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富山の彫刻職人が手掛ける神仏具「雲棚」が人気!完売相次ぐ製品に込める思い

提供:ここかしこ

提供:ここかしこ

雲の形をした神仏具「雲棚」について、販売する「ここかしこ」企画担当の有井ゆまさんに取材した。

伝統の技術で作った雲棚

家やオフィス等の壁に取り付けて、お札などを飾ることができる「雲棚」が注目を集めている。

神社や寺院の彫刻を専門とする国の伝統工芸・井波彫刻の井波彫刻協同組合(富山県)の彫刻師が、国産の天然木(クス)を素材に、伝統的にペーパーなどの磨くための道具は一切使わず、全てノミのタッチだけで仕上げた逸品。

裏面に埋め込まれた磁石に画びょうの頭を付けて、好きな場所に設置することができる。

提供:ここかしこ

提供:ここかしこ

ひと固まりの中に機能を完結、画鋲で着脱

雲棚は、井波彫刻協同組合のパートナーである「ここかしこ」が販売している。

「ここかしこ」は、富山の老舗仏具問屋の子会社である株式会社360度が運営する、幸せな祈りのきっかけになるアイテムのブランド。

商品の企画開発や販売にかかわる複数の企業およびフリーランスの人間が、富山県高岡市の老舗仏具問屋の旗のもとに集い、2012年9月にスタートした。

雲棚は、ブランド立ち上げ当初からの「ここかしこ」オリジナル商品。商売繁盛のお札を置くところに困っていたことや、平等院の雲中菩薩が好きだったことから着想を得て発案したそうだ。

開発では壁に隙間なくぴったりと、垂直にくっつけられる点にこだわったという。

一言で言うと「その方が格好良いしかわいい」という感覚的な理由です。

出典元:「ここかしこ」ホームページ

出典元:「ここかしこ」ホームページ

紐やフックなど別素材の部材を使わず、ひとかたまりの中に機能を完結させたいと考え、裏面に磁石を埋め込んだ。

本品を気に入ってくださるようなお客様は、それぞれのインテリア表現の中で、高さも左右も1センチくらいの精度で微調整されることもあるかもしれないと考え、脱着が簡単で壁の傷が最小で済む“画びょう”を使うアイディアに辿り着きました。

一般的に入手しやすいものをお客様に少しだけご準備いただいて、お客様とご一緒に完成させる工程も“ここかしこ”らしいと思っています。

出典元:「ここかしこ」ホームページ

出典元:「ここかしこ」ホームページ

約2カ月に1回、約100台を販売

商品発売の翌年(2013年)にテレビに取り上げられたところ、注文が殺到。

供給量を大きく上回る注文が寄せられ、放送の翌日には注文をいったん締め切り、半年かけて注文分を購入者に届けたという。

長らくお待ちくださったお客様には本当に感謝しています。

小さくても、簡易的でも、400年以上全国の寺社荘厳彫刻を請け負ってきた井波彫刻の技がぎゅっと詰まっている「小さなホンモノ」としてご評価いただいているのではないかと思います。

その後も人気は収まらず、現在も販売を再開すると、すぐに完売になる状態が続いている。

井波の彫刻師さんは、全国の寺社や修復などの大きなお仕事や、天神様のシーズンなど、かなりお忙しいので、不定期ですが、現在はだいたい2カ月に1回程度のペースで100台ずつくらいを販売しています。

人の手で、天然木、というナマモノ同士の作業なので、ご予約は承っておらず、ここかしこ発行のニュースレターとSNSで再販日時を告知して販売しています。

お待ちのお客様のため積極的に宣伝はしていませんが、きっと既にご購入くださった方の素敵なお部屋に雲棚のある風景をご家族やご友人がご覧になってお求めくださっているのではないかと想像しています。

お客様がSNSにアップしてくださる画像を見るのは作り手にとっても売り手にとってもとても嬉しいことで励みになっています。

出典元:「ここかしこ」ホームページ

出典元:「ここかしこ」ホームページ

喜びや悲しみによりそうアイテムを提供

「ここかしこ」では雲棚の他にも、人生の喜びや悲しみによりそうものをお届けしたいという考えのもと、さまざまなオリジナル商品とセレクト商品を取り扱っている。

【ソフト神棚】

御札をお祀りする特別な場所をすぐに確保できるカラフルな神棚。「清浄」であることも神棚の大原則の1つなので、素材には羊毛でなく人口のポリエステルフェルトを使用している。

最初は黄色タイプだけだったのですが、卸先のバイヤーさんから「もう少し大人っぽい色もあったらいいのに」というお声をいただいて「moderate」というベージュタイプも作りました。

出典元:「ここかしこ」ホームページ

出典元:「ここかしこ」ホームページ

【豆りん】

毎日の使い勝手や、お手入れ・お掃除の手間をとことん考えつくし、富山県高岡で400年続く「高岡銅器」の手技で丁寧に作られた、ちいさなおりん。

手のひらに乗るほど小さいが、涼やかで余韻の長い澄んだ音色が響く。

大ヒット商品です。ネットでおりんが売れるとはあまり思っていなかったのですが…。

出典元:「ここかしこ」ホームページ

出典元:「ここかしこ」ホームページ

「ここかしこ」運営に込める思いを、こう話す。

国内の展示会で仏具を並べていた時、イタリア人の40代くらいの男性から、「我々の宗教は違うけれど、この商品のコンセプトはとてもシンプルに理解できる。昨年亡くした母のためにどうしても買って帰りたい」とお声をかけていただいたことがありました。

随分長い時間をかけて丁寧にご覧くださったのに、事情でどうしてもその場でお渡しできなかったことが、ずっと心残りです。

都内の百貨店で五月人形を販売していた時は、秘書の方を引き連れた70代くらいのアメリカ人の女性が商品を気に入られました。

最愛のお孫さんのお話をお聞かせくださり、秘書の方に買い物の時間は無いと急かされた途端「このお人形はあの子なの!どうしても連れて帰れないのなら次の打ち合わせには行かない」と涙を流して駄々をこねられ、結局思いを貫かれてご機嫌でお帰りになられたこともありました。

文化が違っても、互いの心に響き通じ合える祈りや願いがあることを、モノを通して目の当たりにしました。

モノ作りの周辺に関わっている者として、お客様のキモチを少しでもUPさせることのできるような商品をご紹介できるよう、これからも全国の作り手さんとともに頑張っていきたいとおもいます。

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Text by 長澤まき

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