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日本で唯一、自由に「本物の下水道管」に入れる場所!汚水を五感で体感できる展示の狙い

提供:小平市環境部下水道課/撮影:白汚 零氏(しらお れい)

提供:小平市環境部下水道課/撮影:白汚 零氏(しらお れい)

東京都小平(こだいら)市にある、自由に本物の下水道管の中に入ることができる日本で唯一の施設について市環境部下水道課に取材した。

小平市のふれあい下水道館

小平市には、下水道の大切さを学ぶことができる施設「小平市ふれあい下水道館」がある。

下水道の役割や仕組みなどを学べる施設。1990年度に市内の下水道の普及率が100%を達成したことを記念して造られた。

特に国内外の下水道の歴史の歩みへの理解が深められるよう工夫した展示をしており、とりわけ地元・小平の発展に伴う下水道の歩みを分かりやすい形で紹介しているという。

提供:小平市環境部下水道課

提供:小平市環境部下水道課

提供:小平市環境部下水道課

提供:小平市環境部下水道課

本物の下水道管に入れる

ふれあい下水道館館長兼長寿命化対策担当係長の太田尚樹さんに話を聞いた。

—–同館の見どころを教えてください。

なんといっても地下25メートルにある本物の下水道管の中に入って、汚水の流れる音やにおい、速さ、色、湿度、管の大きさなどを体験してもらえるところです。

地下1階の講座室では、汚水をきれいにする本物の微生物を高解像度の光学顕微鏡で観察することができ、日によって変わる微生物の種類や数の多さ、活性状況などを見て楽しむことができます。

同館は、誰でも自由に本物の下水道管の中に入ることができる日本で唯一の施設だという。

—–本物の下水道管ならではの観察のポイントは?

汚水の流れる量や音、におい、色などを体験してもらうと同時に、普段の生活ではあまり意識することがない下水道を身近に感じ、その大切さを体験して感じでもらえることがポイントになります。

提供:小平市環境部下水道課/撮影:白汚 零氏(しらお れい)

提供:小平市環境部下水道課/撮影:白汚 零氏(しらお れい)

日曜の午前中は流量が20%程増える

—–見ることができる“下水の色・におい・量”は季節などで変化しますか?

下水道管の中の温度は季節での変化はほとんどありませんが、流量は雨季の始まる6月から台風の来る10月頃までは多い日が目立ちます。これは、ふれあい下水道館のあるエリアの下水道は汚水と雨水が一つの管で流れる合流区域となっているためです。

においは雨の日は少し和らぎ、晴天の日は少しくさくなります。

1年を通して、日曜日の午前中は流量が20%程度多くなりますが、これは休日で一般家庭からのトイレや洗濯の排水量が多いからではないかと推測されます。さらに、サッカー中継などの休憩時間にトイレに行くため流量が多くなるという噂もあります。

ちなみに、下水道管には合流式と分流式があり、合流式は汚水と雨水を一つの管で流し、分流式は汚水と雨水を別々の管で流します。

ふれあい下水道館で体験できる下水道管は合流式ですので、普段は汚水のみが流れており、水深も約20センチメートルと少ないですが、雨が降ると水量は一気に増加し、管の中が汚水と雨水でいっぱいになり、流速も早くなります。よって、雨が多い梅雨の時期などは流量が増える傾向にあります。

—–水位が高い時など、下水道管に入れないときはありますか?

降雨があって、下水道管の中に雨水が流入して下水の流量が増加し、水位が80センチメートルを超えた時に警報が鳴るようにしています。

これは下水道管内の見学ステージが220センチメートルの高さにあるためです。警報が鳴ってさらに水量が増えると見学ステージが水没して危険なので、見学ステージには入ることができません。

ふれあい下水道館と見学ステージを結ぶ連絡通路部にある扉(潜水艦のハッチと同様の構造で管内の水圧に耐えられる)を閉め、下水が施設内に入ってくるのを防ぎます。

本物の下水道管で五感で体感

—–レプリカではなく本物の下水道管の中に入れるようにした理由・狙いは?

小平市は地形が平たんであり大きな河川もないため、下水をポンプで揚水するポンプ場や、下水をきれいにする下水処理場と呼ばれる施設もなく、見ることができる下水道施設は唯一マンホールの蓋だけです。

普段の生活では、水洗トイレのレバーひとつで屎尿は水と一緒に消えていきます。

下水道の大切さを知ってもらうためには、延々と10数キロメートルの距離を流れ、たどり着いた下水処理場では微生物が分解し、魚の泳ぐきれいな川に帰るという水の旅を、直接自分の目で見て体験できる施設が必要だとの意見から、このふれあい下水道館を建設しました。

「ふれあい」と銘打っているとおり、五感をもって体感をしていただくことを重視しています。これはレプリカでは体感しにくいと考えます。

現代の子供たちは、生涯一度も下水道を見ないまま過ごすと聞いています。一度、本物の下水道管の中に入って体験し、下水道の大切さに気づいていただくことに意味があると思います。

提供:小平市環境部下水道課/撮影:白汚 零氏(しらお れい)

提供:小平市環境部下水道課/撮影:白汚 零氏(しらお れい)

水環境問題を一人一人の問題と捉えてもらう

—–どのような方が来館していますか?

老若男女問わず、あらゆる層の市民の方々が来館されています。

特に休日は、3世代家族での来館など家族連れが目立ちます。また、小学校の社会科見学等として年間約2300名の小学生が団体で訪れます。

—–来館者の反応・感想は?

「下水道についての知識があまりなかったので大変勉強になった」という声や「情報量の多さに驚いた」という声、更に「入館料が無料でこれほどのクオリティを発揮できていることに驚嘆した」などの感想をいただきました。

「地味な博物館(建物)ではあるが展示内容が高度であることを、もっと外部に発信・啓蒙すべきではないか」というご意見も寄せられています。

提供:小平市環境部下水道課

提供:小平市環境部下水道課

—–最後に、同館に込める思い・ビジョンを教えてください。

今日、水環境をはじめ自然環境の悪化が叫ばれていますが、下水道をはじめとした水環境問題を一人一人の問題として捉えてもらう、とりわけ次世代を担う子供達に水環境に関して実体験できる学習の場を提供し、理解を深めてもらいたいと思います。

現在は下水道施設の老朽化による維持管理の時代に入っておりますので、下水道の大切さや必要性を市民の皆様にご理解いただきたいと思います。

開館以来約47万人の方にご来館いただいておりますが、啓蒙活動をはじめ運営管理を充実させ、より多くの方々に興味を持ってもらい、ご来館していただければと思います。

【小平市ふれあい下水道館】
住所:上水本町1-25-31
電話:042-326-7411
開館時間:10:00~16:00
休館日:月曜(休日・祝日の場合は、その翌日)、年末年始(12月27日~1月5日まで)
入館:無料

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Text by 長澤まき

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