刷精度にこだわるが故」です。

3Dプリンターの印刷精度は「積層ピッチ」と「印刷ノズルの移動速度」によって決まります。

積層ピッチとは「一定の印刷距離(厚み)を何層で構成するか」という指標です。この積層ピッチが多ければ多い程、高精度な製品が出来上がります。

印刷ノズルの移動速度とは「原料のフィラメントを溶かして拭きつけるノズルの移動速度」を指し、この速度がゆっくりであればゆっくりである程、高精度な印刷が可能となります。

弊社製品ではわずか1ミリの厚さを10層掛けて印刷する事で印刷元データとの誤差0.0125ミリ未満という究極の再限度を実現しています。

さらに印刷時間を十分費やすことで製品クオリティの向上に努めています。

提供:東昇

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この印刷技術の確立が開発にあたって特に大変だったそうで、現在の水準まで印刷技術を向上させるのに約3年の開発期間を要したそうだ。

前述の積層ピッチは上げすぎても下げすぎても、印刷精度の低下に繋がります。印刷ノズルの移動速度も遅すぎると溶解したフィラメントの詰まりの原因になり、早すぎると印刷不良や印刷精度の低下に繋がってしまいます。

開発初期は出来あがった製品のうち、市場に出せる製品は30%程しかありませんでした。

これには3Dプリンター本体の耐久性が大きく関係することが判明し、試行錯誤の結果、プリンター自体の構造に改良を加え、90%以上の製品を市場に出せる様になりました。

▼開発者の王世棟(オウ・セトウ)さん

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本物の月は1つの球体であることから、「本物の月にない物がライト本体にあってはならない」というコンセプトのもと、ライト本体にシームレス設計を導入し、継ぎ目の無い美しい球体を実現。

月光の再現はライト本体の厚みにこだわり、間接照明として十分な光量を持ちつつも製品の強度が落ちないぎりぎりのラインを模索し続け、4.32ミリという数値にたどり着いたという。

夜空に浮かぶ月をそのままお部屋に持ってきたかのような、温かみのある優しい光をお楽しみ頂けます。

提供:東昇

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3Dプリンター製品の魅力を知ってほしい

商品は現在、ネット通販がメインだ。

特にyahooショッピングでの販売が好調で、カテゴリ売上ランキング1位を頂いたこともありました。

小売の好調を受けて卸し売り販売へのお問い合わせも頂いており、生産工場側の生産ラインをフル稼働して生産に当たっています。

提供:東昇

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3Dプリンター商品に込める思いと今後のビジョンを、こう話す。

3Dプリンターによる製造業は現在メジャーとは言えない規模であることは事実です。

弊社販売製品を通じて3Dプリンター製品の魅力を知ってもらい、3Dプリンターによる製品作りの普及や、一般家庭への3Dプリンター本体の普及が進むことを願っています。

3Dプリンターの特色は「想像したデザインをより簡単に物体化できる」という点もあります。

今後はルナプライマル(R)シリーズの充実を図ると共に、3Dプリンターを利用して新進気鋭のクリエイターやデザイナーと提携して、より独創的な製品を世に生み出すお手伝いができればと考えています。

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Text by 長澤まき

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