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“コオロギで美しいフランス料理”を作った埼玉の企業に聞く「昆虫食の潜在力」

提供:アールオーエヌ/コオロギとトマトクリームパスタ

提供:アールオーエヌ/コオロギとトマトクリームパスタ

コオロギを使用した昆虫食・メニューの開発に取り組む、株式会社アールオーエヌに取材した。

昆虫食商品を共同開発へ

埼玉県戸田市のアールオーエヌは4月から、コオロギを使った食品・メニューの共同開発パートナーの募集を始めた。

同社は3月にスーパーフード・コオロギを使って、もっと日本人の口に合う商品を作りたいと「コオロギ100匹が練りこまれたうどん」を発売。直後から予想以上の反響があり、一般の人々はもちろん、小売店や飲食店、書店まで様々な店に購入されたそうだ。

うどんに続く新たなコオロギ食品を開発すべく、共同パートナーを募集する。

【関連記事】「コオロギ100匹が練りこまれたうどん」発売へ!昆虫食を日本人の口に合うように改良

出典元:「アールオーエヌ」プレスリリース

出典元:「アールオーエヌ」プレスリリース

昆虫のエネルギーに着目

昆虫食への取り組みについて、同社バグズファーム事業部マネージャーの辻ひろあきさんに話を聞いた。

—–昆虫食事業を始めた経緯・きっかけを教えてください。

国際連合食糧農業機関(FAO)が2013年に公表した昆虫食に関するレポート、アメリカ昆虫食ベンチャーのEXO(エグゾ)が発売しているコオロギ入りのエナジーバー、ニコール・キッドマンや アンジェリーナ・ジョリーが昆虫を食べてる記事など、断片的な情報がありました。

決め手は、ある書籍に書いてあった「稲作が始まるまでの長い期間、動物、木の実などと一緒に昆虫も食べながら移動していた」との内容を読んだことです。多くの情報が1つにつながった感じがしました。

見た目は無視して考えた時に、体長の何倍も飛べ、自重の何倍もの重さを持ち上げ、空を飛んだり、土の中に潜ったりする昆虫のエネルギーの高さは私たちが現在食している植物、動物、魚などと比べものにならないんじゃないかと思い、調べ始めたのがきっかけです。

辻さんによると、昆虫食は世界規模で広がりつつあり、欧米の大手スーパーチェーンでは昆虫を使用した商品が当たり前のように売られているという。

中でも、コオロギは体すべてが可食部で、豊富なタンパク質を始め、鉄分、カルシウム、必須アミノ酸、オメガ3など多くの健康成分が含まれているそうだ。

牛や豚などの既存の畜肉タンパク質と比べて地球環境への負荷がとても小さく、環境に優しいエコ食材という。

出典元:「アールオーエヌ」プレスリリース

出典元:「アールオーエヌ」プレスリリース

粉モノ・練り物との親和性が抜群だそう

コオロギを使って、どのようなメニューを作ることができるのか?

同社のプレスリリースによると、コオロギは特に粉モノや練り物との親和性が抜群だ。

コオロギを粉末にしたコオロギパウダーは、そのままでも魚粉のような味わい深い風味で良い出汁が取れる。うどんやお好み焼き、パンケーキ、クッキー、団子などに混ぜて使うと風味が増して栄養価も添加できるそうだ。

出典元:「アールオーエヌ」プレスリリース

出典元:「アールオーエヌ」プレスリリース

淡白で様々な料理の風味を良くする

コオロギは非常に淡白な味で、小エビや大豆に例えられるので、カレーや天ぷら、肉料理、フレンチ、イタリアンなど、様々な料理に粉末を加えても邪魔にならず、風味を良くするという。

コオロギそのものを料理に散らせば、他店とは一線を画す健康的かつインパクトのある料理に。

メニュー例として、「トマトのカプレーゼコオロギ風味」や「旬の野菜のコオロギクリームバーニャカウダー」などを紹介している。

提供:アールオーエヌ

提供:アールオーエヌ/トマトのカプレーゼコオロギ風味

提供:アールオーエヌ/旬の野菜のコオロギクリームバーニャカウダー

提供:アールオーエヌ/旬の野菜のコオロギクリーム-バーニャカウダー

面白さだけでなく素材として美味しい

コオロギがこんなにおしゃれで美しいメニューになるとは驚きだ。

—–これらのメニューはどのように開発したのですか?

東京都港区芝にある「ル・ガゾン」というフレンチ料理店のオーナーが開発してくれました。

単純に虫という面白さではなく、素材として美味しく、充分活用できる食材として認めていただけたことが大きかったと思います。

—–実際にメニューを提供しているお店はありますか?

ル・ガゾンさんは基本メニューがなく、お客とシェフが話し合ってその時にお客様が最も欲している料理が出てくるフレンチなのですが、事前に昆虫食のメニューが食べたいと言えば出てくると思います。

提供:アールオーエヌ/サーモンのクリケット エカイユ仕立て

提供:アールオーエヌ/サーモンのクリケット エカイユ仕立て

提供:アールオーエヌ/コオロギとトマトクリームパスタ

提供:アールオーエヌ/コオロギとトマトクリームパスタ

提供:アールオーエヌ/牛ヒレのクリケットパウダー焼き(香草パン粉焼のクリケットパウダーVer)

提供:アールオーエヌ/牛ヒレのクリケットパウダー焼き(香草パン粉焼のクリケットパウダーVer)

昆虫食を食べられる場所・機会を増やしたい

—–今回、共同開発パートナーを募集する経緯は?

意図は2つあります。

1つ目は、単純に昆虫食を食べられる場所や機会をたくさん作り、もっと多くの人に
体験していただきたいと思ったのが1点。

2つ目は、食品・飲食業界は市場が大きい分ライバルが多く、差別化が難しい業界だと感じており、昆虫食というまだまだエッジの効いた食材を入れ込むことでライバルにはないインパクトや差別化を図れます。小さな飲食店さん、パン屋さん、食品メーカーさんなどに喜んでいただけるのでないかと思いました。

—–昆虫食事業に込める思いと、今後のビジョンを教えてください。

これは全く根拠などはないのですが、先ほど話したように、昆虫の持つ力はこれまで食としての研究対象になっていなかっただけで、かなりのポテンシャルを秘めていると感じております。

日本では食として、発展途上国ではその養殖のしやすさから貧困対策として、栄養疾患のある地域では豊富な栄養源として、私たちの身近にいる昆虫にスポットライトがもっと当たる日がくるのではと考えております。

いろいろと語りましたが、罰ゲームとしての昆虫食の利用のされ方も好きです。

コオロギが日常食となる日も、案外遠くないかもしれない。

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Text by 長澤まき

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